第419話 大人っぽい田中君らしい
うん。我ながら、忙しかったGW……。
過ぎてしまえばあっという間……。
長かったようで、短かった。
いや、短かったようで、長かった?
ん。
とにかく、久しぶりの学校でーす。
えーっと、荷物、荷物。お土産と、それから……。
写真館の無料券。ネズニーで撮ろうって誘うんだ。みゅふふ。
あ、その時に、店頭のあの写真を見られちゃったりするんじゃ……。
うううー、兄と剣崎徹と章子先輩と一緒になんで写ってるの?とか思われないかな?
大丈夫か。兄と一緒に行くのも不自然じゃないし、兄が生徒会のメンバーと一緒なのも不自然じゃないもんね。
……でも。
逆ハー状態の私って、どう思われるの?
冷静になろう。冷静に。
逆ハー状態のヒロインを見たら、私はどう思う?
いいなぁ、うらやましいなぁって思うかな?……ないなぁ。大変そうだなぁって思うだけだ。
……なら、大丈夫か。
きっと、芽維たんも皐月たんも大変でしたわね、璃々亜さんっていたわってくれ……るわけねーだろうっ!
普通の思考回路なら、男侍らせてるって思うよ。
えーっと、そ、そうだ。章子先輩と剣崎徹が仲良く二人で来てたっていう事実をまず教えよう。
もしかして、私と兄はデートを邪魔しちゃったかもしれないとかなんとか言おう。
うん。いいぞ。
二人が付き合っているかどうかは私も知らないんだし。嘘をつくわけじゃない。
「もしかして、あの二人は付き合っているのかしら?」と疑問を口にするだけだ。
ついでに、
「レストランの秘密の部屋を予約していたようですし……」とか事実を教える。
それから、
「私と兄はお邪魔だったんじゃないかと……。お二人に気を使わせてしまったのかもしれません」とかなんとかな。
いいねぇ。
我ながら完璧。
これなら、あの写真を見て「逆ハーかよっ!」って思われずに済むよ。うん。済むのでございます。
えへへのへ。
てなわけで、心置きなく誘おう。
あと、持ち物は、何かあったかなぁ。
「璃々亜、すまない。今日はいつもより30分早く家を出るから、一緒に通学できない」
朝食のため階下に降りると兄と嘉久はすでに食べ始めていた。
にゃんですと。
えーっと、そうすると、兄を送って戻ってきた蜂川さんに乗せて行ってもらったら、私、遅刻しちゃわない?
通学にかかる時間を計算してると、兄が考えていたことが伝わったのかその点について教えてくれた。
「私は嘉久の車い一緒に乗せて行ってもらうから、璃々亜は一人で寂しいかもしれないが……」
は?
兄と嘉久が仲良く一緒の車に乗ってるの見られたら、私と嘉久も実は交流があるとか思われちゃったりするかもしれないじゃない?
「いやですわ!私、お兄様と一緒に行きます!」
兄は、私の言葉に、口に入れていたパンを落とした。
おーい、口をぱっかり開けたら落ちるって。
まったく、兄もちょっぴりドジなところがあるのね。
「急いで食べられるものをお願いいたしますわ!」
メイドの早間さんにお願いすると、かしこまりましたと姿を消し、ものの3分でサンドイッチを手に戻ってきた。
すごい。
「これならば、車の中でも食べられますわね。さぁ、私は準備が整いましたわ。行きましょう」
右手にサンドイッチ、左手にオレンジジュースのコップを手にたちあがる。
「いや、璃々亜、まだ時間があるから食べてから出よう」
ん?そう?
てなわけで、今日はいつもより30分早く学校に着きました。
教室に入っても、誰もいなーい。
でも、荷物はいくつか置いてある。
田中くんの机の上にも鞄やらなにやら置いてあった。
そうか。朝練組はもうとっくに来てるのか。
ん?
田中くんの机の下に、何か落ちてる。
写真?今時現像した写真なんて珍しい。
拾い上げて見ると……。
ドッキィーーーンッ!
な、な、な、何これ!
田中くん?
ううん、田中くんっぽい顔だけど、田中くんより少し大人っぽい顔。
誰?
田中くんがメイクしてるとか?お兄さんとかいなかったよね?
いやいや、そんなことより……この写真……。
私の大好物の詰襟系軍服じゃないですかぁーーーっ!
何で、何で、田中くんがこんな格好してるの?
あ、いや、田中君本人かどうかまだわかんないけど……。
白い服に、黒のベルトに金の飾り紐。
ぐおうっ。
何たる破壊力!
何たる、何たる破壊力!
兄と剣崎徹と章子先輩の何百倍も似合っている。なんていうか、兄たちはイケメンすぎてキャラクターっぽいの。
でも、この写真の大人っぽい田中くんは、軍人っぽい。本物っぽい。顔つきもそうだけど、しっかり鍛え上げられた肉体とか。日焼けした肌にきちっと短くそろえた髪。
剣崎徹みたいにイヤーカフをつけてるとかそういう普段は着ない服を借りて着ましたって感じが一切ない。
「かっこいい……」
いつもありがとなのなの!
もう、何話目なのか……。
GW……長かったなぁ……。
さて、こっからはサクサク動かすぞー。おー!




