#22 顔合わせ2
うわぁ、めちゃくちゃ遅くなってしまった!?すみません!
~演習場~
クロウ先生はすまし顔で演習場に入り、ちょうど真ん中に立った。彼の装備は細い剣2本のみ。普段着で動きやすい恰好をしている。
そして、学生剣士たちが入場する。大剣、レイピア、双剣といったあらゆる剣を持つ生徒が演習場に上がる。そして、彼らはその剣を抜いた。
学生たちが切りかかるのはクロウ先生のみ。生徒同士の剣は当たらぬよう、綿密に計算されつくしたその剣は、生徒の合間合間を縫って通り過ぎていく。しかし、その剣は間違いなくクロウ先生を狙ったものであり、彼が無事であるはずがなかった。少なくとも、クロウ先生を初めて見る観客席の新入生が悲鳴を上げるほどの剣技であった。
しかし、何かがおかしい。
クロウ先生の身につける服には何の傷もない。しかし、彼はその場からほぼ動いていない。避けているわけではないとするならば、なんだろうか。得体のしれぬ力でも働いているというのだろうか。答えは、否であり、是である。
彼は手すらも動かしていない。しかしながら、彼が身に着けていたはずの剣はいつの間にかその姿を消していた。剣閃飛び交うその最中に、その事実に気付いたものは多くない。これが、彼がこの闘技場の管理を任された要因の一つである。
彼のスキルは【堅流剣】という。
彼の剣もまた、マリー先生と同じように守護に特化したスキルである。
彼は受け流しと受け止めの技術に特化している。自分の体に垂直に振られた剣でさえ、受け流しや受け止めでいともたやすく防ぐことができる。しかしながら、攻撃は全くというほどできない。彼から攻撃に転じることはないためどんな決闘であっても耐久戦となり、攻撃側の体力がなくなるまで続くのだ。
さて、スキルを理解したうえでクロウ先生の戦いをみてみよう。
彼に振るわれる剣は見事に逸らされている。つまり、彼は受け流しているのだ。それも、生徒たちがほとんどの抵抗を感じないように受け流されている。まるで、クロウ先生がその場に存在せず、空気を切っているのではないかという錯覚すら覚えるほどだ。
数多の剣が飛び交う中、いまだにクロウ先生は動く気配を見せない。最初と変わっているのは剣が腰にあるかないかのみ。彼は手を使って剣を振ることがない。体の特性上、手で振る剣の速さには限界があるのだ。そこで彼は、たゆまぬ努力によってスキルに新たな力を付け加えることに成功させた。それが、【剣操作】だ。その名の通り、剣を自在に操ることができる。剣2本を意思のままに操るため、ほぼ死角はないといっても過言ではない。
かなり長い間の攻防だが、クロウ先生は汗一つ流さずにそのすべてを受け流し続けた。
そして、しばらく続いたその演習も終わりを告げることになる。
クロウ先生の纏う雰囲気が川のようなしなやかな流れから、岩のようにどっしりとしたものに変わった。
その後に振るわれた生徒たちの剣がすべて、クロウ先生の周りでことごとく止められていく。たとえそれが連撃であろうとも、力をためて放たれた斬撃であろうとも、例外無く止まるのだ。
そして、すべての生徒たちの攻撃が止められた後、全員が剣を下ろし、観客席の方を見て礼をした。
まさしく、どんな戦いであっても模擬戦担当者が止めるというその自信が見て取れる。安心して、全力を出せる。そう感じさせるには十分だった。
あまりの凄さに声が出ないものもいたが、一人が拍手を送るとそれにつられて全員が拍手を始める。
拍手が鳴り止むまで待ったクロウ先生が、静かに声を発する。
「今日この後…、模擬戦をやろうと思うものはいるだろうか…?」
レオは、この後セルリアと模擬戦をする約束をしていたことを思い出す。そして、それを告げようと手を上げ声を出そうとしたとき、同時にセルリアも手を上げていたのだった。
「むっ…、2人か。そっちの男子。名前は。」
「レオと申します。先ほど手を上げていた女子のセルリアさんとの模擬戦の約束をしておりました。」
「なるほど…。」
そう言ってセルリアの方に向き、事実かどうかを確認する。
「レオとの模擬戦を約束していますわ!」
その声を聞くと、クロウ先生は再び口を開く。
「よし、二人とも降りてこい。今からやる。」
まさかの決定だった。ただただ自分たちが見せるだけではいけないと思ったのだろうか。真意のほどは定かではないのだが、ありがたい申し出であった。レオと、セルリアの返事は決まっていた。
「「はい。」」
そして、演習場に入場する。
レオとセルリアが入場すると同時に、クロウ先生とマリー先生が演習場の審判台の上に立つ。危険と判断された場合、剣であればクロウ先生が、魔法であればマリー先生が間に入るのであろう。
さて、全員に見てもらえるチャンス。間違いなく、このチャンスを生かさない手はない。
一瞬きらりと光ったように見えるレオの目は、それだけですさまじい闘気を表していた。
そして、この戦いが始まる。
クロウ先生とマリー先生の二人が同時に合図を出す。
「「始め。」」
そして、その模擬戦は開始された。
ということで、まさかの放課後ではなく今からという事になりました。さて、ハーレムものではないのでそういう関係にはなりませんが、仲間になるかどうか。それがこの戦いにかかっているといえるでしょう。
ではでは、次回もお楽しみに。再び遅れます。




