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ワケあって、異世界審査通っちゃいました  作者: 蜂月 皐
第3章「建国編」
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第26話 「フォス・グラム」

シューレの祖父と紗月が昔同じパーティーにいた!?

ナヨミ・クレーシェルとは一体何者なのか?

少しずつ解明されていく、紗月の元パーティーメンバー達。


シューレの店を訪れ、1時間程が経過した。用事を済ませたらすぐに帰る予定だったが、ワケあり話が気になる。村のほうは、とりあえずリアに任せてきたし大丈夫だとは思うが………。とりま、シューレの話を聞くことのほうが、僕にとっては優先的な気がした。


「遺言はね、このお金とジャージ、刀を君に渡すことだよ。僕が、異世界人と出会ったとき、その人がヒューマン以外の人種を連れて歩いていたら、これを渡すように言われていた。ただ、突然出会ったデミヒューマンにタダでこんなもの渡されたら、さすがに戸惑うだろうし、気味悪く思うだろ?だから、あの場は、スーツの下取りという形で事を運ばせてもらったんだ。鈴空の隣にいたリアだっけ?あのコには見透かされていたみたいだけどね」


成る程。僕は、上手く掌の上で転がされていたわけか。金に目が眩んだ末路だな。正直、自分という人間の小ささを情けなく思うな。てゆーか、リアも気付いていたなら教えてくれても良いものを………。い、いや、ここでリアに責任転換するのも、自分の小ささをさらに露呈することになるか。


「シューレ。ちなみに君のお爺さんは、何故こんな大金と武器と防具を持っていたんだ?」


シューレの店は小さい。それは先程も彼の口から出ていた真実だ。この店に不釣り合いな、大金と武器と防具。この武器と防具は、スキルを見る限り、相当なレア物なのは明白だ。この世界にまだ不慣れな僕でも、それはなんとなくわかる。ここに来るまで2度の戦闘を経験した。どちらも僕にとっては間違えなく強敵だった。それにも関わらず、僕はこうして生きている。傷1つない。もちろん、リアの援護もあった。だけど、無傷でここまで生き残れるほど、生易しい相手ではなかったはずだ。


「祖父は、このグラムという店を開く前は、冒険者をしていたんだ。その時に、ある人から預かったと言っていたよ。確か………、ナヨミ?って言ってたかな」


ナヨミ?どこかで聞いたことがあるような………。

その時、突然、腰の刀から声が聞こえた。


「ナヨミ・クレーシェル………。で間違えないじゃろう」


紗月が急に言葉を発した。紗月の知り合いなのか?


「あっ!そうそう。祖父もそんな名前を口にしていた気がする」

「ナヨミは、わしを刀にしたヒューマンじゃ。主様には、以前お話ししたと思ったんじゃがの」


そうだった。確か、紗月の昔のパーティーでリーダーをしていたって………。


「成る程。グラムか………。シューレよ。お主の祖父の名は、フォス・グラムかの?」

「え?そうだけど、何故君が祖父の名前を知ってるの?」

「やはりか。お主の祖父は、昔、わしと同じパーティーに居た。店の名前を聞いたとき、聞き覚えのある名じゃと思っていたのじゃが、そうゆうことじゃったか」


紗月は、うれしそうに語り、高笑いをしている。そして、フォス・グラムについて話しを始めた。


「フォス・グラム。あやつは、パーティーで治癒師をしておっての、明るい性格でいつもわしらを元気にしてくれた。あやつの発する光は、傷付いた身体も、疲れきった心も癒す力を持っていた。ゆえに、あやつの愛刀は『癒合(ゆごう)明刀(みょうとう)の一振りじゃ。わしや龍じいと同じく、古の名工ベンケイが残した名刀」


紗月のパーティーは、みんな刀を持っているのか?古の名工ベンケイってのも気になるな。そんな考えを巡らしている僕の横で、シューレは涙ぐんでいた。


「契機合縁ありがとう、祖父の話をしてくれて。祖父は、生前、冒険談をたくさん話してくれた。だけど、最後の戦いの話だけはしてくれなかった。祖父のことを覚えていてくれる人が居てうれしいよ。祖父は、死んでしまってもういないけど、僕は、祖父が大好きだった。だから、祖父の遺言は死んでも守りたかった。今度、落ち着いたときに最後の戦の話を聞かせてもらえるかな?」


僕は、お爺ちゃんっ子だ。だから、シューレの辛い気持ちは手に取るようにわかる。昔の祖父を知る存在。紗月との出会いは、シューレにとっても特別なものになるんだろう。


「うむ。いつでも話してやる。それから、わしは()()じゃ。覚えておくのじゃぞ」


シューレは、泣きながら、笑顔で頷いた。


一通り話も終わり、僕は一旦、新吉原への帰路についた。


「あっ。感動してて聞くの忘れてた。なんで、僕に大金と武器、防具を渡すようにシューレの祖父が遺言を残したのか」

「そうじゃの。フォスのことじゃ。きっと理由があるのじゃろうが、今は、その遺言通りになっておる。

あやつの考えることなら信用できる。焦らずとも大丈夫じゃろ」


僕は、紗月のことを信用している。その紗月が信用するフォスという人物のことであれば、僕も同様に信用するほかない。7日後には、シューレが新吉原にくる。その時までの()()()()ってことにしておくか………。

引き続きご愛読いただき、ありがとうございます!

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