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華出井 葵(12)と願いの井戸 33

 ピザを2切れ乗せて皿を渡し返した甚八が、テーブルに置いているパズルを見ながら問うた。

「病院の時もソレを使ったのですか」

 葵が京護の病室に入って来た途端、影が葵をフェイクに、病院中を探ったのを指している。

 葵の手元のパズルは、葵と京護の間にある。

 ガラス製に見える形の内側から、淡く光っているのは変わらない。

 実はテーブルの下から影がパズルを触っているので、甚八はハラハラしているのだ。

 影がパズルに触れているのに、葵も京護も放置している。そして、パズルに変化は無い。

 表面には触れられているが、影が内部にまで到達していないのだ。

 皿を受け取った葵も、同じ物を一瞥だけしたが、興味はピザの方だ。

「同じじゃない。でも同じ」

 ハムとパイナップルのピザを食べ、口いっぱいに頬張る。

 何度か咀嚼し、飲み込んでからパズルを指さした。

「コレはこの家用。病院は別。願いがシンプルでないと使いにくいだけになるから」

 使いにくいと言う構造に興味はあるが、甚八は優先順位として上の方を確認する。

「では病院には、似た物がどこかにあるのですね」

「甚八でも置いてる場所は言わないよ」

 二口目は咀嚼後、手元にあるオレンジジュースを飲む。

「葵様。サラダも食べてくださいね」

 葵に甚八が言うと、隣の京護が、自分の皿に盛られているサラダを食べた。

「連君はおかわりいる?」

 質問の途中でも、京護の食欲には終始笑顔だ。

 ひと欠片残っている更に、甚八は最後のマルゲリータを乗せる。

「ありがとう。先生はもう良いの?」

「足りないなら頼むから大丈夫。連君も食べたいのあったら教えてね」

 京護が頷くのを見てから、葵との会話に戻った。

「間違えて触れない為に場所は気になりますが、葵様が教えられないと言うのであれば、諦めますが」

 甚八は空になったマルゲリータの箱を横に置き、照り焼きチキンのピザを手元に引き寄せる。

「僕が気にしているのは安全性です。

 病院内には、ICUなど命の危険な人や子供もいますから。安全が担保されていて欲しいです」

 持っていたピザを食べ終えた葵は、パズルを下からだけでなく、テーブルの縁からも伸ばして触れている影を観察する。

 引き寄せて、落としたいらしい。

「おっさん、ぼくにバレないようにやりなよ」

 ひょいと持ち上げて、テーブルの真ん中に移動させた。

「甚八。おっさん以外にも、おっさんみたいなのがいるって思ってる?」

「当然でしょう」

「半分正解で半分ハズレ」

 葵はサラダを無視して、ふた切れ目の、照り焼きチキンのピザを食べる。

「おっさんみたいに、生き物を食って見た目だけ変わらないままこっちにいるのが正解の方」

 二口目を食べ、飲み込んでから、正解では無い方を教えた。

「ハズレなのは、おっさんは京護と落ちた先のとまとめているから、オンリーワンみたいな物になってる。むかつく」

 テーブルの下からと横から伸びた影の先が枝分かれの手の平になり、ピースサインをする。


【ワシ あたま イイ】


「イエーイじゃないっ ほめてもないよっ 京護いじめたのまだゆるしてないからっ」

 二人のやり取りに聞き役だった京護は、影の勝利宣言に対してだけ、反応する。

「葵君。おとうさんて、ぼくの願いに横やりした事になるの?」 

 葵は京護に質問に、溜息と苦笑いを混ぜた。

「利用したのか、かけ合わせたのか混ぜちゃったのか。そこはぼくも分からないけど、京護のステータス的には、おっさんの方に寄ってるから、横やりで合ってると思う」

 葵は影を指さした。

「おっさんをこの家の敷居を跨がせてあげてるのは、京護と会えたからってだけだから。

 うっかり同じ世界にいない可能性だってあるんだもん」

 舌打ちをこらえる為にピザを齧った。

 サラリととんでもない事をいうなと、甚八は内心ひやひやしている。

 隣で聞いた京護は、葵の言った意味を考えながら受け取ったピザを食べ始めた。

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