表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
華麗なる、家令  作者: ねこまんまときみどりのことり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/41

その28 ソレルの苛立ち

「どうしたことか? あのバージル・フラナガンスが訪問したいなどと。王宮から退いたあいつが、私に今さら何の用だろうね。他人の行動などに、微塵も興味はないだろうに」


ソレル・アルカネット侯爵は、バージルの訪問希望の手紙を訝しんだ。彼とは親しい間柄ではないし、関わりも薄い。


「まさか、エルフのことがばれたとか? まさか、ね」


ソレルが依頼したのは、高額で雇っている熟練の裏の仕事人だ。

ずる賢く魔法の腕あり、搬送経路も何十にも張り巡らす昔から連なる断罪集団。もし捕まることがあっても、それは陽動で何も知らない雇われ者だけだ。


ソレルは彼らのお得意様になる。

裏切ることは考えられない。


「引退したなら猫とでも戯れていれば良いのに。下手な正義感を起こせば長生き出来ないよ、バージル」


余裕な態度で地下室のソファーでワインを片手に、楽しそうに笑うソレル。凍りづけのサルベーナのガラスの容器の前で、生きている時と同じように語らっている。


生命を終え物言わぬ彼女は、彼が最期に見たままの姿を保っている。もう20年が経ち、ソレルだけが年を重ねていく。


「ああ。早く、早く、君に触れたい。君の声が聞きたいよ」

ワインを飲み終え、凍った容器に手を広げて抱き締める。涙ぐみながらソレルは声をあげた。


「あと少し、もう少しなんだ………。こんなチャンス逃すわけにはいかない。まして邪魔されるなどあってはならない。既に時間が経ち過ぎているんだ」


ソレルはもう初老に差し掛かっている年齢だ。だがサルベーナは若いまま。


このままでサルベーナが甦っても、さすがに若い少女と初老の体では恋も出来ないだろう。もしサルベーナが良いと言っても、寿命はすぐに2人を別つはずだ。


だからソレルは何度もエルフの死体を使い、若返り薬の錬金術を繰り返していた。錬成は完成し、僅かな時間であれば若返りは可能になった。それを維持するには、生体のエルフの活性細胞が必要だと理論づけた彼。ジュリアはスキルを持つ子を産む為、そして錬金術の素材として必要とされる。


逃がす訳にはいかないのだ。

だが彼女が駄目になれば、また違うエルフが使われる予定だ。在庫はいくらでもあるのだから。



でも彼はバージルだけではなく、エルフ国の前国王や他のエルフ達が協力していることを知らない。

彼にとっては予想外なことだろう。


どうやら、悪事はうまくいかないようだ。


これから勝敗が決まっている騙しあいが始まることを、ソレルはまだ知らなかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ