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【書籍化】オタクガール、悪役令嬢に転生する。【web版】  作者: 富士とまと


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第288話 先輩はイケメンらしい

「し、師匠って……」

 師匠が焦った声を出す。

 そこに、タイミングよく?田中くんが本を2冊持って店内に入って来た。

 本の代金を支払う。

「では、師匠、講座の申し込みは図書委員で何名参加できるのか確認してから連絡いたしますわ」

「いや、だから、師匠は……って、言葉遣い?……」

「では、失礼いたします。参りましょう、田中くん」

 師匠がまだ何か言っているけれど、なんだかんだと時間が無くなって来たので、ぺこんとお辞儀をして店を出る。


「師匠ってどういうことだ?」

 おっと、ここにも師匠呼びを否定する人間がっ!

 と思ったけど、違った。何も知らない田中くんがいるだけだった。

「実は、これ」

 と、『図書修理講座』のチラシを見せる。

「講師が、先ほどの店主なのですわ」

「へぇー、よく見つけたね。さすが白川。これで、図書委員の本のお医者さん計画が一歩前進だな!」

 流石はおいといて。

「はい、早速講座へ参加メンバーを決めなければいけませんわね」

「僕も参加したいけど、隔週土曜日の午後4回か。5月から6月中旬……無理だなぁ……」

 田中くんが残念そうに首を落とす。

 あ、ちなみに、今は手はつないでません。だって、田中くん、私の荷物をずっと持っていてくれてるの。

 だから、右手に荷物、左手にチラシ状態で、私の手の行き場はありません……。

 でもね、何気なく田中くんの服の裾をつかんでいます。安全対策はばっちりです。迷子対策じゃないですよ?

「おや? 白川璃々亜ちゃん?」

 ふえっ?

 だ、誰?

 名前を呼ばれ振り返る。

 ぐおっ! 女性の声だけど、そこにいたのは……。長めの髪を後ろで縛り、前髪は真ん中で二つにわけた、中肉中背のイケメン……。

 じゃないっ!

 なぜか、休日だからか、メイクもばっちりの

「章子先輩!」

 お菓子部部長、東章子先輩が!

 っていうか、なんで、メイクばっちりなの? ばっちりの方向が違うよ! だって、それ、イケメンメイクだもんっ!

 男装コスプレしてる人が、よくしてるもん。下地+目とまゆ。色味は押さえて、陰影だけで肌を作って。あとは顔色がよく見えるリップ。

「デート?」

 にやっと、章子先輩が、イケメンのまま笑った。

 いやいや、待って、笑い方までイケメン。女性要素はどこへ行った?

 っていうか、デ、デ、デート?

 へ? なんで?

 あっ! 田中くんの服をつかんでいた手を慌てて離す。

「ち、違いますわ、あの、」

 っていうか、手をつないでるの見られなくてよかったー。いや、別にやましくはないけど!

 単なる安全対策だけど! ちゃんと理由も話せるけど! あああ……。

 でも、やっぱり、ドキドキしちゃってたりするから、なんていうか、私の心の奥底にやましさが眠っているというか……。

 そりゃ、私も、少しはデートみたいだなぁなんて思ったりなんかしてたり、してなかったり……。ご、ごめんね田中くん。

 不純な気持ちが、奥底にあったみたい。

 焦りまくって、田中くんが手に持っていたチラシを奪い取るようにして章子先輩に見せる。

 いや、見せようとして、さっと隠す。

 ダメだ。何をしているのか、どこから情報が洩れるかわからない。章子先輩といえども……1年以外の図書委員とどこでどうつながるかわからない。

「今のは?」

 章子先輩が、私が裏を向けて隠した紙に手を伸ばす。

「璃々亜ちゃん、見せて」

 ふっと章子先輩の顔が近づく。

 きゃーっ!

 男装イケメン、男装イケメン、やばいって! 本物の男性よりも、動きが優雅で魅了されるってばっ!

 っていうか、章子先輩、なんでちゃん付け? 言葉遣いも、なんだかいつもと違いますよぅ!

 うっかり、はい、とチラシを渡しそうになって思いとどまる。

「せ、先輩にも見せられませんわ。こ、これは、図書委員のK3に必要な……」

 あ!

 ヒントを与えるようなことをつい言ってしまった。

「へぇー。図書委員の? そっか。学校のために頑張ってくれてるんだね」

 にこっと笑って、章子先輩が頭をなでなでしてくれた。

 それから、

「ありがとう」

 耳元でささやかれた

 って、ぎゃーっ!

 なんで、わざわざ耳元でお礼いうんですかーっ!

「君も、頑張ってね」

 章子先輩は、田中くんの肩に手を置いてポンポンと軽くたたいた。

 そのあと、田中くんの耳元にも顔を寄せてぼそっとつぶやいた。

「生徒会長には黙っといてあげる」

 って、私の耳にも聞こえました。

 あー、うん。兄には黙っていてくれるんだ。

 って、何を?

 私、図書委員の仕事で今日外出するって兄に言ってあった気がするんだけど。

 ってことは「図書委員の仕事で何かチラシ見せられたよ、内緒にされたけど」とか兄に章子先輩の口から言ってもらった方が、私がこの後秋葉原うろついていても図書委員の仕事だと思われると思うの。

 だから、言ってもらってもいいんだよ?

「じゃぁ、また学校で」

 と、章子先輩は去っていった。

「え、えーっと、」

 田中くんがボー然として章子先輩の後姿を見送っている。


ごらんいただきありがとうございます。

章子先輩ですが、

初期の初期の設定だと「東野章子」だったんですよ。で、東クン(バスケの王子様)に合わせて東章子に直してみたものの、東先輩って呼ぶとややこしいので、東野章子に戻そうかなと思っていて。

別作品で「吾妻さん」ってのが出てきて、「東クン」も同じ読み方なつもりだったので「東野章子」は「あずまの章子」だったのですが、本屋に行ってビックリ!

「あずまの章」ってご存知?なろう出身の作家様。

それだけでも、おおうっ、なのに、オタク系小説書いてるんですっ!

ええー、まじか!偶然だけど、とても偶然じゃなくて狙っただろうと思われても仕方がないような偶然だ……汗・・・・。ってなわけで、「東野章子」の読み方は「ひがしの」にすることにして「東くん」も「ひがしくん」ってことにしようと思います。

(´・ω・`)でも、私、タイプするときには「あづま」です。「あずま」でも「ひがし」でもない……苦笑。

ということで、よろしくお願いします。とりあえず、東野の苗字が出てくることはほぼなく「章子先輩」表記かとは思いますが……。


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