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賞味期限切れなんて誰が決めるんです?私の未来を勝手に決めるなんて許しません!  作者: はるくうきなこ


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33再会


 「ジュリアーナ。気が付いたのか?良かった‥」

 暖かい温もりがそっとわたしの手を包み込んだ。

 私はそっと目を開けた。テオドールが一番に視界に入って来た。

 「えっ?セバスチャンは?どうして」

 「ジュリアーナこそ、セバスチャンって?夢を見てたのか?」

 そう言われてやっとさっきまでの事が夢だったと気づいた。ぐるりと周りを見回す。

 見た事のない天井。寝ているベッドも見覚えのない物だった。

 「わたし‥」

 「カトレーヌと入れ替わっていたんだ。俺は君だと気づけなくて酷いことを‥」

 「元に戻ったの?」

 まだ、現実と夢の区別がつかないみたいに頭がぼんやりした。

 「ああ、ジュリアーナのペンダントから物凄い光が出た。一瞬で辺りを包み込んで落雷が落ちて‥あれはきっと禁忌魔法を解除するための魔法だと思う」

 テオドールにそう言われて自分の身に起きた事が脳裏によみがえる。

 ああ、そうだった。あの時セバスチャンに会えないって思った時の気持ちとカトレーヌを私だと思っているテオドールを見て物凄く気持ちが落ち込んで怒りや虚しさが一気に込み上げたんだった。

 でも、どうして私にそんな力が?私は魔力なんか持ってないのに?


 「信じられません。わたし‥」

 「ああ、俺も驚いた。ジュリアーナ君は2日も眠っていたんだ。すごく心配した。二度と目を覚まさなかったらって生きた心地がしなくて‥」

 「2日もですか?まさかその間ずっとここに?」

 テオドールは恥ずかしそうにこくんと頷いた。

 うわぁ、申し訳ないって言うか。私の責任じゃないよねって言うか‥

 私はぐっと寝たまま後ろに引いた。

 「それより君に話があるんだ。実は俺は子供の頃メートランド辺境伯に預けられていて.時々王都に行っていた。その時はいつもスタールクス侯爵家に遊びに行っていたんだ」

 「‥うそ。もしかしてあなたがセバスチャンなの?」

 「ああ、君に会った時少ししてあの時の女の子だって気づいた。でも、君は覚えていないかもって思って言い出せなかった」

 「覚えてるわ。それであのリンゴのウサギを懐かしいって‥」

 「うわっ、それ覚えてるのか?」

 「当たり前じゃない。セバスチャンはあれがすごく好きだったし、いつだって優しくて私は大好きだった。それなのに母様が死んだら会いに来てくれなくなってすごく寂しかったんだから‥」

 「ああ、あの時は俺も辛かった。でも、ナタリア様が亡くなって君のお父さんはすぐに新しい妻を迎えただろう?メートランド辺境伯がもうスタールクス侯爵家には行ってはだめだって言われて、俺は辺境伯の所でお世話になっていたから彼に逆らえなかった。そしてすぐに国に王太子として連れ戻されたんだ。今度は父である国王の顔色ばかり窺っていた。俺は母が死んでからずっとそうやって生きて来たんだ」

 「そんな風に言わないで、私だって母が亡くなって義理母や異母妹たちとはうまく行かなくて父様も私のことなんか知らないふりで、小さくなって生きて来た。だから結婚してダリルとうまくやって行きたかった。でも、そうはならなかった。でも、やっとキルナートに来て私自分のやりたいことが見つかったの」

 「ああ、カフェで仕事をしているジュリアーナは輝いてた。俺はそんな君を見てこのままじゃいけないって思ったんだ。だから父や腐敗した貴族たちを取り締まって国を立て直そうとしてる。それなのに俺は‥君をこんな目に合わせた」

 「それはあなたのせいじゃないわ。それに私、元に戻ったし‥でも、どうしてこんな事が出来たんだろうって思ってるけど」

 「ああ、俺も驚いた。でも、ジュリアーナが元の姿に戻ってくれてほんとに良かった」




 そこに2人の騎士が入って来た。騎士と言ってもかなり年配の人と若い人だ。

 「テオドール、ジュリアーナは大丈夫なのか?」

 「だから、もっと早く会うべきだったんです!」

 「リンズベル侯爵静かにして下さい。ジュリアーナはたった今気づいたばかりなんですから」

 「気が付いたのか?良かった。どれだけ心配したか。ジュリアーナ、私はおまえの祖父のレウス・リンズベルだ。こっちは孫のカイル・リンズベル侯爵だ。今まで放っておいてすまなかった。でも、ずっと会いたかった」

 2人とも銀色の髪で紫色の瞳だった。目元が母様によく似ている。

 「私のおじい様といとこ?」

 私は驚いて起き上がった。頭がくらくらするのは今の話のせいかもしれない。

 「ああ、俺はカイル・リンズベルだ。ジュリアーナ会いたかったんだぞ。いきなりあんな事になってたいへんだったな」

 「はぃ‥」

 どうしていいかわからなくて返事は尻すぼみになった。


 「やっぱりお前はリンズベル侯爵家の血を引いているんだな。あの魔力はすごかった」

 「あの力の事、ご存知なんですか?」

 「ああ、ジュリアーナ、お前はナタリアが持っていた紫色の石を持っているだろう?」

 「はい、これです」

 私は胸に下げているペンダントを見せた。

 「ああ、その石はな。代々スタールクス侯爵家に受け継がれているもので何でもはるか昔この辺りに住んでいた魔物の王を打ち取った時にそいつの身体が浄化されて残った石だと言い伝えられている。その魔物はこの辺りでは一番強く邪悪だった。でも、先祖がその魔物を殺して魔物は浄化された。そして残ったその石には身につけているものの危険を跳ね返す魔力を宿していると言い伝えられているんだ。だが、わしが生きている間にその石が力を発揮したのは見たことがなかった。これが初めてだ。やはり先祖の言っていたことに間違いはなかったんだろう」

 それで禁忌魔法を解除出来た訳は理解できた。このペンダントってそんなに凄い者だったなんて。

 でも、母は反対を押し切って父と結婚したはず?

 「でも、そんな大切な石をどうして母が持っていたのです?」

 「ナタリアは言い出したら聞かん子だった。婚約者がいる身で他の男に思いを寄せるなんぞ。でも、ナタリアの決心は固かった。それでその石をあの子に預けた。二度と会えないかもしれない。だからこそあの子を守ってやれるものを渡しておきたいと思った。それにナタリアに預けておけばあの子が帰ってくるかもしれないとも思った。だから」

 ああ、この人は母を愛していたんだって思った。

 ふいに言葉が零れた「おじい様と呼んでもいいですか?」

 「ああ、もちろん」

 「母はいつもキルナートを懐かしんでいました。家の中はいつも質素でしたが暖かさで溢れていて教会のバザーに領民の為にと母はいつも一生懸命でした。きっと母もおじいさまに会いたかったに違いありません」

 「ああ、会いに行くべきだった。余計な意地など張らずに今も後悔している」

 「はい、でも、私は母にたくさん愛されました。短い人生でしたが母は今も私の心で生きてますから」

 「ああ、私の胸の中にもいる。だが、ジュリアーナお前に会えたことが何よりの喜びだよ」

 「はい、私もです」

 おじい様が私を抱きしめてくれた。

 「じいさま。俺も入れろよ!ジュリアーナこれからよろしくな」

 「はい、カイルさん、よろしくお願いします」


 「まあ、やっと身内が会えたんだ。ゆっくりするといい。ジュリアーナ後で」

 テオドールは2人に席を譲ると部屋から出て行こうとしていた。

 このままでいいの?テオドールへの気持ちはもう誤魔化せなかった。確かにカトレーヌと私を間違えたのはすごく悔しい。けど、あの状態では無理もない事だと思う。

 私が意識を失っている間もきっとテオドールはずっと私のそばにいたんだろうと思う。

 ずっと後悔して苦しんでいたのだろうと。

 だから、私もはっきり彼に気持ちを伝えたいって思う。

 「私も話があります」

 今度こそ彼にはっきり好きだって言おうと思った。







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