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最っっっ高のクラスに

●●この小説は読者参加型です●●

あなたは自分が何科だと思いますか?

何科の人物に登場してほしいですか?

感想に書いていただければ、できる限り登場させてみます。

 担任教師の(ハルカ)先生は、俺の奇行を完全に無視し、授業を続けた。器が大きいのか、それとも面倒くさいのか。


「究極の人間性を持つ聖人(セイジン)たち。なぜ現代において需要が高いのかは、理解していますね?」


 答えたのは心音(ココネ)だ。さらさらの銀髪が揺れる。


「多種多様な人間性の者が協力してこそ、新たな発想や発明が生まれるからです」

「はい、そんな感じです。平均的な人間が五万と集まったところで、ゴミ溜めにしかなりません。会議が長引くだけです。そんなぬるま湯のような社会は、とっくに淘汰(とうた)されました」


 教師としては言葉遣いが悪い気もするが、俺は心の底からうなずいた。くうっ、この世界、好き!


「人間は〝聖人(セイジン)〟と〝凡人(ボンジン)〟に分類されます。人間性を極めた者が聖人、そうでない者が凡人です。一人でも多くの聖人を育成することが、このクラスの、そして正義(マサヨシ)高校全体の急務です」


 遥先生がため息をつくと、紅色の煙とともにイチゴの香りが広がる。


正義(マサヨシ)高校二年。今、このクラスの聖人は、優人(ユウト)(シズカ)、まつりの三人です」


 天井を仰ぐ。快感がぞくぞくと背骨をのぼる。俺、優秀なんだ。

 まつりが快活に笑った。


「ハルくんだって、〝クール目・けだるさ科〟の聖人じゃんっ」

「教師が聖人であるのは当然です。きみたちの人間性を磨くサポートをするのが仕事ですから」


 なるほど。教室での喫煙は、けだるさ科だからこそ認められるのか。


「ということで、凡人の皆さん。三人を見習い、一日でも早く聖人になるように。それが先生のなけなしの願いです」


 クラスメイトたちがうなずく。その真剣な表情を目の当たりにし、自分のすべきことがはっきりとわかった。


 聖人、学級委員長、人気者。俺は最初から勝ち組の席に座っている。だったら答えは簡単だ。俺が、このクラスを導けばいい。

 尊敬、信頼、憧れ。前世では手に入らなかったものが、全部、俺のものになる。


 口角が勝手に吊り上がった。


 よし。決めた。俺がこの場所を——

 最高の青春にあふれた、

 最高の聖人だらけの、

 最高のクラスにしてやる。


 そしてその中心で、誰よりも輝くのは俺だ。


「では、聖人にできて凡人にできないことは何でしょう?」


 遥先生が億劫そうに教室を見渡す。まつりが元気よく手を挙げた。


「聖人は、武器を構築できまーす」


 ん? 武器? 俺、何かと戦わなきゃいけないの?


「はい、そんな感じです。まさに今、怪人(カイジン)の退治要請が入りました。優人、閑、まつり、すぐに向かってください」


 ん? 俺、出発するの? というか、怪人ってなに? 特撮?


「では、怪人の情報は正義(セイギ)ちゃんから」


 遥先生が言うと、その肩のあたりに人影が現れた。てのひらに乗るほどの小さな体に、透き通る羽。きらきらと光を散らし、羽ばたいている。妖精だ! 髪も服もパステルカラーで、絵本から出てきたような愛らしさだ。


「ターゲットは、スクランブル交差点にて通行妨害中。横断歩道を渡ろうとする人間を立ち止まらせています。遅くとも下校、退勤ラッシュまでに退治してください」


 正義ちゃんは、ガラス玉のような瞳でまばたきもせず、淡々と伝えた。

 まつりと閑が立ち上がる。

 

「まつり、ぶちかませ!」

「閑くん、怪我のないようにねー!」

「頼んだぞ! 優人!」


 クラス中の声援を浴びる。完全に出陣ムードだった。やばい、俺、何もわかんないぞ。


 必死に考えた結果、爽やかな笑顔を作りながら立ち上がった。


「俺に任せろ」


 ついでに、こぶしを握ってみせる。知らんけど。


 うおおおお、と教室が歓声に包まれた。どんどん上がっていく期待値。まつりに腕を引かれ、笑顔をこわばらせながら教室を後にする。


 ・・・・・・・・・・


 転生先の街並みは、前世とはまるで異なっていた。建物がおかしい。色とりどり。球体の家。ピラミッド型のビル。ぐにゃりとうねった塔。どう見ても建築基準法に違反している。まるで街全体が〝他と違うことは素晴らしい〟と主張しているようだ。


 まつりに引きずられるがままに校舎を出て、繁華街を目指す。(シズカ)も一緒だ。


「な、なあ——授業に出なくていいのか?」

「武器を召喚できるのは聖人(セイジン)だけでしょっ。怪人(カイジン)が出たら、もちろん退治が優先だよ」

「怪人って?」

「今日の優人(ユウト)は、いつにも増して冗談が多いね。怪人ってのは、人間を模した、正体不明の化け物でしょ」


 俺は、スキップで弾むまつりを観察した。化け物との戦いを前にする少女とは思えない。


「まつりがそんなにワクワクしているのは、おてんば科だからか?」

「怪人退治、楽しいじゃん。ねっ、閑?」

「……今、俺にはしゃべりかけるな」

「ああ、はいはい。チャージ中ね」


 寡黙科の閑は、(はかま)の袖をひるがえしながら歩いている。教室にいたときよりも一層、黙りこくっている。


 こいつら、つくづく、マジの変人だ。尖った人間性が評価される世界でなければ、社会から浮いていたことだろう。


「ところでさ。俺たち、手ぶらだけれど。武器はどうやって——」

「あそこだ!」


 答えが返ってくる前に、まつりが指差した。交差点のド真ん中に人影。小柄な老婆だ。人の好い笑顔で、延々と頭を下げ続けている。


「お先にドウゾ。いえいえ、ここは優先道路ですカラ……」


 結果、誰も進めなくなっていた。怒声や車のクラクションが響く。一見、人間にしか見えないが、あれが怪人か?

 まつりが不敵に笑う。


「あららっ、ありがた迷惑なおばあちゃまだ。優人、閑、準備はいい?」


 いやいや、よくない。俺はついさっきまで小学生だったんだぞ。何をすれば——?

 そのとき左胸が熱くなった。


「うおっ!? なんじゃこりゃあああ」


 三人の衣服についた校章バッジから、まばゆい光が噴き出す。光は渦を巻きながら集束し、質量のあるものへと変化した。まつりの手には身長を超える長さのトンカチが、閑の十本の指には漆黒の指輪が現れる。


 気づけば俺は、立派な盾をかまえていた。石のようにずっしりとした重みだ。これが武器か! この世界には、妖精も魔法も存在している。どんどん異世界らしくなってきたぞ。


「何年も使っているみたいに、手になじむな……」

「そりゃ何年も使っているからでしょ。武器を出せるのは聖人(あたしたち)だけ。その盾は、優人が蓄積してきた〝優しさ〟の結晶だよ」


 まつりが息を弾ませる。かと思えば、いきなり声を張り上げた。


凡人(ボンジン)の皆さん、こーんにーちはー! 安心してくださいっ。正義(マサヨシ)高校二年、おてんば科のまつりちゃんが助けにきました!」


 そのまま交差点に突撃。振り下ろしたトンカチが、横断歩道のしましまを砕く。

 周囲から歓声が上がった。


「すげえ! 聖人だ!」

「正義高校の制服だ!」


 なんだ、なんだ。俺たち、めちゃくちゃ重宝されているじゃないか!


 まつりは群衆にピースを向けた。さすが、おてんば科。こういう盛り上げがうまいらしい。

 しかしトンカチが潰したのはコンクリートだけだった。老婆が、年齢に見合わない俊敏さで飛びのいたのだ。


「近頃の若い子たちは、ちっとも交通ルールを守らないじゃないノォォォ!」


 老婆が金切り声を上げる。なるほど、確かに化け物だ。


 俺は少し盾を振ってみた。うん、扱い方は体にしみついている。あのしなびた体なら、俺にだって倒せるぞ。普通なら攻撃をためらうだろうが、俺は平気だった。だって、あれは化け物だろ? あれを退治できる者が優秀なんだろ?


 老婆に向かって一直線に走り出す。


「ちょっと、優人!? 何をする気——」


 まつりが叫んだ。盾を振り上げる俺の目の前で、しわだらけの腕がぐにゃりと歪んだ。


 ガツンッ!!


 鉄柱にぶつかったような衝撃が、腕から肩へ突き抜ける。そのまま体を弾き返され、アスファルトを転がった。痛ってえ!


「な、なんだ、あれ……」


 老婆の両腕は、道路標識に変わっていた。右腕は〝通行止め〟、左腕は〝一方通行〟だ。

 まつりの声が飛ぶ。


「バカっ、優人! 武器の強化もせずに突っ込むなんて!」

「強化?」

「武器は、人間性が発揮されるほど強度を増すのよ。優しい行いをしなきゃ!」


 え、え、ええっ。つまり、優しさを見せれば見せるほど、武器が強くなるのか? なんだよ、そのハンデ。戦闘時にどうやって優しくなれって言うんだよ!

優人は前世でいじめられていたので、痛みには割と強いです。


人間性まとめ

ヒーロー目・優しさ科/優人

クール目・寡黙科/閑

パワフル目・おてんば科/まつり

クール目・けだるさ科/遥先生

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