ep.038 am01:12 北海道札幌市北区 札幌クイーンホテル
am01:12 北海道札幌市北区 札幌クイーンホテル
春美は、少し躊躇う。
皐月は軽くため息を吐き、真剣な眼差しで、
「私や私のいる組織は、貴女を裏切らない。でも、一つだけ覚えていて、とても大事な事。でも・・・、もし、貴女が私達を裏切ったとしたら、そこで貴女を待っているのは確実な“死”。それでもいいなら、この手を取りなさい」
春美は一度深呼吸して、自身に言い聞かせると皐月の手を取った。
皐月は優しく微笑むと、しっかりと春美の手を握り返し、
「ようこそ、修羅の道が続く影の住まう世界へ。改めて自己紹介させてもらうわ。私は、烏丸皐月。そうね、皐月さんと読んでくれて構わないわ。そして私も、もちろん、影」
春美は頷き、
「それでアタシ、これからどうしたら?皐月さん」
皐月は手を離すと、
「これから施設に入ってもらうわ。そこで麻薬を抜いてもらってから、影として訓練ね。一年かかるか、5年かかるか。もしかすると、ずっと訓練所かもね。そこは貴女の才能と努力しだい。ちょっと待っててね」
皐月は携帯を取ると、兄・睦月に掛けた。
睦月は直ぐ出る。
「兄さん、一人訓練所に入れたい娘が・・・。ええ、でも・・・、さすがお見通しね。先ずは、そっちに入ってもらうわ。ええ、15分後に迎えが来るのね。了解、ありがとう。その件に関しては、今からまた出掛けるわ。徳さんの調査待ち。じゃあ、お願いね」
皐月が携帯を切った刹那、徳からメールが入る。
内容を確認すると、春美に顔を向け、
「話は着いたわ。直ぐに迎えが来るから」
春美はおどおどした様子で、
「アタシは、これからどうしたら・・・」
「何もしなくても。体一つだけあれば、ね。今、貴女を迎えに来るから。ここで待ってて。私は隣で着替えてくるわ」
皐月はトランクの一つを持つと、隣の部屋に消えた。
春美は疲れが溜まっていたのだろう。
皐月が出て行くと、うとうとと寝てしまった。
皐月に柔らかく揺り動かされ、春美は目を覚ます。
「え?皐月さん?」
春美の目の前に居たのは、イタリア製トムフォードのスーツを完璧に着こなし、長い黒髪をオールバックにした皐月だったのだ。




