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【書籍化】オタクガール、悪役令嬢に転生する。【web版】  作者: 富士とまと


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閑話 弟視点

昨日に引き続きで、閲覧注意

「びっくりしたね、僕達のファンだって」

 壁サークルといえば、イベントに来る人間なら皆知っている。雲の上の存在だと。

 プロの漫画家になるよりも、イベントで壁サークルになる方がずっと難しいことだ。

 その、雲の上の人が、まさか、僕と姉ファンだとは。

「え?うん。人気のあるコスプレイヤーがいるのは知ってたけど、弟も人気があるね」

 え?

「何言ってんの、姉さん。僕が人気があるんじゃないよ。僕と姉、二人で一つだよ?」

 まさか、姉は知らないの?

 そうか。インターネットもろくに見られない環境にあるからなのかな。

 NARUKO姉弟スレまで、某大きな掲示板サイトに立てられていると知ったらどう思うだろう。

 知らない方がいいだろうね。好意的な書き込みばかりじゃないから……。僕が好きな人間は姉を叩き、姉を好きな人間は僕を叩いている。

 あ、時々僕も書き込みして炎上燃料投下しちゃってるし。

 だって、仕方がないだろう?我慢できないんだ。

 姉をぺろぺろしたいとかそんな書き込み見ると……。我慢できない。

 と、掲示板は姉に知られないようにするとしても、僕と姉のセットでコスプレイヤーとして一部の人間に注目を浴びていることは知っておいてもらった方がいいかもしれない。

 先ほどのサークルから、ファンですといって手渡された同人誌を姉に見せる。

 タイトル「ファビュラス姉弟」。

 美しいラインで描かれた、姉と弟の一目で18Rと分かる表紙の本だ。

「みっ、みちゃだめだからね?18歳になるまで、18Rはだめだからね!」

 姉が、焦った声を出す。

 18Rの本なんて見慣れてるからどってことないけれど……。

 姉、かわいいなぁ。

 ……一応、見るけど、一応見ないことにしておこう。

「分かった。姉さん。18歳になったら一緒に見よう」

「そう、18歳になったらね!」

 え?いいの、姉?

 一緒に見てくれるの?

 心臓が破裂しそう。

 一緒に18R同人誌見るとか、いや、嬉しいような、恥ずかしいような、やばいっ!

 高度すぎるっ!

「本当に一緒に見てくれる?」

 高度だけど、姉が一緒ならなんだって僕は嬉しい。未来の約束が増えるなんて嬉しい。

「当然だよ。それとも弟は、他に一緒に見てくれる人いるの?」

 他に一緒にNL18R同人誌を見る女性なんて……!

「いないよっ!姉さん以外と、そういうことしたくないっ!」

 って思わず声を荒げてしまった。

「18歳になるまでには、別の子と仲良くなるかもしれないよ?」

 え?

 確かに、18歳になるまでにはまだ時間がある……。

 だけど、僕は変わらないよ。僕は……。

 でも、それは僕で、姉は?

 姉は……。

「姉さんは、僕以外と仲良くなるの?僕以上に、誰かと仲良くなるの?僕は姉さんの一番になりたい」

 やだ。

 僕以外に親しくなってほしくない。

 僕が、いつもずっと姉の一番でいたい。

「一番は弟。ね」

 姉が、子供を慰めるように頭を撫でてくれる。

 一番は僕……って言われても少しも心が湧きたたなかった。

 だって、一番はってことは、2番も3番もいるってこと?

 僕には姉だけなのに。

 僕は……姉を独り占めにしたい。ねぇ、どこかに閉じ込めて、僕しか見えないようにしたいよ……。

「姉さん……」

 思わず姉を抱きしめる。

 こうして、体だけ捕まえたって、姉の心は自由だ。捕まえることはできない。

 分かってるけど……。

「弟、あのね、他のサークルも見ていいかな?」

 ほらね。

 僕は、ダメだなんて言えない。ずっとこうして抱きしめていたいなんてわがままを言えば、きっと姉は僕を嫌いになる。

「あっ、ごめん。うん、そうだね。姉さん……僕……あ、あの、つい……」

「えっと、私こそ、ごめんね。弟が回りたいところあったら見てきていいよ。うーんと、1時頃また落ち合う?」

 自由を奪ってはダメだ。僕の自由も姉は奪おうとしない。それは自分が奪われることを嫌っているからだろう。

「僕、姉さんと一緒に……あ、ううん、えっと……」

 一緒にいすぎても嫌われるかもしれない。だけど、同じ会場にいるのに姉と離れて自分の見たいサークルを回る気にはなれそうにない。

 フルフルと顔を横にふる。

 姉と一緒に行動できないのなら、せめて、姉の役にたとう。

「姉さんが欲しいサークルに並んで買ってくるよ」

「え?本当?だったら、えっと」

 姉がパンフレットを広げて、サークルチェックを始める。

 よかった。姉に喜んでもらえる。

「えっと、私はここに並ぶから、こっちお願いできるかな?とりあえず買う本は、みっきゅんに一任するっ!」

「みっきゅん?」

 どういうこと?それは、僕の名前?

 僕は、名前を教えたことなんてないよね?

 それに、そんな風に誰かに呼ばれたことはない。

「誰、それ?」

 思わずとげのある声がでる。

 僕じゃない。

 姉は、僕を誰かと間違えたんだ……。


お読みいただきありがとうござ……げふげふっ。

2日続けての弟視点、失礼いたしました。はー。

いや、もう少し続けたいところなんだけど、諦める。

まだ、ちょっとこの先の弟の心の中をぶちまけたいけど、諦める……のです。はい。

流石に、お腹いっぱいでしょ、みんな……もう、本筋に戻ろうね?

さて、弟傍若無人なようで、姉に嫌われたらどうしようとか実は思っております。ただ、方向性がおかしな方に行っているのは、なんていうか、15歳の経験値の低い青い春……ですな……。

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