ep.039 am01:25 北海道札幌市北区 札幌クイーンホテル
am01:25 北海道札幌市北区 札幌クイーンホテル
皐月は、ポリスのサングラスをクールに掛けると、
「お待たせ。さぁ、地下の駐車場に行きましょうか?貴女の迎えも、来てる筈よ」
春美はキョトンとして、
「アタシの迎え?」
「そう、影になる為のね。でも、先ずは麻薬を抜かなくっちゃ・・・」
皐月はソファーから春美を引っ張り上げると、優しく告げた。
皐月と春美がホテル地下の駐車場に着くと、黒塗りのエルグランドから黒スーツにサングラス姿の、いかにも表の世界の住人ではない気を纏った男が降りてきた。
年齢は二十代前半だろうか。
皐月に頭を下げると、
「皐月様ですね?薬師です。睦月様よりご依頼を受け参りました。彼女ですね?」
「そうよ。宜しくね」
皐月は、春美の背中を押す。
春美は緊張しているのか、黙ったままペこりと頭を下げた。
薬師は後部席のドアをスライドさせ開けると、春美を誘い、
「乗れ」
感情無く、一言だけ告げた。
皐月は、春美に右手を差し出し、
「未来を掴むのよ」
春美は黙ったまま握手をすると、頭を下げエルグランドの中に消えた。
エルグランドの後部席は完全に運転席と遮断されたており、窓も外の景色を写す事は無く開きもしない。
薬師はエルグランドの後部席のドアを閉め、皐月に頭を下げる。
「私は、これで」
立ち去ろうとする薬師に、皐月が問い掛ける。
「札幌支部の下忍達は、皆さんどちらへ?」
皐月の問い掛けに、薬師はため息を吐くと、
「判りかねます。実は私、札幌支部の人間ではありません。本部の特命で、札幌に駐在しているだけで・・・。今回はたまたまです」
薬師は改めて頭を下げると、自身もさっさと乗り込んでエルグランドは闇の世界に向け走り出した。
エルグランドを見送った皐月は、角に停まっているワインカラーのポルシェ・911 carrera Sに向かって歩きだした。
オートロックを解除し乗り込む。
スーツの内ポケットからアーク・ロイヤル・ワイルド・カードを取り出し、カルティエのライターで火を付け深く吸い込んだ。
皐月は、ため息交じりに煙りを吐き、
《しかし、一筋縄では行かないわね。本当なら、すすきのなんて戻りたくないんだけど・・・》
携帯を取り出し、着替えてる最中に徳から送られて来たメールをもう一度読んだ。




