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田舎はいい。
人が穏やかで、空気がよくて、食べ物が美味しくて。
今は、これは、ジブリの中での話だと思う。
私が、採用された仕事は少し、特殊かもしれない。
空店舗を利用した田舎町のカフェの立て直し。
面接ではそう聴いていた。
過疎化が、進む典型的な田舎町。
人は少ない上に、働く場所もない。
地域活性のためという、よくある理由の事業だ。
面接に行く前に、私は現在のカフェの様子を見に行った。
ガラス戸の小さなカフェは、店内に入ると、中は木材を使った可愛らしい作りだった。
スタッフは5人と多かった。
しかし、平日の3時、客は私しかいない。
オープンキッチンには、四人の女性。
もう一人は男性で、カウンター席でなにか事務をしているようだった。
お店には、空気がある。
一歩入った時から、私はこのカフェの不穏さを感じた。
うまくいっていない店は、空気が悪い。
音楽も流れていない店内には、店員のおば様達の話し声。田舎だなぁと思った。
暇だと、人は、だめになる。
窓際のテーブル席に座り、私は観察した。
席数はざっと、25席。規模としては悪くない。
スタッフも、素人だとしてもやり方さえ工夫すれば、回せるだろう。
一応、コーヒーと柚子入りアップルパイを頼んだ。
注文をとりにきた子は若く、しかし笑顔はなかった。
運ばれてきたアップルパイは、生焼けでパイがふやふやで、リンゴは嫌がらせのように甘く、柚子はリンゴとケンカをしていた。
あー、不味い。これで315円ね。
私はこのとき確信した。ここには料理ができるスタッフはいない。
コーヒーを半分飲んで、お手洗いに立つ。始めてきた店では、なるべくよるようにしている。
ここがきれいかで大抵掃除の程度がわかる。
意地が悪いと思いながら、手洗い場の棚を全て開ける。
乱雑に謎の瓶や袋。まぁ、こんなもんだろ。




