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瞑想世界119
愛と友情の力だと、田村は言った。
僕はふと思った。
自分自身の黒い影を抹殺、殺す事が、村瀬や成美ちゃんを救出する事なのだと。
自己同一性障害の抹殺こそが、闘いに凱歌を上げる処方箋なのだと。
多次元宇宙の内側にある自己同一性障害は、複数としての単数概念を内在した、同時多発的存在である事は間違いない事実ならば。
肉体としての魂と、魂としての肉体の中間形態で、その部位を知覚しながら実存となし、邪悪なる黒い影を意気地を以って消去、抹殺するしかない。
自分の黒い影を抹殺する事が愛と友情の勝利に結び付く事を僕は確信した。
僕はその旨を通信瞑想で田村に伝えた。
田村が言う。
「それは俺も賛成だ。俺自身の黒い影も無数にいるわけだしな。その邪悪な分身をしらみ潰しにして行くしか、救出の手掛かりはあるまい」
僕はしみじみと言った。
「俺自身の心の葛藤が、多次元宇宙の分身の整理整合に繋がるのか?」
田村が答えた。
「そうだ。白黒、整理整合される事が慈悲と呼べるわけだ」
「意思の力か?」
田村が言った。
「愛と友情の力だ」




