ヒダカコウスケ2
そして、事件は起こった。
いつものように、アオイを調教している最中に啓介から邪魔が入った。
あろうことか、自分の殴りつけてきたのだ。
これには怒りが沸いた。
コウスケ以上に怒りに沸いたのは、雅代だった。
すぐに警察に通報し、啓介を逮捕させた。
切れた口の中を忌々しく思いながら、アオイの調教を続けた。
だが、その事によって、アオイが屋敷を出て行ってしまったのだ。
監視が甘かった…
それは否めない。
屋敷の者の隙をついて、屋敷から出て行ってしまったのだ。
これには雅代が歓喜した。
しかし、コウスケは自身の持つすべてを使い、アオイの行方を捜させた。
帰ってきたら、二度とこんな事がないように調教しないとならないな、と思いながら。
だが、実家にも、親友と呼ばれる女の家にも、何処にもアオイの姿はない。
見事なまでに雲隠れしていたのだ。
それは、コウスケを余計に苛立たせた。
だが、見合いの話など、しつこい雅代から逃げるいいきっかけでもあった。
すぐに、祖父が所有する高層マンションの一室を譲ってもらい、そこへと引っ越した。
祖父は、母の性格を分かっているのだろう。
アオイの家出の原因が雅代にあると分かっていたらしい。
すんなりと引っ越しの準備は出来た。
雅代は、最後まで抵抗していたが、それも無視した。
アオイの家出は、雅代の管理不足なのだと…
そう冷たく、そして蔑むように、考えていた。
そう言って。
そうやって、我慢をしていたが、その限界はすぐにきた。
元々、こういう事に関しては堪え性がないのだ。
思い通りにならないと、思い通りにしようとする。
そして、アオイの親友と家族に身の危険を告知した。
『このまま、アオイが帰らなければ、身の安全は保証できない』
と…
これは賭けでもある。
これで出てこなかったら、そいつらをどう潰そうか考えても気分は高揚した。
その数日後、アオイは母親の墓で保護されたと連絡があった。
すぐに、新しい新居へと連れて行くように命令した。
ただ唯一、祖父からの条件で祖父の愛人とされているメイドを自分達につける、との事だった。
祖父なりに、自分を疑っているのかもしれない。
それを晴らす為にも、それを受け入れた。
アオイは、無表情のままだった。
だが、その瞳には何かが宿っている気がする。
…これは、男の影か?
そう察したコウスケは、アオイを尋問するが、答えは同じだった。
『1人でいた』
それだけしか言わない。
どんなに力に訴えても、凌辱しようとも、アオイの口から、何処にいたのか、誰といたのかという事は吐き出されない。
苛立ちを覚える。
暴力と暴言は過激になっていくばかりだった。
そして、葛城製薬への出向の日がやってきた。
自分の下につけられた穂積という社員は優秀らしい。
自分が言いつけた仕事だけじゃなく、自身の仕事も軽くこなしていた。
気に入らないが、役に立つのだから、利用しない手はない。
こいつも、いつかは潰してやろうか…なんて考えも頭によぎり、すぐに止める事にする。
何かでボロが出て、後継者候補から外されたら、本末転倒だ。
だが、そいつもどうしても気に入らない点があった。
Wワークでバイトをしているらしく、仕事が終わるとすぐに帰るのだ。
家庭の事情とかではないらしい。
ただ、お世話になったから、という理由だった。
くだらない…そう思った。
何よりも自分が優先されないと気が済まないコウスケは、付き合いの飲み会すらバイトを優先する彼を許せなかった。
本気で彼を潰そうと考え出していた。
どうやってやろうか…そう考えて、家ではアオイを尋問と調教をしながら、日々が過ぎていく。
そして、アオイが妊娠しているのが判明したのだ。
時期的に、行方不明になっていた時期と重なる部分がある。
ギリギリ…だが。
だが、これで確定した。
アオイは、男といたのだと。
許せなかった。
自分以外の男に体を許した事を。
自分が望めない子供が出来た事も。
アオイに尋問し、事故を装い、子供を始末しようと考えていた。
しかし、そこに祖父から連絡が入ったのだ。
『元気な赤子を期待している』と。
もし、これでアオイの子供の故意に処分しようとすれば、祖父にバレてしまう。
最悪、自分がアオイに行っている行為も白日の下にさらされるだろう。
そう思ったコウスケは一旦、子供の始末を止めた。
あくまで一旦だ。
父親が誰であれ、生まれてしまえばいい。
それが男子なら、後継者候補で、佑介の先を行けるかもしれない。
誰の子供か分かれば、その男を処分したらいい。
手はいくらでもある。
とりあえず、尋問という名の暴力を続けながら、アオイから父親の名前を吐かせようとした。
だが、アオイは『あなたの子供です』と白々しく言う。
自分は、子種がないから自分の子供な訳がない。
苛立ちと焦りから、お腹の子供も危険に晒す直前までいった。




