ep.031 am00:25 新潟県近海 日本海海上
am00:25 新潟県近海 日本海海上
《ん~、後30分て処かしら。音速の世界もたまにはいいわね》
そんな事を考えながら、ベスがdb1を駆しらせていた時、後方から近付く戦闘機がサイドミラーに写る。
《え?戦闘機?って事は・・・、!!!アタシって未確認飛行物体?そっか箒ならレーダーには写らないけど、スカーレットのボディには金属も使ってるもんね。気をつけないと、下手すれば威嚇射撃ぐらいされかねないわね・・・。だったら》
ベスは優しくdb1のタンクを撫で、
「ふふっ。ちょっとだけ遊ぼうか、スカーレット」
db1のヘッドライトが点滅する。
ベスは速度を上げ、F-15Jイーグルと距離を取った。
次にフルブレーキを掛けると、db1を横滑りさせながら反転させる。
周辺の空気が震動した。
「OK!行くよ!!!」
掛け声と共にベスは、迫り来るF-15Jイーグル2機の間に、db1を突っ込ませて行ったのである。
生駒2等空尉は、反転したdb1に驚いて、
「おい、三郷。来るぞ!」
操縦桿を持つ手がじっとりと汗ばむ。
刹那、生駒は操縦桿を左に切り、db1を避けた。
右に避けた三郷が無線で吠える。
『おい、生駒。アレもUFOなのか?』
少し泣きそうだ。
生駒は機体を反転させながら、
「知らん!只、お前が言ってるUFOが空飛ぶ円盤を指しているなら、答えはネガティブだ。しかし、未確認飛行物体と言う意味なら正解だがな・・・!!!」
生駒は固まる。
体制を立て直した時には、db1が消えていたのだ。
「おい、三郷。そちらから目標物捕捉出来るか?」
直ぐに応答が返ってきて、
『すまん。ロストした・・・』
2機のF-15Jイーグルは、db1の向かっていた方向に機体を向かわせる。
計器をチェックしていた三郷が叫ぶ、
『生駒、下だ!下からこちらに急接近してくる物体が・・・。うわっ、間に合わない!』
しかし、生駒と三郷は2機の間に割り込んだのは、もちろんミサイルなどではなく、db1を駆っているベス本人である。
ベスはF-15Jイーグルが反転するまでの間に、そのまま降下して海面すれすれで様子を伺っていたのだ。
ベスはフードをずらし、ヘルメットのシールドを上げる。
右左と顔を向け、軽く二人の航空自衛官に手を振った。
生駒と三郷も、目を見開き口をあんぐりと開けたまま、呆然と手を振る。
ベスは楽しんだのか正面を向くと、db1を更に加速してそのままF-15Jイーグルを振り切って消えてしまった。
無線越しに三郷が訳の分からない声で、
『おい、生駒よ。間違っても今の中国や北朝鮮の戦闘機じゃなかったよな?』
生駒も深くため息を吐き、
「ああ、どう見ても普通にバイクに乗った女の子だ。しかもおそらくかなりの美人だな。目を見りゃ判断る・・・」
『で、何て報告すんだ?まさか、未確認飛行物体がバイクに乗った女の子でしたって・・・、言える訳ないよな。はぁ・・・』
三郷の声は、相変わらず空虚だ。
「とりあえずここからだと小松に帰るより三沢に帰着した方がいい。葛城さんも三沢に居るから、相談すりゃいいさ。それから・・・」
『それから?どうした?生駒』
「いや、な。カンなんだが、あの未確認飛行物体の女の子とまた会えそうな気がするんだ。近いうちに・・・」
確かに生駒のカンは大したもので、彼らは数時間後ベスの乗ったdb1と再遭遇する事となる・・・。




