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魔法はAIに管理されているはずだった  作者: (趣味で)ラノベ書くおじさん


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14/17

第13話 米中・同時襲撃 1「体育祭」

 雲一つない青空。


 残暑は厳しいものの。

 

 九月の爽やかな風が。


 都立渋谷一高シブイチの校庭を吹き抜ける。


 観客席はすでに満席だった。


 保護者。

 卒業生。


 魔導技術系企業関係者。


 さらに魔導技術局関係者や。

 

 各国からの留学生まで集まり。


 校内には、百機を超える撮影ドローンが浮かんでいる。


 大型モニターには、本日のタイトルが映し出された。


【第××回】 

【都立渋谷一高 体育祭しぶや・はい


 司会のアナウンスが響く。


「それでは選手入場です!」


 大歓声。


 各部活動が次々とグラウンドへ姿を現す。


 そして――。


「M-tube映画制作委員会!」


 レイナを先頭に、悠真、廉太郎。

 そして、部員たちが堂々と入場する。


 学年首席、神代レイナの入場に。

 

 更に拍手が沸き起こった。


――


 順調に各競技が消化されていく。


 “M-tube映画制作委員会”は健闘を重ねる。


「次の競技は!」


「障害走!」


 実況の声とともに、巨大な魔法陣が校庭へ展開される。


 炎の壁。

 浮遊足場。

 高速移動する障害物。

 

 魔力を吸収する雲梯なんて代物まで。


 さらに、上空には自律型ドローンが旋回している。


 全国でも有名な、高難度競技だった。


「位置について!」


 スタートライン。


 悠真の隣にはレイナ。


 二人は静かに視線を交わす。


「負けないわよ」


「俺も」


 パァァァン!


 号砲が鳴る。開始。


 二人は同時に飛び出した。

 

 いや、すでに悠真が一歩リード。


 悠真は驚異的な身体能力に魔力を乗せ、障害物を駆け抜ける。


 壁を蹴り、空中で体勢を変え、浮遊足場を最短距離で踏み抜く。


 一方。


 レイナは《メーティス》と高密度連携。

 精緻な魔力制御で最適解を導き出す。


 悠真に劣らず、無駄のない動きでコースを攻略していく。


 最後の直線。


 悠真がさらに前へ。


 レイナも食らいつく。


 ゴール!!


「一位、天城悠真!」


「二位、神代レイナ!」


 観客席が大歓声に包まれた。


「速すぎる!」


「二人とも全国レベルだ!」


 レイナは悔しそうに笑う。


「また負けた」


「まだまだ、だな!」


 悠真も笑い返した。


――


 競技はどんどん進む。


 続いて棒倒し。


「頼んだぞ!」


 廉太郎が拳を握る。


「今度は折らない!」


「そこが最低条件だから」


「試合開始!」


 廉太郎が即座に突っ込む。


 敵の攻撃を防御魔法で受け止め、そのまま突破。


 悠真が援護。


 後方から拘束魔法を展開する。

 さらに、味方に筋力増強術式を展開。

 

 ここでは、現代魔法で事足りた。


 二人の連携は見事だった。


「今!」


 廉太郎が棒へ飛びつく。


 今度は力加減も完璧。


 ドォン!


 敵陣の棒が倒れる。


「勝者!」


「M-tube映画制作委員会!」


 この競技に参加した味方部員たちも歓声を上げる。


「やったぁ!」


 廉太郎がガッツポーズ。


「今回は折ってない!」


「そこ誇るところ?」


 会場中が笑い声で包まれる。


――


 参加予定の最終競技。


 大玉転がし。


「ここを勝てば」


「優勝が見える」


 レイナが静かに言う。


 三人は頷いた。


 開始!


 巨大な魔導球がゆっくり転がり始める。


「せーの!」


 三人の息がぴったり合う。


 練習通り。


 しかし。


 他チームも速い。


「抜かれた!」


「まだよ!」


 レイナが叫ぶ。


「悠真くん!」


「今!」


「了解!」


 悠真が最後だけ魔力も込め、全力で押し込む。


 巨大な球が一気に加速。


 ゴールラインを越えた。


 ほんの十数センチ差。


 判定を待つ校庭。


 数秒後。


「1位!」


「M-tube映画制作委員会!」


 校庭が揺れるほどの歓声。


 部員たちは抱き合って喜ぶ。


「やったぜぇ!」


 廉太郎は悠真へ飛びつく。


「お前すげぇ!」


「いや、みんなのおかげだよ」


 レイナも小さく笑う。


 その笑顔は監察官ではなく、一人の高校生そのものだった。


――


 夕刻。


 その他、全ての競技が終了。


 閉会式。


 司会のマイクにも力がこもる。


「優勝!!!!」


「M-tube映画制作委員会!!!!」


 巨大な優勝旗がレイナへ手渡される。


 嵐のような拍手。


 割れんばかりの大歓声。


 校長がマイクを握る。


「今年の体育祭は――」


 その時だった。


 ビィィィィィッ!!

 ビィィィィィッ!!


 校内全域へ警報が鳴り響く。


【警告】


【校内結界へ不正アクセスを感知】


 《メーティス》の機械音声。


 空気が一変する。


 次の瞬間。


 校庭上空の結界へ亀裂が走った。


 バリンッ!!


 巨大な穴。


 そこから輸送機ヘリが二機。


 ゆっくりと降下してくる。


 一機には“鷲”を誂えた“蒼い”紋章。


 【Orpheus(オーフィアス)


 もう一機には“紅い”“龍”の紋章。


 【円卓ヤン・チュオ


 観客席が騒然となる。


「何だあれ!」


「訓練じゃない!」


 レイナの表情が一瞬で変わる。


 巻かれたリストバンドに、掌を当てる。


 その裏に仕込んであった監察官バッジ型端末が黄金に輝いた。


「全員、避難!」


「これは実戦よ!」


 輸送機のハッチが開く。


 黒い戦闘服の男女が次々と飛び降りる。


 アメリカ・中国ともに、四名ずつ。


 奇しくも同じ数のようだ。


 どちらも、現代魔法の最高峰と分かる。


 圧倒的な魔力を纏っていた。


 その先頭の一人。


 ダニエル・クロスが、己の恐怖をねじ伏せるように悠真を見つめる。


「約束通りだ」


「我々、アメリカは」

「世界中の国を敵に回してでも」

「君を連れて行く」


「今日は、穏やかには済まない」


 一方。


 中国側の先頭に立つ、白狼バイランも静かに口を開く。


「契約者」


「迎えに来た」

「ともに来い」


 観客席に悲鳴が広がる。


 体育祭は、一瞬で戦場へ変わった。


 優勝旗を握るレイナは一歩前へ出る。


 黄金の魔法陣が静かに展開される。


「魔導技術局特別監察官」


「神代レイナです」


「ここから先は、一歩たりとも通さない」


 悠真もサラを伴い、自ずと前に出る。


 その腕に、星を孕んだ黒炎を纏って。


 黄金と黒。


 蒼、そして紅。


 四つの魔力が校庭で激突しようとしていた。


 学生たちの青春を彩った魔導体育祭は、


 その幕を閉じると同時に――


 海をまたいだ“超古代魔法”争奪戦の火蓋を切って落とした。


――


 東京湾海底。


《メーティス(JP)》が、静かに極秘通信を開始する。


【ここまで想定内】


【対象の撃退確率――二十%】


【自衛隊、特殊作戦群“SMA”】


【出動を要請】


【繰り返す――】


――続く。

 次話、「紅と蒼」

 <正面衝突。威信をかけて。>

※本作はカクヨム様と同時投稿を行っております。

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