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cool breeze  作者: 白花
1章 出逢い
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9話 二人きりのデート3 水族園(後編)

前回の続きです。それでは、どうぞ。


 私達は、それからしばらく様々な水槽を見て回った。

 その途中で、椰子の実のジュースが売られているのを見て、私が飲んだことがないと知った凜くんが買ってくれた。


「まあ、飲み物もいいけど少し早いけど昼にするか? イルカショーの前に」

「そうね、楽しみ」


 本当に楽しみだと、明日菜は思う。


 明日菜達はフードコートに着き、軽食を取ることにした。


「何にするの?」

「そうだな、俺はフランクフルト2本と、フライドポテトかな」

「じゃあ、アメリカンドックにしようかな」

「それだけ?」

「え?うん」


 凜は、ふむ、となにやら考えて、

「じゃあ、ポテトと、唐揚げシェアしない?」

「え、うん、それは、いいけど」


 そう言って、買いに行こうとする。


「えっ、待って」

「明日菜、食べるのアメリカンドック1本だろ? その他《ほか》を食いたのは俺だし」


 そう言ってヒラヒラと手を振り、買いに行ってしまう。



 明日菜は凜を見てホントに美味しそうに食べるなぁと、思い聞いてみる。


「美味しそうだね」

「まあ、ジャンクフードにはジャンクの美味さと、ジャンクフードが美味く感じる場所があるんよ」

「例えば?」

「祭りの屋台、たこ焼き、焼きそば、お好み焼き、焼き鳥、かき氷、ベビーカステラとかな」

「場の雰囲気と、焼ける匂い?」

「そ、興が乗らない場所でのアレらは出て行く金と得られる満足感は釣り合わないよ」


 なんて、笑う。


「それでも、買っちゃうんだね」

「そ、腹がへっては戦はできぬ。食えるときに食うのが戦場の習いだね」

「戦場って……」

と、明日菜は苦笑する。


 水族園前半戦を振り返えって、感想を言い合う。

 時間は過ぎて、イルカショーのステージに入る。


「どうする? 前列でスプラッシュを醍醐味として楽しむか、後ろからショー全体を見て楽しむかだけど……」

「どっちがいいのかな? そう言うの、わからなくて」

「写真に残すなら、やや後ろよりかな。まぁ、どっちにしても、コレ」

 と、言って渡された物は雨ガッパだった。


「え?」

「びしょ濡れになりたくないだろ?」

「あ、うん」

 

そう言って受け取り、カッパを羽織るとショーが始まるのを待った。


            ☆

 そして、ショーが始まった。


 まずは、イルカの、水中からの大ジャンプから始まる。

 イルカ達による、あいさつ、回転、拍手、そして背泳ぎ、輪くぐり、高いところにある球に大ジャンプでタッチ。

 投げられたボールをヘディングで返したり、トレーナーが背ビレにつかまり一緒に泳いだり、観客も驚き拍手を贈る。


 アシカとセイウチショーは芸達者で面白く、そして……。


 次に波をかき分け姿をみせたのは、まるで潜水艦の様なシャチだった。


 シャチの大ジャンプと背面飛びは迫力満点で私達のところまで水飛沫が飛んでくる。


 トレーナーとのダンス、トレーナーがシャチの鼻先に立つ、そしてカッコよくシャチの背に乗り、サーフボードライディングならぬ、サーフオルカライディングだ。


 そして、最後はプールの底まで潜水しトレーナーがシャチと共に浮上しての大ジャンプ。

 それは大迫力で、初めて見た私には驚きと興奮に満ち溢れていた。


 凜くんの腕を叩き、「すごい、すごい」と、随分とはしゃいでいた様で、凜くんが私にカメラを向けているのに気づき、急に恥ずかしくなる。


 私が凜くんを伺うと。


「そうやって、はしゃいで楽しんでくれた方が此処を選んだ方としては、恥ずかしがられるより嬉しいんだけどな」


 なんて、そう言うのはズルいと思う。

 だから私は笑顔で、「ありがとう」と、小さく凜くんに言った。


            ☆


 ショーが終わり、明日菜達は残りの海洋生物のエリアを回り、展示エリアでイルカやシャチ、そしてクジラの骨格の標本を見たり、古代の姿を再現した模型を見て回った。


 そして現在《いま》は、お土産の店が並ぶエリアを見て回っている。

 

 凜の家族、妹の美桜《みお》には明日菜からも一つ、双葉、琴羽には、二人で割り勘にしてクッキーとチョコレートセットを。

 一樹達、討ち死に組(凜が名付けた)には、クッキー詰め合わせを買い、店を出る。



             ☆


〈ブルーフィールド〉の水族園を楽しんだ私達は帰路につく。


 電車の中で私は、凜くんの肩に頭を預け眠ってしまっい、その時の眠りは、優しさに包まれていた様に感じられた。



 駅に着き、凜くんが「家まで送る」と言って、家の前まで送ってくれて、凜くんはお土産が入った袋から何かを取り出し、「今日の記念に」と、言って私に差し出す。


 私は、驚き、凜くんを見る。


「美桜に買ってくれたろ? だから俺も明日菜にお土産だ」


 その為に家の前で渡した。と、凜くんが付け加える。


 私は嬉しくて嬉しくて、何故か泣きそうになる。


 変に思われたくなくて、「ありがとう」と言って、渡された物《プレゼント》を胸に抱く。


 凜くんは、「ゆっくり休めよ、おやすみ」と、手を振り、私も「おやすみ」と言って別れた。


 



 私は、お風呂に浸かり身体をほぐし、今は部屋で凜くに貰った包みを開封している。


 開封して出てきたものは可愛らしくデフォルメされたシャチのぬいぐるみだった。


 そして、一枚のバースデーカード。


 happy birthday 明日菜

 

 そして、ハンドメイドのガラス細工のネコのペンダントヘッドだ。デザインされた革ひもと、ストラップ用の紐だ。


 私は凜くんがこう言う細工を作るの好きだったなと、思い出す。


  ベッドに横になり、今日一日を振り返る。


 初めて見るシャチのショー、増えていくフォト。

   家族との礼儀的な写真より、増えた。

 それを見て嬉しくなって、また泣きそうになった。

  私は、シャチのぬいぐるみを抱き眠りについた。


 電源をつけたままの端末の光を受けて、ガラス細工のペンダントが、キラキラと輝いていた。


二人きりのデート2水族園(後編)いかがでしたでしょうか?

楽しんで頂けたでしょうか?

頂けたなら幸いです。


では、また次回お会いできますように。

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