閑話 嘉久と漫画
漫画というものを知っているか?
俺の中で、漫画というものは子供の物だという意識があった。
もちろん、璃々亜に小さな頃にいわれた言葉がそう思うきっかけではあった。
しかし、それだけではない。
よい大人が「少年誌」というものを恥ずかしげもなく広げている姿を見るとみっともないと思うようになった。
大人なのに。
子供の読む漫画をいつまで読んでいるのかと。
それはだが、間違っていたのだ。
少年誌というものもあるが、漫画には青年誌と呼ばれるものもある。
さらには、18歳以上じゃなければ読んではいけない、大人専用の漫画も世の中には存在するのだ。
つまり、漫画は子供の読むものという考えこそ、偏見に満ちた考えだったのだ。
俺は間違っていた。
その事実は、偶然知った。
小学校の頃は、漫画に近づかないようにして生活していた。
うっかり漫画を手にしたところを璃々亜に見られ、馬鹿にされたくないと思ったのもある。
それから、敦也兄も漫画を読んだりしていなかった。
いや、そもそも学校へは漫画を持ち込むことはできないようになっている。漫画の話を学校でしている人間もちらほらとはいたが、校則をやぶって学校に漫画を持ち込むような者はいなかった。だから、漫画に接する機会などなかったのだが。
中学になると、こっそり学校に漫画を持ち込む人間もいた。
それも、校則を破っているということより、その内容が見つかるとやばい類のものだ。
1冊の漫画を、同級生たちが何人も囲んで「おおー」だの「うわー」だの言っているのを、女生徒たちは白い目で見ていた。
その輪にはいらなかったのは、何も女生徒にいい格好をしたかったわけではない。
単に興味がなかったからだ。
中学のころは、株にしか興味がなかった。
くだらない漫画を見てクラスメートと騒ぐよりも、1分1秒、株価の動きに目を通していたかった。
今思えば、そういう漫画に目を通すのもありだったかもしれない。
なんせ、自分ではとても買えないような種類の漫画なのだ。
たとえ、法律上許される年齢になったからといって……買うことはないだろう。
見るチャンスが、今後訪れるかどうかわからないのであれば、偏見を持つよりも、チャンスを生かすべきだったのだ!
べ、べつに、見たいわけではないぞ。
見たくないわけでもないが……。
ごほんっ。
と、とにかくだ!
生徒会として、チケットの有用性を調べるための資料として漫画を活用することになった。
漫画を資料に?と初めはいぶかしんだ。
だが、漫画というのは、現代の日本を反映して作品が作られているわけだ。
主人公はどこにでもいるような中高生が中心。確かに資料になるといえばなるかもな。
と、思っていたが……。
いざ、該当ヶ所をチェックするために漫画を広げたら、俺の漫画に対するイメージは一瞬にして吹っ飛んだ。
どこにでもいるような平凡な中高生?
とんでもなかった。
彼らは皆特別だ。
特別に輝いていた。
バスケに青春を傾ける彼らのひたむきさに、すぐに魅了された。
将棋の世界を駆け抜ける彼らの姿に、息を飲んだ。
敢然と悪に立ち向かう男達に、心から賛辞の言葉を送った。
身震いした。
すごい!
漫画ってすごい!
これが、漫画!
……語りたいと思った。
クラスメートと、漫画について語りたいと思った。だが、時すでに遅かったのだ。
高校生となり、すでに漫画が教室で話題になることはなかった。
あれほど中学の頃は、今週の○○読んだか?というような声がしていたというのに。
くっ。
株にのめり込んでいた過去の自分を後悔はしないが……。
一つのことに集中しすぎて、他のことに目が行かなくなる性格はどうにかしたい。
今は、お茶会部の清掃活動が楽しい。
だが、それ以外も、高校生らしく高校生活を楽しもうと思う。
……。
いつか、誰かと、漫画って面白いよなぁって話もしてみたい。
鳳凰学園に、そんな話ができる生徒が一人でもいればいいんだけどなぁ。
漫画が好きだと知られれば……俺に近づくために漫画を話題にする人間は出てくるかもしれない。
だが、興味のあるふりをして表面的に漫画の情報を入手した人間などと話などしたくはない。
本当の漫画好きか、表面的な人間か見分けるには……。
まぁ、話をしてみればわかるだろう。
とりあえず、インターネットの中には話が合いそうな人間が何人かいる。
にゅぅーん。
週に2日ありがとうございます!
閑話を入れると、本編が週1かぁ……と思いつつ、入れる。
入れさせておくれ……




