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華麗なる、家令  作者: ねこまんまときみどりのことり


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24/41

その24 娘ジュリアを助けたい、父ハガノミヤ

 「お前は美しいね、ジュリア。俺に愛されて嬉しいだろう? ふふっ」

「ええ、とても光栄ですわ。アルカネット小侯爵様」


ジュリアの父親ハガノミヤを守る為に、ジュリアはルバーブ・アルカネットの愛人になった。現在はソレル・アルカネット侯爵邸に連れて来られ、ジュリアはルバーブの隣室にいた。


ルバーブを溺愛する侯爵夫人のマチルダに知られれば、かなり面倒くさくなりそうなので、ソレルは隣室ごと認識阻害魔法をかけた。これで夫人がその部屋に興味を示すことはないはずだ。



「ソレル・アルカネット。あの男はいつもアルカイックスマイルを振りまいているが、目が笑っていない。仄暗い不気味さが怖いわ。今は逆らわず状況を整理しましょう」

ジュリアは伯爵令嬢だが教育をしっかり受け、かなり頭脳派である。父ハガノミヤは母を亡くしたジュリアにハンデが生じないように、教育面には力を入れていた。何れ爵位を継ぐことも視野に入れていたから。


そして今120才になる彼女は、過去に数人の恋人がいた。父は純潔だと思っているだろうから申し訳ないが。人間に体を弄られるのは屈辱だが、後できっと倍返ししてやろう。



ジュリアは反撃の機会を虎視眈々と狙っていた。



◇◇◇

元々ハガノミヤは子爵の次男。優秀さを認められ婿に入り、アクネージ伯爵家を支えて来た。体が元々強くない彼の妻は、ジュリアを産んでから程なく亡くなった。

「優しい貴方が旦那様で良かった。1人先に逝くのを許してね。私とっても幸せだったのよ。子供まで授かれると思わなかった。ジュリアをお願い。貴方も元気でいて……」

「置いて行くなよ。………ああ、私も愛しているよ。ずっと、これからも」


死別した妻より託された娘に、贅沢をさせたくてつい魔がさし、世界樹の取り引きで横領をしてしまった。すぐに手を引くつもりだったが、上司に当たるアモンビラス達にバレて脅され、悪事を止められなくなっていた。


さらにギガンティースと軍務大臣アールベイカ達は、他の貴族達を巻き込み国王罷免をしてナッカス様を追い出してしまった。


確か世界樹は多くの魔力を吸って生きる、管理が難しい樹だ。それを生かして来たのは王家の者達。1人での魔力補充では難しいほど多くの魔力が必要で、側近達も助力していたと聞く。


けれどギガンティースは私が助言しても聞くことはなく、「きっと大丈夫だ」と言って管理を放置し、思った以上に早く世界樹を衰弱させた。緑溢れる葉の色は紅葉し、落葉して枯れてしまった。

その後に急いで魔力を注入しても遅かった。もう樹は枯れたままで復活しなかった。


それから私は転落した。

世界樹の販売担当者である自分に責任が押し付けられ、娘がソレル・アルカネット侯爵邸に連れて行かれた。侯爵息子の愛人にされるらしい。


愛して育ててきた愛娘が、人間ごときの愛人なんかに………。自分の命を差し出せば娘を解放して貰えるなら、すぐにそうしている。だけどそれは願っても無駄だろう。

優しいジュリアは私に生きて欲しいと、願ってくれている。ならば私は生き延びて、ジュリアを救い出すだけだ。


「ああ、ジュリア。お前も生きていておくれ。必ず何にかえても助けに行くから」


ハガノミヤは、ジュリアにそう誓った。

私は今、黒いフードの男の邸にいる。幸い私には興味がないようで、毎朝食事を部屋の前に置き後は放置されていた。監禁されている訳ではないのだ。外出して手がかりを探し、ナッカス様に助けを求めることにしよう。あの黒いフードの男は、私を馬鹿にしているから侮っているはずだ。



ナッカス様にはこの命と引きかえに嘆願しよう。一度裏切った私にはもうそれしかない。たとえ奴隷に落とされようと、娘の為ならば怖くはない。娘が自由になるなら、約束を破るのもやぶさかではない。

もしその時は、ごめんなジュリア。


◇◇◇

自分の罪に娘を巻き込んでしまったことを、取り返しのつかない事態になって漸く後悔したハガノミヤ。


ハガノミヤは以前、バージル・フラナガンス前侯爵がナッカスの元に登城したことを知っていた。エルフが城を出た後に、行く先はあまり多くない。去る直前に接触があった彼に当たりをつけたのは、間違っていない気がする。



だから今、人間界にいるハガノミヤは、バージル邸を目指すのだ。




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