第25話 「建国 『新吉原』 誕生」
前回投稿から少し間が空いてしまいましたが、引き続きご愛読いただき、ありがとうございます!
鈴空の理想郷への第一歩の始まりです。
一夜明け、僕は朝から中央の広場に村人を全員集合させていた。
「みんな、昨晩は楽しんでもらえただろうか?さて、本日から村の復興を精力的に行っていきたいと思う。先立って、村の名前を僕達幹部の者で決めさせてもらった」
幹部、つまりは、僕とルリアと龍じいそしてリアだ。この村の先住民の意向は大切なので、僕が村の長としての権限で、まだ幼いルリアと老いたリザードマンである龍じいを幹部に引き立てた。リアは僕の秘書という立ち位置で幹部入りしてもらった。
「だが、村の名前を言う前に皆に伝えておきたいことがある。この村は今日より、村を捨てる」
そもそも村って言うのが古臭くて、田舎っぽくて、僕は嫌いだ。僕が造ろうとしているものは、村という小さな枠に収まらない。相手は世界だ。
「今日からこのリザードマンの村は、国家へと形を変える。いずれこの世界を統一するその国の名は」
『新吉原』
(村人)『わー!!!鈴空様ー!ついていくぜー!私もお供しますー!』
意外と好反応だ。実は、龍じいから、反対されていたんだが、勢いで僕が押し切った。建国ということになれば、作らないで良い敵もできるし、国家運営が大変だという。だが、村でもこの間のように蹂躙される危険もあるし、国ということになれば、敵もおいそれと手を出しにくくもなる。運営に関しては、僕に良いアイディアがある。ということで無理矢理押し切った。押し切った責任を僕は、国王として取らなければならないが、それはどうにかなるだろう。
「新しい仲間も増えたので、改めて幹部の自己紹介をしておきます。まずは、国王、紗月鈴空。続いて、俺の秘書兼参謀、リア・アンテローグ。ご意見番兼軍事顧問として、龍じい。看板娘のルリア。以上だ。よろしく!」
さて、これが国王として初めての指示になる。
「では、これから、優先して作るものを言いまーす。それは、『スパ』、『デパート』、『病院』、『コンビニ』、『ギルド』、そして『外壁』以上。それでは、各部署への人選は、リア、よろしく」
まずは、こんなところだろう。民家は以前使用されていたものがある。先立って、必要と思われるものをまずは作ろう。リアには、スパ、デパート、病院、コンビニのなんたるかを懇々と具体的に噛み砕いて説明してある。リアに人員配置は任せるとしよう。その間に、僕は『ポルタ―ド』を使用し、ライフへと向かった。何かを作るにしても、材料がないことには始まらない。その依頼と、もう一つの目的があり、僕はシューレの店を訪れていた。シューレは、材料の工面を快く引き受けてくれた。
「シューレ。今回、俺が君に依頼したいことは、もう一つある」
「あ、あんまり無茶は言わないでね」
この話に、シューレは必ず乗ってくる。僕は確信していた。理由は、winwinの商談だから。断る理由はないだろう。
「俺の国に出店してほしい。俺の国に出店することで得られるであろう利益を商売人であるシューレは、もう気付いていると思うが………」
この商談がまず、断られない理由。それは、僕が異世界人であること。そして、国では独占的に商売ができる。異世界人から得られるであろう、日用品、服装、武器や防具などの知識と技術、どれをとっても利益しか生まない。
「鈴空は、ズルい。僕が断れないのをわかってて、この商談を?」
「まぁな。だが、損得の話をすれば、シューレにとってもおいしい話だろ?」
「はぁ。見透かされているみたいだね。わかったよ。協力させてもらう。ただ一つ条件というか、我儘をきいてほしい。僕も鈴空の国の国民として認めてほしい。本店は鈴空の国へ移転する。新しい『グラム』いや、違うな。僕の理想とする店を開店する」
これは、少し意外だった。まさか、シューレが国民になることを望み、本拠地を新吉原に移すことまでするとは………。だが、それはこっちにとっても好都合。
「わかった。国王として、シューレを新吉原の国民と認め、迎えよう」
「あ、ありがとう。精一杯頑張るよ。じゃぁ、さっきの材料の依頼や、荷造りの時間も含めて7日後にまた、ポルタ―ドで僕を迎えに来てほしい。王様にこんなことを頼むのは悪いけどお願いできるかな?」
むしろ、こっちがウェルカムなので、シューレのお願いを断る理由もない。
「もちろんだ。では、7日後に」
「うん」
「あ、それからシューレ。一つ勘違いを正しておこう。君は、俺の友人として国民になってもらう。今まで言ってなかったが、スーツ姿で無一文の俺に、声を掛けてくれて、スーツを高値で購入してくれたばかりか、ジャージや武器………いや紗月という仲間をくれたこと、感謝している。あの時、君に出会わなければ、僕はこの異世界で金もなく、武器や防具もなく露頭に迷っていたかもしれない。リアにも見捨てられていたかも………。だから、君には、感謝している。これからは、対等に友達として付き合っていきたいと俺は思う」
「あ、ありがとう。やっぱり、信じて良かった。じゃ、友達として一つ秘密を明かそうかな。実は、あのスーツ100000000Gもしないんだ。僕の店は小さいって始めにいったよね。あんな大金どこを探したって出てくるはずがない。だけど、ある人に頼まれたんだ」
マジかー!気付かなかった。でも、やっぱりスーツは、スーツだよな。それ以上でもそれ以下でもない。ただのリクルートスーツの枠は超えないよな………。
「や、やはりそうか。ところで、ある人ってのは誰なんだ?」
僕は体裁を装い、スーツと金の話から素早く、謎の人物の会話へ切り替えた。
「ある人っていうのは、僕の先々代の店主、つまり、祖父だよ。祖父から、100000000Gとジャージ、錆びた刀を受け継いだんだ。そして遺言も」
なにか、今回もワケありっぽい話になりそうだと直感した僕は、帰路に着こうとした足を店内へと戻した。
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