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【書籍化】オタクガール、悪役令嬢に転生する。【web版】  作者: 富士とまと


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第287話 本音が漏れてしまったらしい

「それで、私も本の修復ができるようになりたいと思ったのです。本の修復を覚えて、誰かの大切な本を直して喜んだ顔が見たいのですわ」

 なんという美談!

 って、嘘じゃないよ?これも本当だからね?

 自分の本も直したいけど、誰かの笑顔も見たいからね?

 ちょ、誰、偽善とか言ってるの!本心、本心!

 ……おかしい、嘘くさくなっていくのはなぜだ!

 店主は、私の話を聞き終えると、ふむと小さく頷いた。

 よし!

「その図書室の司書さんに教えてもらえばいいだろ」

 とだけ言って、背を向けた。

 んぎゃーっ!

 ま、冷静に考えればそうなるよね!

「待ってください!事情があって、図書室の司書さんに教えていただくわけには……!」

 必死に声をかけると、店主の顔がこちらに向いた。

「事情?」

 怪訝な顔をされる。

 ううっ。言えない。他の図書委員に内緒にしたいとか……。グループごとでK3の得点の競争してるとか……。

 ただでさえ鳳凰学園にいいイメージ持ってないだろうから、そんなごたごた言えない……。

「まぁいい」

 ふっと店主が息を吐く。

 いいの?じゃぁ、

「修復の基礎なら、ここで教えてくれる」

 店主は一枚の紙を取り出した。

 紙には『図書修理講座』と書いてある。

 ふおっ、こんなのが有るんだ!

 日程、費用、場所、申し込み問い合わせ先が書いてある。それから、講座内容。

 ふんふん、何々。

 図書の各部の名称を覚えよう

 道具について知ろう

 破れたページを修理しよう

 はずれたページを修理しよう

 割れたのどを修理しよう

 背を修理しよう

 コーティング用フィルムをかけよう

 本を解体しよう

 本を綴じよう

 ……。

 あれ?

 私が感激した、虫食いの穴のふさぎ方は?

「店主!私、やはり店主に修復を教えていただきたいです!これ、この穴のふさぎ方に私は感銘を受けました!」

 これで納得しただろうと思っていたのか、気を抜いていた店主は私の突然の言葉に再びぎょっとした顔を見せた。

「私、大好きな本は3冊買います。自分用と保存用と布教用です!布教用は、友達に貸すんです。だけど、貸した本がいつも無事に帰ってくるとは限らないのです。友達に悪気はないんです。ですけど、飼い猫や幼い子供に破られたり穴が開けられたりして帰ってくることがあります。ごめんねって友達はお詫びもしてくれるいい子だし、私の貸した本を面白かったと言ってくれるから、私は貸すのを辞めません。だけど、やっぱり傷ついた本を見るのは心苦しくて……。その本を、もし自分の手で直して上げられたらって思ったんです。お願いします、教えてくださいっ!」

 って、そこまで一気にしゃべって我に返る。

 

 うっわーっ。

 や、やってしまった……。

 なんだよ、自分用、保存用、布教用って……。オタク丸出しじゃないか……。

 なんという失態を……。

 しかも、言葉遣い、全然お嬢様してないよね?

 あれ?いつからお嬢様言葉になってなかったっけ……。

 さぁーっと、血の気が引く音が……。

 ううっ、ここは、お嬢様っぽくめまいでも起こして倒れてしまおうか?

 ……って、いつの時代のお嬢様だよっ!それは、日にもろくに当たらず偏った食事して運動もろくにしてない時代のお嬢様だよっ!

 うん。あったな。あったよ。

 女体化した上に、設定が平安時代になってた「バスケの王子様」同人誌。

 京様(女体化貴族令嬢)が「よよよ」と言いながらめまいを起こして倒れたりなんかして、家臣の東先輩(男のまま)とか帝の都キャプテン(男のまま)が見舞いにやってきて……。とか、そんな同人誌。

 帝の都キャプテンとかなんて美味しい設定!とか思ったけど、当時は一夫多妻なんだよっ!つまりだ、京様一筋じゃない設定とか、そんなのいらないわっ!ぽーいっ!だった……。

 あれ?ぽーーい?

 私、思い入れのある本以外の扱い、ひどくない?

 あ、いや、でも、捨ててないよ?ぽーーいって、「まんだらげっと」に売りに行ったりしただけで……。


「よっぽどの本好きだな」

 店主の声。

 いや、お気に入りの同人誌に限りですっ!

 おっと。

 口をふさげ、この下衆がっ!と、自分を罵倒する。

 店主のおじさんが、ニヤッと口の端を上げた。

「気に入った。教えてやろう」

 ふえっ!

 や、や、や、

 やったぁーーーーーっ!

 あ、行けない。両手を上にあげてクルクル回っちゃうところだった。

「まずはこれからだな」

 店主は、先ほどのチラシをツンツンとつついた。

 『図書修理講座』あ、基礎はこっちで学んで来いってこと?

「自己紹介がまだだったな。木元だ」

 ん?

 店主がツンツンしてたチラシ。

 講師:木元(木元古書店店主)。

「し、師匠!」

 と、思わず声を上げてしまった私は悪くない。

 師匠って言葉がカッコいいなぁって中二病を患っているわけではない……はず……だ。


いつもありがとうございます。

図書委員の本のお医者さんの師匠ゲットです。

この話を書くにあたり、色々と本の修理方法を学べるところが無いかと調べました。全国各地、NPOだったり図書館だったりの主催で、講座が開かれているようです。興味のある方は「本の修理」などで検索してみてね!


き、気が付いた?

店主の名前に「あっ!」な方いらっしゃるかしら?・・・以下、その人向けの話です。


フルネームは流石にどうかと思ったんだけど……。

よく考えたらさ、コスプレいっぱいされてアニメ化にまでなった人気小説っていう設定の作品あったじゃない?そのうち出しちゃおうかなぁーとか、妄想して楽しんじゃいました。山下さんとかもありだね。

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