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【書籍化】オタクガール、悪役令嬢に転生する。【web版】  作者: 富士とまと


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第301話 一人らしい

 そうして、仲良くクレープを食べ終わる。

 お互いに食べさせあってるんだから、仲良くだよね?

 で、最後はティッシュを取り出して口の周りしっかりふいた。

 弟になめられる前にね!

 さらに、ティッシュをもう一枚取り出す。

 手を伸ばして、弟の口回りを吹いてあげる。

 あふれんばかりのクリームがのったクレープを、人の手から食べると口回りにつくのは仕方がない。

 弟の口回りにも、しっかりクリームがついていたのだ。

「あ……」

 弟が小さく声を上げた。

「はい、きれいになったよ」

 と、言ってから、暗い場所でサングラスもかけている状態なので、細部はどうか分からない。

「ごめん、弟、たぶんきれいになったよ?暗くてよく見えないんだ……」

 弟は、ティッシュを持っていた私の手からティッシュを取り上げ、手首をつかんだ。

 そして、つかんだ手を唇に近づけた。

 指先が、あたたかくて柔らかい弟の口に触れる。

「ついてない?」

 あー、確かに指で触ればわかるか。

 ぬるりとしてればクリームがまだついている証拠だもん。

 つつつと、弟の唇を指先でなぞる。

「ふっ」

 くすぐったいのか、弟は身をよじった。

 うん、大丈夫そう。

「きれいになってるよ」

「ありがとう、姉も確かめてあげる」

 とか言われたけど、弟の手が伸びる前に、さっと手の甲で拭ってマスクを装着。

「大丈夫。さぁ、時間もあんまりないから、散策続けよう?」

 スタスタとビルの隙間から路地へと出る。

 ん?弟が来てない?

 少し間を置いて、弟が来た。

 すぐに手をつないで歩きだす。

「今度、いつ会えるのかなぁ……」

 ぼそりと弟がつぶやいた。

「そうだねぇ。いつイベント行けるんだろう」

「GWは?」

「今のところ、ネズニーに行く予定以外はないけれど……。急に予定が決まることが多くて何とも言えない」

 嘉久がな、学校で近づかない代わりに休みは一緒に遊んでくれって言うからね。

 ……もちろん、そんなの断ることだってできるんだけど。

 きっと、断った場合はどこへ行くんだっていろいろ聞かれて面倒くさいだろうし。それに……。

 嘉久ボッチだからさ。ボッチはつらいんだよね。だから、友達ができるまでは遊ぶのに付き合ってあげようと思うんだ。

 あ、別に友達じゃなくてもいいか。彼女ができたらさっさと距離を置きます。

 え?まって!

 攻略対象らしき嘉久の彼女って言ったら、ヒロイン候補と思われる、芽維たんとか皐月たんとかじゃないの?

 嘉久と距離を置くと、芽維たんか皐月たんとも距離ができちゃったりするんじゃない?

 うわーん、そんなのやだよぉーっ!

「そっか……。姉ともっといっぱい会いたいなぁ」

「うん、自由にオタク生活送れる日がくるといいね」

「そうじゃなくて……」

 そうじゃない?私と会うってことは、変装してこうしてイベントやらオタクショップやらに出掛けるってことでしょ?

 いっぱい会うってことは、いっぱいオタ活動するってことだから……ん?

 も、し、か、し、て……。

「オタク活動、略してオタカツ以外でも会いたいってこと?」

 弟が下を向いた。

「オタカツって、アイドルアニメみたいに略したのはなんで?」

 と、質問を返された。

 私がした質問の回答はない。

 ……。

 やだ、本当に、本当に、もしかして、弟は……。

 弟も……。

 そんなに私に会いたいってことは……。

 

 ボッチなの?


 友達いないの?

 わからなくはないけど。

 オタクは、オタク友達以外に友達いないこと結構あるけど。

 コミュ障な人間が多かったりするし……。

 オタクを隠して生活してるというか、だいたい鳳凰学園にオタクを表明してる人なんていなかったりするし……。

 漫研もないし美術部では彫刻してるし。

 だから、学校で、友達がいないとか……。あり得る。あり得る。


 ああ、弟よ……、お前もか。


 だから、初めてできたオタク友達の私と、もっといっぱい会いたいんだね。

 そうだね。うん、そういうことなんだね……。

 いっぱい遊んであげたい!

 学校でも会って一緒にお弁当食べたりしてあげたい。

 一人って寂しいよね。

 でも、二人でいると、絶対オタクってばれちゃうよね。……それはまずい。私もまずいけど、弟もまずいんだよね。

 んー、何とか弟の寂しさを紛らわせてあげることってできないかなぁ……。

 一人じゃないよって、会えないけど私がいるよって……。

 あ、そうだ!

いつもありがとうございます。


ぎゃーっ、もうやめて!

書いてる私が、めちゃ照れるんですけどー、何なの、何なのこの二人!

冷静に考えて、おかしいから、いろいろと、君たちの行動、おかしいから!

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