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君と僕との秘密の日々  作者: 如月まりあ
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告白2

「家に帰った私を、騒動になった事を責められ、さらに扱いはヒドクなるばかりだった。私は、堪えるしかなかった。でも、ケイスケ君は…」


そこでアオイは、ポロポロと涙を流す。


声をつまらせながら


「私を殴ろうとした夫を、殴ってしまったの。私を助けようとして」


言い終えると同時に泣き崩れてしまった。


「夫が怪我を負った事で…日高の母は激怒して…ケイスケ君を傷害で警察に突き出した…」


絶望に満ちた声だった。


カナメは、腕に力を込めて


「それで…そのケイスケ君は?」


アオイは、握りしめていた拳に力を込めて


「今は…施設に…でも…少年更正施設に送られると思う。私のせいで…ケイスケ君、私の為に…」


アオイは、声を出して泣いた。


何故カナメに話してしまったのか、何故こんなに泣いてしまうのか、分からない。


言ってしまえば、カナメに負担をかけてしまうのに…


理由は、アオイ自身にも分からなかった。


カナメの優しさに甘えているだけなのかもしれない。


アオイは、声の出る限り泣き続けた。


まるで、すべての悲しみと苦しみを流すかのように…


そして、カナメは…


ただ黙って抱き締めるしかなかった。


アオイの涙を受け止めるしかなかった。


どうしたら、アオイを慰められるのか…


どうしたら、アオイの悲しみを癒してあげられるのか…


自分は何をしたらいいのか分からない。


自分は、どうしたいのか…


カナメの中で葛藤があった。


今すぐ、自分の長年の想いを告げてしまいたかった。


だが出来ないでいた。


言ってしまえば、アオイの負担になる事は、目に見えて分かっていた。


それ以上に…


自信が…無かった。


アオイの苦しみや悲しみを背負う自信が。


それは、相当な覚悟がいる。


でも…今の自分に出来るのだろうか?


何の力もない自分が、何が出来るのだろう?


今の生活を壊してしまうのは分かっている。


平凡だが…平和な日々を…


カナメは、自信が持てなかった。だけど…


アオイを、このまま放置は出来ない。


(意気地ナシだな)


自分が情けなくなる。


アオイは、たくさんの涙を流した後、カナメから体を離した。


「ごめんなさい」


唇を噛み、その表情はとても苦しそうだった。


関係のナイ人間に、話してはならない事を話してしまった。


アオイの胸一杯に後悔の念が広がる。


(何て事をしてしまったの、アオイ。もう…これ以上…)


アオイは、ゆっくり息を吸ってから


「私…帰るね」


消え入りそうな声で言った。


(これ以上、穂積君には迷惑をかけちゃいけない。もう…)


この人には、この人だけには、迷惑をかけたくはない。


自分の為に傷つく事はしてはならない。


それが…胸の奥へと封じ込めた想い人へ、アオイが出来る事だった。


そう…アオイは、カナメが好きだった。


長い間、ずっと。


カナメとは小学生から中学生まで、腐れ縁みたく同じクラスになった。


アオイにちょっかい出すカナメに、アオイが怒る。


そんな毎日が続いていた。


そして、それがアオイの心を支えた大切な思い出になった。


カナメも…大切な人になった。


だけれど…想いを伝えられずに高校が別れてしまった。


諦めよう…想いを必死に断ち切ろうとした。


だけれど…出来なかった。


それ程に…カナメはアオイの心をとらえていた。


コウスケと結婚する際には、絶対にコウスケに悟られないように、と胸の奥に封じ込めた。


嫉妬深い彼が、アオイの心を捉えていカナメの存在を知れば、どうするか分かっている。


幸せに暮らしているかもしれないカナメの生活を壊してしまう事は出来ない。


アオイは、必死に隠し通した。


そして、カナメとの楽しかった思い出は、アオイの心を支え続けていた。


アオイは、涙を拭いてから脱衣所に入る。


昨日、来ていた洋服があるはずだ。


洋服を見つけるが、乾かしてないからか、かなり濡れている。


だが、そんな事は言ってられない。


アオイは服を手に取り、着替えをしようと脱衣所のドアを閉めようとしたが…


【ガシッ】


と、カナメに腕を掴まれる。


驚くアオイにカナメは


「…行ってはいけない」


そう言った。


カナメの中で迷いは断ち切れない。


まだ、背負える勇気はない。でも…


ここで、アオイを帰したら、きっと後悔する。


カナメは、必死に考えた。アオイを留まらせる理由を。


「まだ、服が乾いてない。そんなの着たら、風邪をひいてしまう」


必死に考えた理由がそれだった。


「でも…これ以上は…」


アオイは、腕を振り切ろうとするが。


「まだ、ダメだよ」


カナメの真剣な眼差しに、大人しく


「…わかった」


と答える。


カナメは、少しホッとした。


だが、アオイは、濡れた服をそのまま持ったまま脱衣室を出た。


「この服を乾かしたいから、ハンガーとかあるかな。それと室内で干せる場所」


カナメに問う。


カナメは、洗濯機の横にあったハンガーを取り出して


「これを使って。あと、干す場所はそこ」


と、真上にあるロープを指す。


「ありがとう」


アオイは、カナメからハンガーを受け取り、服をかけた。ロープに引っ掛けて干す。





何とも気まずい雰囲気が流れる。


二人とも、顔をまともに合わせられないし、どうしてよいのか分からない。


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