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慕ってくれればかわいいもんだ

●●この小説は読者参加型です●●

あなたは自分が何科だと思いますか?

何科の人物に登場してほしいですか?

感想に書いていただければ、できる限り登場させてみます。

 大岩を破壊したばかりのまつりの目が、らんらんと輝いている。


「あたし、どのゲームでも一番になりたいの! いくよ、みんなっ!」


 しかしチームメイトの返事はない。見れば他のオレンジ色の三人は、後方でしゃがみ込み、ぜえぜえと息を切らしている。


「まつり、スタートからずっと全速力で走っているんだぜ」

「もう二チームも退場させたし。おてんばすぎるって」


 〝被害者の会〟による告発だ。もう一人がげっそりした顔で訴える。


優人(ユウト)、わたしたちをリタイアさせてくれない? もう限界なの。これ以上走れないよ」


 それを聞いたまつりは、激怒したポメラニアンのごとく髪を逆立てて振り返った。


「正気っ!? 脳みそをどこかに落としてきたの? 体力じゃなくて気力の問題でしょ!」

「だから、気力でついていけないんだって」

「まつりが生き残っている方が、二年生にとって損だと思うんだ。こいつ、共食いするから……」

「なあ、優人。助けてくれ。優人なら正しいことをしてくれるよな?」


 口々に懇願された。俺だって共食いする気満々だけれど。まつりは味方を作るのが下手すぎる。


「それがチームの総意なら……楽にしてやらなくちゃな」


 俺は()()()()、魔法の盾を出現させた。相手の願いを汲んだ優しさで、武器が強化される。オレンジの三人の体をなぎ払った。まつりが悲鳴を上げる。


「そんなのアリ!?」

「多数決だ!」

「体育祭で、民主主義を持ち出さないでっ——」


 その声も、次の一撃とともに途切れた。倒れた四人の体は光の粒子となって散り、風にさらわれて消えていく。


「悲しいなあ」


 俺は盾を収納しながら言った。特に悲しくはなかった。

 杏咲(アズサ)妹奈(マイナ)が駆け寄ってくる。


「すごおい! やっぱり聖人(セイジン)の武器はすごいのねえ」

「優人くんと同じチームじゃなかったら、今頃、絶対にやられていたよ……」


 うん、本当によかったな。感謝してくれ。


「まつりが騒がしかったから、他のチームに見つかったかも。場所を変えようか」


 俺たちは、ツルをかき分けながら木の間を進んだ。時折、どこかで爆発音が聞こえる。ジャングルのいたるところで、人間同士の退治がくり広げられていた。


 足が重くなり始めた頃、せせらぎの音を耳にした。休憩がてら小川のほとりに到着したとたん、勇ましい声が届く。


「優人先輩、お覚悟っ!」


 慌てて伏せる。向こう岸に白いジャージの四人が立っていた。誰だ? うちのクラスじゃないぞ。一人は小柄で、ウサギのようなふわふわの白髪だ。


「一年生だ……聖人は〝ヒーロー目・純真科〟の真白(マシロ)くんだけだね……」

「真白くんは、優人くんになついているわよねえ。同じ学級委員長だし」


 妹奈と杏咲からの情報がありがたい。ということは、あのウサギちゃんが真白だな。優秀な後輩だ。なにせ俺を慕っているらしいから。見る目がある。


 一方、真白のチームメイトはあきれ返っていた。


「真白、なんで声をかけちゃうかな。だまし討ちすればいいのに」

「そんなのずるいだろ。ぼくは正々堂々戦いたい。優人先輩もそうですよねっ?」

「へ? うん、まあ、そうだな」


 真白のまっすぐな赤い瞳に気圧(けお)され、ぽりぽりとこめかみをかく。


「ほらっ、ぼくたちはいったん武器を下ろすよ。先輩方、どうぞ武器を出してください。一、二、三のかけ声で始めましょう!」


 バカ正直さに大笑いしそうになるのをこらえる。これが純真科か。


「いーち、にーい、さん」


 小川を越えて、純白の光線が飛んできた。真白の武器は光線銃だ。俺は盾で杏咲と妹奈をかばう。ウサギのようにはね回る真白の銃撃は厄介だ。

 妹奈はぶつぶつと嘆いていた。


「絶対に負ける……若い子に勝てるわけがない……現実なんて見たくない……」

「若いって、一歳しか変わらないだろ」


 妹奈は膝を抱えて座り込み、顔をうずめた。おーい、現実は見なくていいから、せめて前だけは見てくれ!


 一方、後ずさりをした杏咲は、木の根っこにつまずき、わざとらしくすっ転んだ。


「きゃあああ! 怪我しちゃったあ。優人くん、妹奈ちゃん、ごめんなさいいい」


 ジャージも顔も泥だらけで、めそめそと泣いている。あー、うぜー!

 でも幸いなことに、真白がまぬけヅラで銃を下ろした。


「杏咲先輩、大丈夫ですか?」

「こら、真白、心配している場合か。杏咲先輩は、あざとさ科だぞ。チームの勝利よりも自分のあざとさを優先しているんだ」


 真白のチームメイトが鋭く叫ぶ。大正解。あのバチバチのまつ毛の隙間からこぼれ落ちている水滴は、涙ではない。〝あざと(じる)〟だ。


「ひどい言いぐさじゃないのお」


 杏咲がジャージの袖で、あざと汁をぬぐう。いじらしい。だが、その長すぎる袖から何かが飛び出した。パン!


「えっ?」


 あざとさを指摘した一年生の額に、小さなパチンコ玉が直撃した。体がぐらりと揺れ、そのまま砕け散る。


 杏咲の袖の中ではゴムが揺れていた。凡人(ボンジン)に支給される仮の武器は、パチンコか。見た目は地味だが、あざとさ増し増しで、威力は申し分ないようだ。


 真白は、信じられないとばかりに叫んだ。


「ひどいのはどっちですかっ! 転んだふりまでして!」

「だってえ、チャンスだからあ。それに、あず、本当に転んだのよお」


 杏咲のキンキンとした泣き声が鼓膜に刺さる。でもこれで、残るは三体三。天馬不在のハンデが解消された。


 一年生二人が、パチンコを手に、川の水をはね上げながら突撃してきた。


「左右から攻めるぞ! 真白は後方から援護射撃を頼む」

「優人先輩の盾が強化される前に、押し切れ!」


 いい判断だ。優しさ科の武器は、優しい行いによって強くなる。つまり俺に、人助けをする暇を与えなければいい。

 でもな——


「人助けなんて、五秒あればできる」


 なぜなら人間という生き物は、大なり小なり、常に困りごとを抱えている。今だって、ほら。一人がぬかるみに足を滑らせ、体勢を崩した。そこへ真白の光線が当たりそうになる。俺は飛び出し、盾で光線をはねのけた。


「優人先輩、どうして助けてくれるんですか」

「同士討ちなんて、後味が悪いだろ」


 爽やかに笑ってみせた。後輩たちの目が感激でうるむ。


「優人せんぱああい」

「かっこよすぎます!」


 俺の優しさに反応し、盾がふくれ上がった。


「……でも、ごめんな。俺は、俺のチームが大切だから」


 目の前の二人をまとめて吹き飛ばす。向こう岸では、真白だけがぽつんと立ち尽くしていた。


「優人先輩。なんて優しくて強いんだろう」


 俺を見つめている。純粋な憧れの表情のまま、銃口を自らの側頭部へ向けた。


「ぼく、一人で生き延びる気はありません。応援しています、優人先輩!」

「待て、早まるな、真白——」


 念のため引き止めたが、銃声とともに、真白は糸が切れた人形のように倒れた。ラッキー、謎の正義感で自滅してくれたぞ。


「残り三チーム、残り三チーム」


 ジャングル上空から、正義(セイギ)ちゃんのアナウンスが流れた。

人間性まとめ

ヒーロー目・純真科/真白


ヒーロー目にもいろんな人種がいます。

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