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賞味期限切れなんて誰が決めるんです?私の未来を勝手に決めるなんて許しません!  作者: はるくうきなこ


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32禁忌魔法が


 「はい、お任せください」 

 騎士は私を拘束したまま連れて行こうとした。

 「ちょっと待って下さい。違うんです!私はカトレーヌじゃありません。あのゾルと言う魔術師が禁忌の魔法を使って私とカトレーヌを入れ替えたんです」

 「いくら何でももっとましなうそを言ったらどうだ?カトレーヌ王女殿下」

 冷たい言葉を投げかけた騎士の顔を見る。

 「えっ?ちょ‥あなた、ロイドじゃないの?どうしてキルナートに?でも、確かデヴェーラ国に帰ったはずじゃなかった?」

 目の前にいるのは確かにロイドだ。

 ロイドの顔が強張る。

 だってカトレーヌはロイドを知らないだろうし、私が辺境に送られてキルナートに逃げた事、そして一緒に送ってくれて宿で別れた事なんか知るはずがないんだから。


 「どうしてそれを知っている?」

 ロイドが私を睨みつけるように見た。

 「だから言ったでしょう?私とカトレーヌが入れ替わってるの。ゾルは前にも自分が捕まりそうになって誰かと入れ替わって逃げのびたって言ってたわ。あいつはそう言う禁忌魔法が使えるんだってば!」

 「そんなばかな事、出来るはずがない!」

 信じられないと額にきゅと皺を寄せて冷たくあしらわれる。

 「‥そうだ!ロイド。私を辺境に送ってくれた時、私はあなたやイアン、ダニエルに短剣を渡したわ。道中すごく楽しくてそれで何かお礼がしたくてあの短剣にはお守りの文字が彫りこんであって」

 ロイドの顔色が変わる。

 「どうしてそれを?あなた、本当にジュリアーナ様なんですか?では、あの人は‥?」

 「私の顔をしているのがカトレーヌなのよ!あの女、テオドールに取り入るつもりなの。国では国王に愛想をつかされて修道院に入るらしいから逃げて来たのよ。よりによって私と入れ替わるなんて!」

 考えてみれば夫を奪われ、今度は新しい人生を奪われようとしている。それも彼女の破滅の未来と引き換えに。許せない!

 


 何だか急に暗闇に沈んだ気持ちから一気に怒りが噴出したような気持ちになった。

 身体中の血液が沸き立った。

 心臓が激しく血液を送り出し血管はうごめくように脈打つ。脳内に眩い光が走った気がして胸のペンダントが光を放った。

 その途端、ゾルが発生させたような眩しい光がペンダントから放たれた。

 光は一瞬でその周りを取り囲みすべてを紫色の光で覆い尽くしドームのように私達を取り囲んだ。

 空には稲妻がひかり凄まじい雷鳴が響き渡る。

 そして稲妻が私達の上に落ちた。その光は取り囲んでいたドームの上に落ちて地面へと光が流れ込んで行った。

 その瞬間、私の心臓が大きく脈打ち身体が震えた。

 しばらくすると身体じゅうがぎゅっと押しつぶされそして弾けたみたいな感じがした。

 これって禁忌魔法を打ち破るみたいな?まさかね。


 「‥うそだろ!貴方‥ジュリアーナ様?ああ、あなた本当にジュリアーナ様だったんですね」

 目の前にいたロイドがそう言った声が聞こえた気が‥そのまま私は意識を手放した。



 私は深い闇の中にいるような気がした。

 その中で幼い頃のことを思い出していた。

 父様と母様はとても仲が良かった。食事の時もいつも笑い声が溢れていた。

 ”ジュリアーナ愛してるわ。あなたは母様の生きがいよ。”

 ”わたしも母様が大好き”

 ”ジュリアーナ、父様もお前を心から愛してる。”

 ”父様大好き”

 幼い頃は毎日幸せだったな。

 そして幼い頃一緒に遊んだセバスチャンの事も思い出した。

 セバスチャンと最初に会ったのは5歳の頃だった。子猫が木の上に上がって降りれなくなっていた時だった。

 セバスチャンは俺に任せてって言ったのにセバスチャンったら木から落ちて私も一緒に転んで、それでもセバスチャンが子猫を助けようとしてくれたのがうれしかった。

 そして私たちは友達になった。

 それから年に一度か二度セバスチャンは我が家にやって来た。

 いつも恐いおじさんと一緒だったけど母の知り合いらしく両親はいつもそのおじさんを喜んで出迎えていた。

 その度にセバスチャンと仲良くなった。少し大きいセバスチャンは絵本を読んでくれたり木の実でネックレスを作ってくれたり、花輪も作ってもらったな。

 セバスチャンはリンゴのウサギ飾りが大好きでいつも母様が作ってくれた。

 子供の私は次第にセバスチャンに淡い恋心を抱いた。

 でも、母様が亡くなって悲しくて寂しくてたまらなかった。

 セバスチャンに会いたかった。でも、彼はやって来なかった。

 そんな時、父様は新しい義理母のタマラ様を連れて来た。

 父様はだんだん私を構う事をしなくなった。

 私は独りぼっちみたいに思えた。それでも、そのうちセバスチャンが来てくれるってそればかり願っていた。

 でも、義理母がうちにやって来ておじさんもセバスチャンも来なくなった。

 私は我慢できなくなって父様に尋ねた。

 父様は言った。母が亡くなったから縁が切れたんだってだからもう来ないんだ。って。

 そんな‥

 それを聞いた時、胸の奥に大きな穴が開いた気がした。

 もう二度とセバスチャンに会えないと思うと胸が苦しくて苦しくて‥

 「う”、うぅぅぅ‥」

 そう言えばこの気持ち、テオドールが私じゃないジュリアーナに優しくして無茶苦茶私の心が苦しくて抑えきれない気持ちになった時と似てる。

 セバスチャンに会えないってわかった時もすごく苦しくて何日も熱が出て今みたいに胸にぽっかり穴が開いたみたいになった。

 何だかさっきの私みたいに。

 テオドールに見捨てられた私。

 空しくて生きているのか死んでいるのかもわからない。


 「ジュリアーナ。目を覚まして‥お願いだ。俺が間違っていた。君は本当のことを言っていたのに‥許してくれ。ジュリアーナ‥こんなつもりじゃなかったんだ。しっかりしてジュリアーナ」

 どこかで聞いたセリフ‥

 「セバスチャン?」

 私は意識を取り戻した。








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