ep.046 am02:02 北海道札幌市中央区 ニュークラブCoCo
am02:02 北海道札幌市中央区 ニュークラブCoCo
「け、警察の方だったんですか?」
皐月は頷き、
「と言っても、私は道警の人間ではないし。この店を摘発するつもりもないから、そこは安心してくれていい」
陣悟郎は、チラリと横目で皐月を見て、
《ほほぅ。ちゃんと緩急を理解っとる。烏丸一族の者が直々に動いてる件は、ワシも興味があるのぅ。しょうがない・・・》
手招きをしてマネージャーを呼ぶ。
「ちょい、マネージャー、此処へ」
店にとっての太客である住職の手招きは、さすがにマネージャーは断れない。
「は、はい。ご住職、すみません」
焦ったマネージャーが、両膝を着いて陣悟郎の前に屈む。
陣悟郎は何も言わず目を閉じ、深呼吸を一つ。
刹那、陣悟郎がクワッ”と目を見開くと、マネージャーは固まった。
陣悟郎はニィと笑い、マネージャーの耳元で囁く、
「のう、一つ教えてくれんか?何処でカジノは行われてるんか?なあに、アンタにゃ迷惑掛けんからよ。これで頼まぁ」
いつの間にか陣悟郎の右手に一万円札が十枚程だろか握られており、マネージャーの胸ポケットに突っ込んだ。
驚いたのは隣で見ていた皐月で、
《おそらく今のは、お嬢様と同じ技・・・》
マネージャーは落ち着きなく、語りだす。
「今から言うのは、独り言ですからね」
「あぁ、勿論、今から言うのは、アンタの独り言じゃ」
陣悟郎は諭した。
「今夜、小樽港の沖合1キロにシンガポール船籍のタンカーが停まっておりまして、そこが秘密カジノになってるなんて、私は一言も言ってませんからね」
陣悟郎は少し哀しそうに、
「そうか、じゃったら簡単には入れんのう。困ったわい」
「どなたか組関係者のお知り合いでもあれば・・・、まだ簡単には入れると思いますが・・・。これも独り言ですが・・・」
マネージャーは、壁を見つめボソリと漏らす。
陣悟郎は口を尖らせ、
「う~ん、使えそうなスジ者ね・・・。中途半端なスジ者じゃと、難儀な事になると迷惑掛けるからの。まぁ、あいつに頼むか・・・」
懐から携帯電話を取り出し、ある番号に掛ける。
午前2時にも関わらず、相手は直ぐに出た。
陣悟郎は破顔すると、
「久しいの“白虎”の。最後に会ってから、もう十八年になるか・・・。儂じゃよ、“玄武”じゃ」




