18デヴェーラ国王に会う(テオドール)
俺は翌日護衛と俺の側近、数人の護衛を連れて出発した。
俺の側近はリンズベル侯爵家の次男マルクだ。
彼の母親はナタリア様の妹のミランダ様だ。彼女はナタリア様の婚約者だったハウル・ウィンダム伯爵令息と婚姻をしてリンズベル侯爵家を引き継ぎ今は嫡男のカイルがリンズベル侯爵家を継いでいる。
デヴェーラ国の王都には前触れを出して俺が国王代理として行くことを伝えた。
そして3日目の午後やっと王宮に辿り着いた。
すでにカトレーヌが帰って1か月近くが経っていた。
まずは国王陛下に謁見を申し出る。
「キルナート国王太子。テオドール・キルナートにございます。国王陛下にお目通り頂き誠にありがとうございます」
後ろには側近のマルクも控える。
国王は俺を汚い者でも見るように見た。
王族のくせに何だ、その顔はと言いたかったがぐっとこらえた。
「して、テードール殿下。今さら何用で我が国に来られた?」
蔑むような目でこちらを見られた。
「陛下。まずはカトレーヌ王女殿下との件でお話があります。マルク例のものを」
マルクは持っていたカバンから分厚い書類を取り出しそばにいたデヴェーラ国の役人にそれを渡した。
「まずはこちらの書類をご覧ください。我が国でカトレーヌ王女殿下がどのようにお過ごしだったか克明に綴ったものにございます」
この書類には彼女の日々の贅沢な暮らしぶりや侍女に対する暴力や暴言。そして護衛騎士達との華麗な浮気の数々が書き込まれている。
国王が顔をしかめる。眉を寄せ鼻をならし歯ぎしりをした。
「こ、これは‥本当にカトレーヌが?このような浅ましい事をしていたと言うのか?」
「お疑いならこちらに必要もなくドレスや宝石を買い込んだ領収書、侍女の怪我の診断書、またそれを裏付ける証言もございます」
「だが、カトレーヌはそなたに暴力を奮われ部屋に閉じ込められていたと、食事もろくに出されずとにかく辛くて、そして子が出来ないことを理由に側妃を迎えると言われてもう我慢できなくなったと、離縁したいと言うとこちらが申し立てたのだから契約はこのままに継続してもらうと言われたと‥だから、私はそちらの国王に離縁が成立した以上支援も見直し鉱脈への出資も考えたいと申し出たんだ。まだ、国王から返事は来ていなかったが」
「ハイ、彼女の話を鵜呑みにすればそうなるでしょう。ですが、私がすぐに来れなかったのは彼女に魔法で猫にされていたからです」
「ねこ?」
「はい、これは側近が集めた情報です。カトレーヌ王女は秘かにこちらの裏ギルドとも繋がりをお持ちのようで禁忌魔法を使えるものを雇っていました。これが証拠の契約書。彼女こんな大切な書類も残して帰ったようでして、相当国に帰りたかったのでしょうね」
俺はこの書類を見つけたマルクに感謝した。
彼は俺がいなくなってカトレーヌが離縁を申し立て騒ぎ立てるとすぐに彼女の私室を調べさせた。
キルナート国の王宮ではカトレーヌは皆に嫌われていて証拠の書類や証言はすぐに取れたので助かった。と言うかどれだけ酷い妻だったかだが。
「私の言い分をわかって頂けたでしょうか?」
渡された書類を一枚めくるたび国王の顔色が悪くなって行く。
「‥カトレーヌがこれほどの事をしていたとは‥だがカトレーヌは‥その‥‥いや、わかった。申し訳なかったテオドール殿下。すぐにカトレーヌをキルナート国に帰らせる。離縁はもちろん撤回させる。今後はわがままを言わないよう厳しく言って聞かせる。殿下も厳しく王女を扱ってくれて構わない。君には申し訳ない事をした」
俺は一歩引いた。心臓から汗が出るような感覚。いやいや復縁は望んでいないんです。
「申し訳ありませんがカトレーヌ王女とは離縁で構いません。私は彼女の意志を尊重して離縁は受け入れます。ですが支援の鉱脈開発の援助は引き続いてお願いしたいのです。どうかお願いします」
「あのような禁忌魔法で君をひどい目に合わせたのに?いいのか?」
国王陛下は信じられないと言う顔で俺を見た。
許そうとは思っていませんが、これ以上拗らせたくないだけですし、そういう問題じゃないんです。国の将来がかかってますから。
必死で取り繕い笑顔を作る。
これは外交なんだ。旨く今までの条件で丸め込めればそれでいい。
だが、内心ではカトレーヌと二度と会わなくていいなら俺はなんだっていい。と思っていた。




