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きっかけはすぐに

●●この小説は読者参加型です●●

あなたは自分が何科だと思いますか?

何科の人物に登場してほしいですか?

感想に書いていただければ、できる限り登場させてみます。

「明日は晴れますね。ということで、面倒なことに、体育祭が開催されます」


 タバコの煙とともに、(ハルカ)先生が特大のため息をまき散らかした。


「なまくら教師!」

「無気力教師!」


 教室中から野次が飛ぶ。このクラスの恒例だ。


「先生は無気力ではありません。気乗りしないだけです」


 遥先生が億劫そうに言う。


 この時点で、転生から一週間が経っていた。俺はすっかりこの世界の優人(ユウト)になりすましていた。できちゃうんだ。なにしろ、ここでは人間性がすべてだから。


 〝ヒーロー目・優しさ科〟の聖人(セイジン)。極端な話、優しければそれでいい。簡単だ。優しさにはおおよそ正解の言動がある。人助けだって、(くせ)づけば考えるより先に体が動く。色素の薄いミルクティー色の髪や瞳すらも、優しさの演出に一役買っていた。


 俺は首をかしげる。


「へえ、体育祭か。普通の高校生らしい行事もあるんだな」

「……俺たち、普通の高校生だぞ」


 閑がぼそりと言った。


「去年の体育祭では、一つ上の学年——今の三年生にボコボコにされたよね。だから今年こそは絶対に優勝してやる!」


 まつりの瞳はメラメラと燃えていた。ふうん、学年対抗なのか。なんだか俺も燃えてきた。最高のクラスを目指すには、わかりやすい目標が必要だ。


 転生後の新生活で、俺は主にこの二人とつるんでいる。クラスでたった三人の聖人だ。毎日一緒に怪人(カイジン)退治に出かけるから、というだけではない。

 閑は男女問わずモテモテ。まつりは常に大騒ぎしているから、中身がなくてもムードメーカーの雰囲気がある。仲間にするなら、迷わずこいつらだ。完璧な布陣(ふじん)が、俺の地位を盤石(ばんじゃく)にする。うん、友情ってすばらしいな!


「体育祭は、一気に人間性を上げるチャンスですからね。日頃(きた)えた人間力を存分に活かしてください」


 遥先生の言葉に、クラスメイトの目が一斉に輝いた。やっぱりそうくるか。怪人(カイジン)退治と同じく、体育祭でも人間性を見せる必要があるらしい。


 で、競技は何だろう? 校庭でかけっこ? 玉入れ? パン食い競争とか? 俺は足が速いし、集中力もある。何でも来い!


「例年通り、競技は〝人間退治〟です」


 聞き間違いかと思った。思わず手を挙げる。


「人間退治って、人間を退治するんですか?」

「それ以外にどういう解釈がありますかね」

「人間を? 退治? 合法的に?」

「体育祭ですので」


 答えになっていない。


「去年は鎖骨を折っちゃったんだよねー! 今年は気をつけよっと」


 まつりが高らかに笑う。俺は頭を抱えた。何なんだ、この学校。人間性を学ぶ場所なのに、どうしていきなり人間同士で殴り合うんだ。


「もちろん、きみたちは生身で戦うわけではありません。瓜二つの肉体を正義(セイギ)ちゃんが構築し、五感と動作をリンクさせ、戦います」


 遥先生の説明に、胸を撫で下ろす。なんだ、つまりゲームのアバターのようなものか。本体は安全。怪我をしないし、死なない。イデアリウムである正義(マサヨシ)高校ならではの体育祭だ。人間退治なんて物騒な名前だからビビってしまった。


「でも、痛みはちゃーんと感じるからね。骨折したとき、痛すぎて鼻血が出たもん」


 まつりがいたずらっぽく耳打ちしてくる。俺は再び真顔になった。


「これからクラスを四人ずつの五チームに分けます。三学年で合計十五チーム。最後までフィールドに残れば優勝です。優勝チーム全員が聖人(セイジン)に昇格するケースも稀ではありません」


 お、出世チャンスか。気合が入るな。〝団結! 青春!〟系の行事は、前世の俺が最も嫌っていたものだ。でも今はむしろ大歓迎。どんなチームだろうと勝たせてやるよ。それが俺の評価につながる。


「優人くん。もし一緒のチームだったら、よろしくね」


 控えめに声をかけてきたのは、心音(ココネ)だ。久しぶりに話した気がする。

 俺は上の空で「もちろん」と答えた。凡人(ボンジン)の彼女が何目(なにもく)何科(なにか)なのかすら知らない。


 正義ちゃんによる公正な抽選の結果、俺は赤チームになった。メンバーが集まる。


「優人、ごめんー。俺、チーム戦って苦手なんだよなー」


 顔を合わせるなり、男子生徒がほざいた。〝ユニーク目・気まま科〟の天馬(テンマ)だ。思いつきで選んだかのように、左右で違うスニーカーをはいている。良く言えば、何にもとらわれない自由な発想を持つ。悪く言えば、空気が読めない。俺は苦手。


「えええ……あずだって、役に立てっこないよお。みんな、ごめんねえ」


 魔法少女のような衣装に、ピンク髪のツインテール。両手を頬に当ててめそめそしているのは、〝チャーミング目・あざとさ科〟の杏咲(アズサ)。男子人気は校内トップクラスだ。俺は苦手。


「気まま科にあざとさ科……絶対に最弱だ……開始一分で全滅だ……」


 俺がひそかに考えていることをすべて口に出しているのは、〝インテリジェンス目・悲観科〟の妹奈(マイナ)。深緑色のゴシック系ワンピースをまとい、分厚い前髪でほとんど目が隠れている。俺は苦手。


「あざちゃんって、走れるの? 見るからに体力なさそうだけれど」

「やだあ。確かに、何もないところで転んじゃうことは多いけれどお。さすがに体育祭でヘマしないわよう」


 天馬の質問に、杏咲がぷくっと頬をふくらませた。


傍若無人(ぼうじゃくぶじん)くんに、ぶりっ子ちゃん……きつい……」


 妹奈がぼそりと言う。天馬が苦笑いをした。


「おいおい、(いもうと)ちゃん。悲観と悪口のハイブリッドになっているぞー。でも、まー、ハズレチームだよなー。俺、勝つ気ないし」


 カッチーン。でも俺は笑顔を崩さない。


「そう言わずに。勝てたらきっと達成感があるだろ?」

優男(やさお)くん。俺はね、達成感とか要らないのー」

「じゃあ、えーと……ほら、あれだ。青春しよう」

「青春とかも要らないのー。俺は適当にやるから、みんなで頑張ってくれー」


 チッ。気まま科は転がせない。たいていのやつは喜んでついてくるのに。


「あずは、優人くんの味方だからねえ。できることはするよお」


 杏咲が腕に抱きついてくる。周囲の男子の視線が刺さった。


「先に謝っておくね……絶対に優人くんの足を引っ張っちゃうから……」


 妹奈がぶつぶつとつぶやき続ける。言われるまでもなくわかっていることだ。


 はあ。罰ゲームかと思うほど相性の悪い人種だ。でもここで露骨に嫌な顔をするほど、俺はバカじゃない。にっこりと笑い、景気よく手を叩いた。


「よし! とにかく、明日は万全の体調で(のぞ)もうな!」

人間性まとめ

ユニーク目・気まま科/天馬

チャーミング目・あざとさ科/杏咲

インテリジェンス目・悲観科/妹奈


友人のリクエストで、あざとさ科の少女を登場させました。

ぜひ皆さまも、感想からリクエストをください!

あなたが見たい人間性のキャラを登場させます!

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