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瞑想世界120
毒ガス室の星々?
田村の通信瞑想が急に遠ざかり、唐突に僕は息苦しくなった。
夥しい星々が瞬きを繰り返す暗黒の宇宙空間が平面化し、床と化している。
そのガラス状の床の上で、息苦しさにのたうちまわる人々。
毒ガス室だ。
ガラスの向こう側に見える星雲が、霧状の毒ガスを排出している。
床であるガラスは厚く毒ガスなど通さない構造になっているようだが、そんな三次元的常識を無視して、毒ガスは漏れて来る。
うめき声を上げ、痙攣しながら白目を剥いて絶命して行く人々。
村瀬と田村の声が混じり合い聞こえる。
「ハイル、ヒットラー」
その声を聞き、僕は倒れて行く人々が、ユダヤ人である事を悟り、もがき苦しみながら叫んだ。
「村瀬、止めろ!」
毒ガスである村瀬が答えた。
「大量虐殺は愉しい」
僕の周囲で無数のユダヤ人がもがきながら死んで行く。
だが僕は死ねない。
苦しみだけがあり、のたうちまわるだが、死ねない。
「村瀬、止めろ!」
村瀬と田村の哄笑が聞こえて来た後、毒ガスが成美ちゃんの金切り声に変わり、その叫び声がユダヤ人をなぎ倒して行く。
何千人もの死体が累々と横たわる毒ガス室。
だが星雲は美しく瞬き、その死体の群れを浮き彫りにしている。
僕はもう一度喚いた。
「村瀬、止めろ!」




