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華麗なる、家令  作者: ねこまんまときみどりのことり


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17/41

その17 ナッカス国王、オレット男爵へ

 そんな訳で約束の日。

バージルの迎えにより、エルフ国の国王ナッカスが護衛クロームと共に男爵家に現れた。


「はじめましてだね。私はナッカス・ベレトローズ。隣にいるのは護衛のクロームだ。よろしくね、マーリン」

「よろしくお願い致します。クローム・フィルレンです」



2人は深く礼をし、優しい声で自己紹介をした。

気高いエルフの国王が、人間に頭を下げることなどあり得ないことだ。そもそも姿を表すことすら稀なのだ。


そのことをレモングラスから学んでいたマーリンは、慌ててカーテシーと共に名乗りをした。


「ようこそ、おいでくださいました。マーリン・オレットです。こちらこそ、よろしくお願い致します」

緊張の面持ちで初対面を果たしたのだ。


2人は煌めく銀の髪に黄緑の瞳をした、美しく痩身な姿だった。脆弱ではなく無駄のない筋肉、そして身長もバージルと並ぶほどでモデルのような佇まいだ。


純血のエルフは何て美しいのだろう。

そう思ってまじまじと見てしたマーリンに、ナッカスが微笑んで声をかけた。


「私の髪色が珍しいかい? グレースの髪もとても綺麗な銀髪だったのだよ」

ナッカスはそう言うが、マーリンが知る(グレース)は珍しくもない亜麻色の髪だった。そう話すとナッカスは少し考えてから頷いた。


「そうか。きっと銀髪は目立つから、魔法で変えていたんだろう。亜麻色も素敵だけどね。マーリン、君にも魔法がかかっているよ。良ければ、解いて見ようか?」


そのどこまでも優しい声に、マーリンはいつの間に頷いていた。どんな魔法がかけられているのか気になったからだ。


ナッカスがマーリンに手を翳すと、彼女の全身が光輝き髪が腰まで伸びていた。そしてその髪色さえも変化している。マーリンが全身を鏡に映すと、驚きを隠せず声があがる。


「え、嘘。これが私の姿なの? だって全然違う………」


動揺するマーリンだが、バージルも目を見張った。

そこにいるマーリンは、ナッカス達のように銀髪でそれに耳も長く伸びていたから。紛れもなくエルフそのものだった。


「君はエルフの血が多いようだね。とても嬉しいな」


母グレースは変身魔法が得意だったそう。でもまさか、自分にまで魔法をかけられていたなんて。そんなこと考えたこともなかった。


「安心して良いよ。私も魔法は得意だからね」

そう言って呪文を唱えると、変身を解く前のマーリンの姿に戻っていた。


ああ。本当に自分はエルフの血が流れているんだ。母はエルフだったんだと認識出来た。



そこでバージルが、みんなに声をかけた。

「お茶の仕度が整っております。応接室へどうぞ」

「ありがとう、バージル。じゃあ、ご馳走になろうか、クローム」

「はい、ナッカス様。バージル様ご馳走になります」


「さあ、お嬢様もどうぞ」

「うん。ありがとう、バージル」


気を取り直したマーリンは、バージルと共に応接室へ歩く。

「ねえ、バージル。さっきの見た? 私の姿」


バージルは少し笑ってマーリンに言う。

「美しいお姿でしたね。でもどんなお嬢様も、お嬢様です。忠誠に変わりはありませんよ」


「………ありがとう、バージル」

何だか知らぬ間に、涙が溢れるマーリン。自分の存在が急に異質に思えたが、それをバージルが覆してくれたから。安堵の涙だった。


それが分かったのか、バージルは白い大きなハンカチを無言で差し出した。両手で受けとるマーリンはその武骨な態度に微笑む。


(バージルがいてくれて良かった)



訪問したナッカスに感情を揺さぶられるマーリンだが、そのことで更にバージルの存在を心強く感じたのだった。





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