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華出井 葵(12)と願いの井戸 91

 ピザを食べたダイニングルームまでは、もうすぐだ。

 あれを食べたきりだったなあと思い出すと、不思議にお腹が空いてきた。

 葵は、京護の腕を掴んで引っ張ったまま歩く。

「おっさんが京護守るのは分かってた。どれだけ抑えても、繋がってるから決まってる事。

 ムカツクけど安心もしてる」

 当たり前のように言っているが、当人が知らなかった事をなんで知ってるのか。

 自分が使われ、気を失っている間に何かあったのか。

 聞く前に、葵が振り返って続きを言った。

 とても良い笑顔で

「だから、京護も押しちゃいけませんボタンは押して良いと思ってたら良いなって。

 言い過ぎたらフラグ回収になんないでしょ」

「……そうかな」

 あさっての方向に視線を変えて一寸考えて見たが、頷いて良い内容には思えなかった。

 だって、自分は押すつもりが無いからだ。

 そして、死ななければ良いと言う極論も頷きにくい。

 京護が葵を理解しようと考えるあまり、唸りながら歩く。

「さすが京護。やっぱり僕ら友達だね」

 京護の悩みをも気にせず、自己主張だけで会話を終わらせた。

 終わってしまったし、ダイニングルームにも着いた。

「葵君と話してると、なんでもいい気がしてきたよ」

「良かった。じゃあ、ご飯ご飯」

 扉の向こうには、ミヨがいる。

 何も知らない、ミヨが。

 京護は、ミヨへの印象に変化が無い事を、自身に確認する。

 嫌いには、なっていない。

 そして、解決にはなっていないが、影と葵の言葉を信じるなら、自分は死なない。

 足元の影は大人しいので、忠告はしない事にした。言って効いた試しが無い。

 扉を二度ノックして、葵が先に入る。

 京護に近寄って来たのは甚八だった。

「連君、調子はどうかな」

「うん。大丈夫」

「その割には疲れてるね」

 疲れてる。確かにそうだ。

「葵君が元気だからかな」

「いや、君まだ14だろ」

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