表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法はAIに管理されているはずだった  作者: (趣味で)ラノベ書くおじさん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
2/13

第1話 「例外」

 「東京都立 渋谷第一魔導高等専門学校」

 通称:渋谷一高シブイチは、異様な空気に包まれていた。


 校門前には文科省魔導技術局の車両。


 普段は居ない警備ドローン。


 実技棟周辺には立入禁止テープ。


 そして何より――


 生徒たちの視線が落ち着かない。


「昨日の件、聞いたか?」


「『黒い炎』だろ?」


「いや、機材事故って発表されたぞ」


「絶対嘘だって」


 噂が飛び交う。


 だが俺――

 天城悠真あまぎゆうまには、何のことだか分からなかった。


 昨日の放課後。


 実技試験の途中から記憶が曖昧なのだ。


 気付けば保健室で目を覚ましていた。


 教師には


「軽い魔力酔いだ」


 と、言われた。


 それで終わり。


 だが、それだけで済む空気ではない。


――


 一限終了後。


 俺は職員室に呼び出された。


 理由は不明。


 面倒な予感しかしない。


 ノックをして中に入る。


 そこには担任だけではなく。


 見知らぬ少女が座っていた。


 黒髪。

 整った顔立ち。

 制服姿。


 いや、見覚えはある。


 学年首席。


 神代かみしろレイナ。


「座って」


 担任が言う。


 俺は椅子に腰掛けた。


 その瞬間。


 神代レイナの視線が突き刺さる。


 観察されている。


 そんな感覚。


「天城悠真」


 彼女が口を開く。


「昨日の放課後について覚えていることは?」


「……ほとんどない」


「どこまで?」


「実技試験の途中まで」


 レイナは端末を操作した。


 何かを記録している。


「その後は?」


「気付いたら保健室だった」


「黒い炎を見た記憶は?」


 俺は眉をひそめた。


「……さあな。魔力酔いしてたって今、先生が言ってたろ」


 レイナの表情がわずかに変わる。


 まるで予想通りの答えだったかのように。


「なるほど」


「何なんだよ」


「まだ話せないわ」


――ふっ


 思わず鼻で嗤ってしまった。

 だが、背筋を走る嫌な予感までは消せなかった。


 俺が、そう不機嫌そうに返すと。


 レイナは数秒黙ったあと言った。


「私は魔導技術局の監察官よ」


「昨日の事件の調査を命じられているの」


 そして。


 その予感は次の言葉で確信に変わる。


「天城悠真。あなたは現在、監察対象に指定されている」


――


 放課後。


 帰宅途中。


 俺は何度もその言葉を思い出していた。


 【監察対象】


 よく意味が分からない。


 (俺はただ、平穏に過ごしたいだけだっての)


 なのに。なぜ。


 その時だった。


 胸の奥が熱くなる。


「っ……!」


 立ち止まる。


 心臓が暴れる。


 視界が揺れる。


 昨日と同じだ。


 知らない記憶。

 知らない声。

 知らない景色。


 脳内へ一気に流れ込んでくる。


 そして。


 右手から。


 小さな“黒い”火花が弾けた。


 パチッ――。


 ほんの一瞬。


 だが確かに見えた。


 黒い炎。


 そして、“それ”が転がっていた空き缶に触れた瞬間。


 電子ノイズに似た音と共に、消失した。


「……なんだよ、これ」


 俺自身の声が震える。


 焦げ跡すらない。

 ただ、そこに“存在しなかった”かのように、空間が切り取られていた。

 

 次の瞬間。


 “それ”は消えた。


 まるで幻だったかのように。


 しかし――


――


 東京湾海底。


 第七演算施設に設置されている《メーティス》は見逃さなかった。


【観測不能反応を再検知】

【対象:天城悠真】

【危険度上昇】

【分類更新】


 そして――


 赤い文字が表示される。


例外イレギュラー


――続く。

 (第1話・完)


 次話、「監察官」

 <迫る実技試験で、新たなバグが!?。その少女、天才につき>

※本作はカクヨム様と同時投稿を行っております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ