表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】魔法はAIに管理されているはずだった  作者: (趣味で)ラノベ書くおじさん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
60/63

第59話 「終焉は、もう一度世界を覆う」

 二〇分後――。


 世界中の契約者が、一斉に戦場へ集結した、その時だった。


 最前線。アーサーの隣に立つ黒翼の妖精――マモが、ゆっくりと両腕を広げる。


 その仕草は、まるで世界そのものを抱きしめるように穏やかだった。


 だが、次の瞬間、大地が激しく震えた。


ゴゴゴゴゴ――ッ!!


 地鳴りが響き、空間そのものが悲鳴を上げる。


 黒い魔力が、大気を侵食するように天へ昇っていく。


 メーティスが警報を鳴らした。


【超高密度精霊魔力反応】

【演算不能――危険度、測定不能】


 世界中のモニターが一斉に赤く染まり、すべての国家AIが同時に警告を発した。


 その中心で、マモは静かに笑う。


「ならば……見せてやろう。最期の終末を」


 広がる黒い翼。次の瞬間、水平線の果てまで大陸を包む魔法陣が空を覆う。


 顕現する魔獣ベヒーモス


 その姿は、歴史上、人類未踏の圧倒的な巨躯だった。


 それを見た瞬間、サラの表情が凍りつく。


「……嘘、まさか……」


 フェロも絶句し、レヴィは小さく首を振った。スサノオでさえ目を見開いている。


「知ってるのか?」


 悠真の問いに、サラは青ざめた顔のまま、ゆっくりと空を見上げた。


「あれは……終焉級精霊魔法。あの日、世界を焼いた魔法、全部あれだった……」


 サラの声は震えていた。


 メーティスが冷酷な数値を弾き出す。


【確認:終焉級魔法】

【警告:単独迎撃――〇・〇〇%】


 アーサーが静かに微笑んだ。


「見たか。これが、アトランティスの力だ」


 マモだけが、嬉しそうに笑っている。


「一万年前、世界を終わらせた一撃。今度も同じだ」


 その瞬間、悠真が一歩前へ出た。黒炎が静かに揺れる。


「……大丈夫だ」


 その声は不思議なほど落ち着いていた。


「今回は、俺たちだけじゃない」


 悠真の背後では、集結した仲間たちが誰一人日和らずに武器を構えていた。


 メーティスが静かに全世界へ告げる。


【ユーザ名:天城悠真ヨリ要請】

全契約者同期リンクヲ開始】


【接続率一〇〇%ヲ維持】


 世界中の魔導ネットワークが一つになり、全妖精たちの魔力が共鳴する。


 あの時、決して存在しなかった光景。


 その中心で、悠真は黒炎を静かに構えた。


「やるぞ」


 黒い終焉の魔法陣が、ゆっくりと回転を始めた――。


――


 巨大な黒い魔法陣は、着々と回転速度を増していく。


【超高密度魔力収束。着弾推定、三十秒】


 マモは静かに微笑む。


「終わりだ。どれほど手を取り合おうと、人はこの力を越えられない」


 悠真は一歩前へ出ると、黒炎を構えながら、静かに息を吸う。


同期リンク――最終段階。最大出力】


 世界各地で同じ光が一斉に灯り、五柱の魔力が悠真の元へ重なる。


「悠真、お願い。みんなの未来を――」


 サラが肩へ降り立ち、悠真は不敵に笑った。


「みんなで守ろう」


 その刹那、メーティスが宣言する。


【全統合共同演算、完了】


【新規魔導理論、確立】


【名称ヲ設定】


 一瞬の静寂――。


真・統合魔法術式(コンコルディア)


【発動】


 万色の光柱が天を貫き、終焉級魔法へと真っ正面から激突する。


「……何だ、この魔法は!?」


 目を見開くマモへ、サラが毅然と言い放つ。


「これは魔法じゃない。あたしたちの未来そのもの!」


 次の瞬間。


 悠真の黒炎が《コンコルディア》の光を呑み込み、爆発的に巨大化した。


 「一万二千年の絶望だか何だか知らねえが――」


 悠真は不敵に口角を上げ、黒炎の出力をさらに引き上げる。


「俺たちの未来の方が、遥かに重てえんだよ!!」


 漆黒の星焔が、悠久の絶望ごと終焉の魔法陣をバリバリと喰らい尽くしていく。


 あり得ない光景に、アーサーの身体が激しく戦慄いた。


【報告:アトランティス術式、崩壊】


【推定:星焔『素粒子壊変』】


【報告:終焉級魔法、完全消滅】


 轟音すら消えた白い光の中、旧時代の終末が、文字通り完全に粉砕された。


 光が晴れた空は、どこまでも青く澄み渡っている。


「消えた……この終焉まほうが……」


 マモが呆然と呟き、アーサーもまた、理外の敗北に言葉を失っていた。


 マモの赤い瞳には、黒炎を揺らす悠真の背後に、

 あの日の“あの少年”の幻影が重なって見えていた。


「そうか……お前は、あの時の……」


 一度も覆ることのなかった滅びの運命を、人類は今、完全に乗り越えたのだ。


 押し寄せる世界中の歓声の中、悠真は冷徹な視線をアーサーへと向けた。


「逃がすかよ。本当の決着をつけようぜ、アーサー」


 術式の反動で強制転移し始めるアーサーの座標を、メーティスが瞬時に捕捉する。


 悠真の身体が黒炎に包まれ、その追撃のために空間を跳んだ。


「ちょっと悠真、待って!」


 サラが慌ててその光の軌跡を追いかける――。


――続く。

 次話、「夜明けの漆黒」

※本作はカクヨム様と同時投稿を行っております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ