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どうもすみません、飼い殺し確定だった私が女王になりまして。  作者: 有郷 葉


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6/6

ミレディア、暗殺者を送りこまれる。


 この日も女王としての職務を終え、私はソフィアと共に自室で遅めの夕食をとっていた。

 近頃は外交の接見などが続いてやや忙しい日々が続いている。そろそろソフィアに休暇をあげたいし、私自身にも休みが必要かもしれない。

 などと考えを巡らせていて、不意に胸騒ぎが。


「ミレディア様、どうかしましたか?」

「うーむ、これはそろそろかもしれない……」

「休暇がでしょうか?」

「それもだが、私が女王に就いて結構経つ。この辺りで襲撃にくるはずだ」


 ソフィアがまだ不思議そうな顔をしているので、分かりやすく説明することにした。


 私の〈全体強化〉によって全ての国民の能力が上昇している。それは運動機能だけでなく、頭の回転速度や記憶力など、あらゆる面で上がることを意味した。

 この現象は他国にとっては脅威以外の何ものでもない。

 ヴェルセ王国と関係の悪い国も良い国も、何が何でも阻止に出てくるはずだった。


「一番手っ取り早いのが、魔法の根源を絶つことだ」

「つまりそれは……」

「私の暗殺だ」


 こう述べた次の瞬間、部屋の外から慌ただしい音が。この騒々しさは暗殺者などではない。奴だ。


「ミレディア様、大変です! お城の中を不審な人がうろついていたそうですよ!」


 オルセラが扉を開けると同時に叫んでいた。それから、モップを握り締めながら詰め寄ってくる。


「何が来ても私がお守りするので安心してください!」


 と宣言している合間に、先ほどオルセラが開け放った扉の隙間から黒い影が部屋の中に。

 ……このバカ従姉、暗殺者を案内してきたか。


「しししし心配しないでください! 絶対に私がお守り……!」


 私の前に立ってモップを構えるオルセラ。

 そのメイド服を引っ張って強制的に下がらせ、困った従姉をソフィアの腕に預けた。


「そこでおとなしくしていろ。ここは私が対処する」

「い、今の、幼児とは思えない怪力……。でも対処するってどうやって!」


 下がっても賑やかなオルセラに対し、ソフィアが冷静な口調で。


「大丈夫ですよ、オルセラ様。レベルが違いますから」


 そうこうしている間に、侵入してきた暗殺者は両手に何本ものナイフを取り出していた。私に向けてまとめて投げ放つ。

 見ていたオルセラが「すごい使い手だ!」と。


 確かに器用ではあるが、魔力はさほど込められてはいない。刺客としては中の下といったところか。

 下位魔法の盾で充分だろう、〈プラスシールド〉。


 私の目の前に半透明の板が出現し、飛んでくるナイフを全て弾き返した。

 さらに、間髪置かずに私は暗殺者に向けて手をかざす。


「後でどこに雇われたのか吐いてもらう。しばらく凍っていろ、〈アイスレイⅡ〉」


 私の放った冷気が暗殺者を覆い、首から上だけを残して体を氷漬けにした。

 まあ、多少は魔力を扱えるようだから凍死はしないだろう。


 前世の私は何百回、いや、何千回と命を狙われ、その全てを生き延びてきた。もう暗殺者の対処など朝の歯磨き並に手慣れたものだ。


「……ミレディア様、どうしてそんなに強いんですか?」


 呆然とオルセラが尋ねてきた。


「ソフィアが言った通り、クラスレベルが違うからだ」


 私の〈全体強化〉には大きな利点があった。それは全ての強化対象から経験値を得られるということ。つまり、国民一人一人の強化に対する経験値が私に入ってくる。

 その総量は膨大なものとなり、私はすでに【ルーラー】レベル41になっていた。一般にレベル20で熟練の域と言われ、〈識別〉の魔法で確認すると氷漬けの暗殺者は【シューター】レベル9だった。まあ、私の脅威ではない。


 話を聞いたオルセラがしょんぼりしながらぽつりと。


「私、まだ【メイド】レベル1のままなのに……」


 あのポンコツぶりで経験値が溜まるわけないだろう……。





お読みいただき、有難うございました。

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ミレディアとオルセラの続きの物語も書いています。

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