閑話 弟in秋葉原2
閑話です。弟視点です。
時計を見て、そろそろ昼ご飯にするかと漫画喫茶へ入る。
漫画を何冊か手に食事をとる。
経験上、漫画喫茶での食事は味を楽しむものではない。腹を膨らますためのものだ。そのため、味にあたり外れの少ないカレーを注文する。
業務用のカレーをご飯にかけるだけのものであるから、特別おいしいわけでもないが、まずくなりようもない。
お腹を満たし、棚から持って来た漫画を3冊読み終わる。
さて。これからどうしようか。もう少しここにいようか。
PCでSNSに……と。ここは自室じゃないから、念のためパスワードが必要なものに利用しないほうがいいな。
スマホを取り出して、SNSを開く。
「はっ?」
思わず声が出そうになり、慌てて口を押える。
「姉に、会った?」
タイムラインに、姉に会ったという書き込みが表示された。
まさか、なんで。
いったいどうして……。
単に似ている別の人?でも、本人に確認したって言ってるし……。
信じていい情報なんだろうか?
「握手した!大事なことだからもう一度言う。握手した!」
はぁ?
こいつ、何浮かれた書き込みしてんの?
「僕の姉の手に触れたの?」
と、思わず書き込む。
「そうです!姉の手は、やわらかかった!白くてすべすべしてたー!」
むかっ。
何こいつ、なんで僕の姉に触ったばかりか、姉の手を堪能してんだっ!
「あんた、女?」
女なら……許せる。
男だったら……。
「さぁ、どっちでしょうか」
なんだ、こいつ。煽ってんのか?
いや、待て。落ち着こう。ここで一人この場を荒らして、ブロックされて、姉情報が入手できなくなっては元も子もない。
「写真まだー?」
おっと、ナイスなコメントを書き込んだ人間がいるようだ。
写真……。姉の写真。早く、早く!
「いや、撮ってない。さすがに私服だったし……」
ちぇっ。
いや、見知らぬ人間が僕より先に姉の私服写真持ってるとか許せないから、よかったと思おう。
「むしろ、どんな私服か見たい!」
コメントが次々と書かれていく。
僕だって見たい!
「見たい、会いたい、握手したい!」
「握手、握手!」
「すべすべお手てと握手!」
ちっ、どいつもこいつも……!
「姉の手に触れていいのは、僕だけだ。触るな!」
思わずカッとなって、また攻撃的な言葉を書き込んでしまった。ブロックされたらまずい。
だが、幸いにしてブロックされることもなく、そのままだった。
ホッとした僕の目に飛び込んできたのは、驚くべき事実。
「どこにいたの?探しに行きたいっ!」
「秋葉原~。自動販売機でNARUKO汁買ってた!」
姉が、秋葉原に?
ガタン。
マウスを机の下に落として慌てて拾う。
なぜ?
昨日、僕が秋葉原へ行くとメールを送っても何も言ってなかったのに?
もしかして、行けるかどうかわからなかったけれど急に来られることになったとか?
それとも、AKIBAという書き方では伝わらなかった?
まさか……、僕を探してサプライズで驚かせようとした?
……。
いや、理由なんてどうだっていい。
姉がいる!
探さなくちゃ!
急いで会計を済ませて漫画喫茶を飛び出した。買った荷物を持ちあるくのも邪魔くさい。
目についたコインロッカーに預ける。
よし、これで身軽だ。
……もういちど、SNSをチェックする。
NARUKO汁を買っていたと書いてあった。どこだ?自動販売機はたくさんある。
ありがたいことに、誰かが質問したようで、場所が特定できた。
姉がいたであろう自動販売機に向かう。
当然いるわけもない。
いったいどこへ行ったんだろう?
姉はBL好きだ。
やはり、そういう同人誌を扱っている店だろうか?
秋葉原でBL同人誌の取り扱いが多い店といえば……。この自動販売機の場所から遠くない。
急いで向かい、店内を速足で姉の姿を探す。いない……。
誰かが小さく「弟っ」と言った気がする。
ぱっと振り向けば、そこに姉の姿はない。「きゃっ」と小さく声を上げる20代の女性が一人いるだけだ。
どこだ、どこだ、どこだ!
姉はいつもどこへ行くんだ?
……BL同人誌の店じゃなければ……。
考えろ、考えろ……。
あ……。
そういえば「バスケの玉子様」の最新刊が出ていた。まずは本屋か?
レモンブックスにはいなかった。あと、本屋と言えば……。
本日でちょうど投稿を初めてまるっと1年が経ちました。
皆様のおかげです。ありがとうございます。m(_ _)m
今後ともよろしくお願いいたします。




