第397話 兄はうらやましかったらしい
思い出してみよう。
ネズニーシーへ向かう車中。
勉強は、昨日の夜と、早朝勉強で結構進んだ。なので、移動中の勉強は無しになった。
で、車中ではネズニーシーの園内マップを広げて、兄と相談しはじめたのだ。
「璃々亜は、何が見たい?」
うーむ。
ネズニーランドに関しては結構勉強したので詳しい私。
でも、ネズニーシーはよくわからないんだよね。
前世のディから始まるやつも、実はシーの方は一度行っただけ。しかも、ほんの4時間ほどいただけで、2つのアトラクションと食事だけで終わってしまったのだ。
なので、よくわからない。
「今日は、お兄様の息抜きですもの。すべてお兄様にお任せいたしますわ」
もー、考えるのもめんどくさいしな。
ってか、そのうちお友達と、大事なことなのでもう一度言いますが、お友達と一緒に来るので、今日は張り切って楽しまなくてもかまわないのでーす。
「すべて、私に任せる?いいのかい、それで?」
「ええ、もちろんですわ」
考えるのを放棄。
さすがに、嘉久みたいに、任せるととんでもないことになりそうな相手なら考えるのを放棄してついていくなんて無理だけど……。
嘉久、全てのアトラクションを制覇するとかわけのわからないことしだすからなぁー。
兄ならば、適度に私のことを考えつつ、自分の好みも含め、いい感じにエスコートしてくれるんじゃないかと……。
「わかった。では、ちょっと考えさせてくれ」
兄は、園内マップを広げて、スマホで何やら調べつつメモを取り出した。
うむ。
……。
うむ。
……。
えーっと……。
退屈ですなぁ。
一人で車に乗っているのも、けっこう、退屈ですな。
スマホを取り出す。
とりあえず、私も、一つ二つくらいはリクエストしてみる?
……と思って、スマホを手に取って思い出した。
あ、そうだ!
まだ、ネズニーに行った時の優先チケット使うときには目立つ格好はやめた方がいいって話をしてなかった。
忘れないうちに言わないとなぁ。
「お兄様、伝え忘れておりましたわ。この間お友達とネズニーに行ったときに感じたことなのですが……」
「ん?なんだい?」
兄がスマホを操作する手を止めてこちらを見た。
ふわりと、前髪が揺れる。
「優先チケットを使う時には、あまり目立つ格好や行動は控えた方がよいみたいですわ」
「目立つ?まさか、鳳凰学園の生徒たちが何かトラブルを起こしたのか?私たちは並ばなくても入れますを自慢するようなこととか……」
あー、そうやって自爆する人はいるかもしれないなぁ。
でも、それは自己責任……でもないか。学校が悪く思われる……。
「いえ、そういう問題を起こすような方はまた話が別なのですが……。その、悪意なく目立つといいますか……楽しもうと思うあまり目立ってしまったといいましょうか……」
兄が少し首をかしげる。
「どういうことだい?」
えーっとですね……。
スマホの画像フォルダを開く。
女子チームでお揃いのTシャツとシフォンスカート写真を表示して兄に見せる。
「こんな感じで移動していたので、目立ってしまいました」
これで、伝わるかな?
兄は、私のスマホを見て固まった。
……。
なんじゃこりゃーって思ってる?
「そ、そうか……」
声が上ずってますよ、兄……。
良家のお嬢様が何やっとんじゃぁってお怒り?
「この写真、送ってもらっていいか?」
は?
「いえ、私以外にも写っていますので、勝手に拡散するわけにはまいりませんわ」
「あ、ああ、そうか、そうだな……残念だが、璃々亜の言う通りだ……」
まって!
写真を欲しがるなんて!そういえば、芽維たんや皐月たんも写ってるし!
いったい、誰目的で欲しがってるの!
やばい。またヒロイン候補との接触を間接的にといえども持たせてしまった……!
それから、兄はまた黙って園内マップを見てメモをしていた。
「さぁ、決まったよ。本当に、私の考えたコースでいいんだね?」
「え?ええ、もちろんですわ」
早い!
一つ二つはリクエストしようかなぁとも思っていたのに、もう決まったのか。
即断即決。
……。
そうして、到着してまず連れていかれたのは……。
ショップでした。
兄、お揃いのTシャツ買う。
私に片方着ろと言う。
……。
ええ、確かに、全て兄にお任せしますと言った。
言ったが……。
ちょっとまてーーーーーっ!
orz
お読みくださり感謝でございまする。
兄ターン……。
兄のカッコよさは出てこない不思議(´・ω・`)




