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#15 頼み事

 遅くなりました。

 ~宿~

「急に一緒に来てもらってもいいか。なんて、どうしたの?」

 今、二人は宿の一室で二人きりだ。


「一つ、お前を賢者と見込んで頼みたいことがあってな。」

 レオは賢者ナルの目をまっすぐ見て

「俺に魔法を教えてくれ。」

 ただただ真剣にそう言った。


「あなたが魔法?使えるの?」

 ナルは心底不思議そうに尋ねる。


「転生したときにスキルが変化した。今は昔のように戦士ではない。」

 レオは隠そうともせずそう伝える。


「どういうこと?あの時使っていたのは、戦士時代の技だったよね?」


 そうだろう。剣の入試のときに使ったあの技は、紛れもなく戦士の技だったのだから。


「あれは再現スキルだ。恐らく転生者につくギフトのようなものだろう。前世の知識や経験をもとに、今のスキルで可能な範囲まで再現するようだ。今のスキルでは、【戦士業(ウォーリアースキル)】Ⅷが限界だった。しかし、手応え的にはⅩも目指せる。」

 そう言うレオ。


「あなた、それ反則じゃない。それで魔法も使えるスキルなんでしょ?」


「最上級魔法までは使えるようにならないみたいだ。【戦士業(ウォーリアースキル)】Ⅷは、あくまで俺が持ってたから使えるらしい。」


 それでも反則だと、ナルは言う。


「ははは、そこで魔法の話だが教えてくれないか?あと、出来れば魔力量も増やしたい。」

 そう頼みこむレオ。


「いいよ?でも、条件というか、私からもお願いがあるの。」

 そして、妖艶な笑みを浮かべるナル。


「あなたのすべてを私に頂戴?」


 そう来たか。そう思うレオ。ナルはずっと待っていたのだ。あの時からずっと。これから先、転生してくるであろう戦士レンを。それならば返事は決まっている。


 ーーだが、一つ尋ねなければならない。


「お前は、またしてもお前よりも先に逝くであろう俺を許せるのか?」


 許す。そう続くだろうと思っていた。寿命は仕方がない。


「ううん。許さない。」


 返ってきたのは、想定外の返事だった。


「許さないよ~。あなたには、何があってもこの私と同じだけ生きてもらうから。」


 そう言って、笑った。


「私たちがともに愛し合うと決めたその時に互いの寿命を同じにする。そんな魔法を、私はあなたがいないすべての時を使って創ったんだ~。」


 恐ろしいことを言う。彼女は賢者となった時に、自分がエルフの中でも位の高いハイエルフになったと言ったはずだ。という事は、寿命は1000年にもなる。つまりは…。


「あなたは1000年、私と一緒に生き続けるの。」


 本当にびっくりした。ここまで想ってくれていたのかと。


 やはり、返事は決まっていた。


「俺なんかでよければ。」


 そして、二人はこれから先の生涯を共にすることを決めたのだった。


「さて、魔法の話だが…。」


「ふふ、気づいてないの?私の魔法は寿命を同じにする。だけど、そんな魔法を行使して、制約が出ないわけがないじゃん?それに、そんなにも強い魔法が寿命を同じにするだけ?もっとお互いに影響が出ると思わない?」


 頭の回転が速いレオは、ハッとする。


「寿命だけでなく、魔力量や知識の共有ができるのか?」


「そ。魔力量はある程度までは。知識は流石に多くはないよ。でも、お互いの許可であったり、信愛度が高まった時には解放される、といったら一番近いのかな?」


 なんともとんでもない魔法が開発されたものだ。


「ちなみに、その魔法は誰が使えるんだ?まさか公開していないだろうな?」

 レオは、焦ったように尋ねる。


「私しか使えないよ。だけど、違う誰かが1から同じものを作った場合は別だけどね。」


 安心するレオ。ひとまず、こんなえげつない魔法が他に使われることはなさそうだ。


「よし、本題だ。魔力量は解決したと考えよう。魔法を教えてほしいんだ。」

 弟子が、師匠に教えを乞うような感じだ。言葉遣いは対等だが。


「といってもねぇ?何がわからないの?魔法陣?」

 指をぐるぐるさせながら聞いてくる。


「そうだな。魔法陣の形がわからない。全属性Ⅲまでは行けたんだが、派生属性の出るⅧあたりまで欲しくてな。」


「Ⅷって…。私でさえ3年かかったよ?それだけの期間、修行できるの?」

 ちょっと引いたような感じになる。


「さすがに、Ⅷは要るだろ。お前と一緒に冒険するときは、要らないと思うけどな。」

 さもあたりまえかのように話す。


「Ⅷはあたりまえじゃないんだけどなぁ?まぁ、それじゃあ、覚悟だけしといてね。相当きつくいくよ。」


 こうして、全属性Ⅲどまりだった魔法の進化の目処がついたというわけだ。


 その日の夜、話をしていて遅くなってしまったため、ナルは部屋に泊まることになってしまった。宿屋の主人に話すと、一人分追加で払ってくれるなら問題ないとのことなので、ささっと追加した。

 これで解決したと思っていた。ただ一つを除いて…。


「ベッドが一つしかないな…。」


「一つしかないね~。」


 困った声と、うれしそうな声が同時に聞こえる。うれしそうなのは、まず間違いなくナルだろう。


「俺、床で「一緒に寝よう!」」


 床で寝ると言い出したレオに被せるように、一緒に寝ることを希望するナル。


 結局、レオが押し負ける形で、一緒に寝ることに決まったのだった。


 ベッドの中でナルは、レオの身長が伸び切っていないことをいいことに、抱きしめる形で寝た。


 結果として、レオは少し動こうものなら悩ましい声が聴こえ、向きを変えようものなら顔が胸に埋まり息ができない状態に陥った。


 次の日の朝、レオの目の下にはうっすらとクマができ、眠そうにしていたという。


 合格の通知は、2日後。もっとも、結果を知っていたとしても、点数であったり主席合格者の発表があるため、再び学校前に行かなくてはならない。


 まだ時間的な猶予があるため、再びクエストを受けようと決めるレオだった。

 次回は、クエスト回ですね。ナルの活躍が見れるかも…?

 レオの年齢が6歳であることを忘れそう。もっと、周りは反応してますが、特筆していないという事で…。身長差は、まさしく、母親と子供ぐらいの差があります。

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