ep.037 am01:05 北海道札幌市北区 札幌クイーンホテル
am01:05 北海道札幌市北区 札幌クイーンホテル
「もしもし、泰治?」
春美が応対した刹那、今にも叫び出しそうな声で、
「お前、どんな奴らと関わってるんだ。春美、赦してくれ、騙してたのは謝るから」
「だます?どう言う事?」
春美の顔から血の気が引いていく。
電話の向こうで氷室が泰治を痛めつけているのか、少し間が空いた後、
「他に女居てるし、今も別の女抱いてた・・・。こんな目に逢うんだったら、お前なんかと関わるんじゃなかった。せっかく金づるを見付けたと思ったけど、とんだ疫病神だ。お前は!」
皐月は春美から携帯を取り上げると、シニカルに笑い、
「どうして欲しい?貴女の言う通りにしてあげるわ」
m春美はポロリと涙を一粒流すと、
「も、もう嫌。全部嫌・・・。壊して、全部壊して!アタシも、泰治も、今までの人生も、全部、全部、全部!」
そのまま頭を抱えうずくまってしまった。
皐月は、氷室に短く何か指示を出して、携帯を切った。
ゆっくりと春美に近付き、
「じゃあ、私が終わらせてあげる」
そう言うと、春美の首に手を掛ける。
春美は死を受け入れ、逆らわない。
皐月は、ゆっくりゆっくり力を加える。
薄らいでいく意識の中で、今までの人生が走馬灯の様に垣間見えた。
《何にもいい事なんて、無かった・・・》
涙が溢れて止まらない。
皐月は更に力を強める。
春美の意識は闇の中に消え、全身の力が一気に落ちた。
皐月は、ゆっくりと春美の身体をソファーに寝かせると、
《さぁ、貴女は生まれ変わって生き返るのよ》
皐月は両手を胸の上に置き、掛け声と共に気を送る。
激しく春美の身体が振動し、息を吹き返した。
春美の暗闇に光りが差し込む。
「うっ、げほ、げほ。アタシ、死んだんじゃ」
皐月はこの上なく優しく笑い、
「ええ、一度殺したわ。でも、甦えらせたの。負け犬のままでは嫌でしょ?」
右手を差し出し、
「力が欲しいのなら、この手を取りなさい。私は目の前で恋人を殺され、その殺した男にレイプされ続け、麻薬中毒者にもさせられた。でも克服して、今こうして此処に居る。貴女にも出来るはずよ。生まれ変わったんだから」




