表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】オタクガール、悪役令嬢に転生する。【web版】  作者: 富士とまと


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

330/565

第283話 反則をしてしまったらしい

 去る者は追う!っていう条件反射みたいに、私はひっこめられた手を慌ててつかんだ。

 つかまれた田中くんの手が震えるのが伝わってくる。

 あれ?

 ひっこめたっていうのは……手を、もう、私とは……、つなぎたくなかったって……こと……なのかな……。

 それなのに、必死かよっ!って勢いでつかんだりしたら……。

 嫌われた?

 つかんだ手の力が抜ける。

 怖くて、田中くんの顔、見れない。


 ぎゅっ。


「!」


 力強く、手を握られる。

 ハッとして田中くんの顔を見る。

「行こうか」

「うん……」

 ちゃんと、田中くん、微笑んでくれた。嫌われてない?

 でも、なんで、手をひっこめようとしたんだろう……。

 右手出して、左手の方がよかったかなとか思った?

 ……ってわけじゃないよね……。

 分かんないけど、でも……。


 ぎゅって握ってくれてる手を、ぎゅっと握り返す。

 そうしたら、田中くんも、また、ぎゅってしてくれた。


 大丈夫。嫌われてないよね?

「それ、反則」

 ん?

 田中くんが、むぎゅむぎゅむぎゅって、もむように手を動かした。

「反則?」

 心なしか、田中くんの耳が赤い?

 反則って何だろう?


「着いたよ」

 店内では田中くんの手が離れていく。

 うん、まぁ、ほら、店内で悪者に絡まれるなんてないだろうし。

 店を出る時には、また手を差し出してくれるし……。

 律儀だなぁ。


「それでいいの?」

 田中くんが夏でも着るだけでマイナス4度とかいうのを教えてくれた。

 通気性もよさそうだし、うん、いいね!

 と、そのシリーズから上下黒のトレーニングウェアを選んで手に取る。

「黒が好きなの?」

 ふえ?

 そうか。前も黒買ったのを、田中くんは見てたんだっけ。

 だって、コスプレ用だからね。色はキャラクターが見につけている物に合わせて黒が必須なのですよ。って、説明できるわけもなく……。

 ああ、なんだか、地球ガラスのストラップの件といい……。私、田中くんの質問に答えられないことばかりだよね?

 ……。

 何だろう。

 隠しごとするの……。

 すごく、胸の奥がさ、もやもやする。

 ……。

 だけど、でも、言えない。

 絶対に、言えない。

 だって……。

 嫌われたくない。

 オタクなんだって……BL好きなんだって、変な目で見られたくない……。

 だから、絶対に、絶対に、絶対に、バレるわけにはいかないのっ。

 田中くんに嫌われることを想像したら、悲しくなった。

「白川、違うんだ、別に黒なんてやめろと言ってるわけじゃなくて……」

 焦った声に驚く。

 あれ?私、表情に悲しみ出てた?

 おーい、私のポーカーフェイスさぁーーーん、出番ですよぉ!帰っておいで!

 美味しい物食べさせてあげるから、帰っておいで!

 ……あ、美味しい物食べたら顔に出るな。だめだ。

「白川なら、他の色も似あうだろうなぁって想像したら、その……」

「ありがとうございます。でも、えっと、今日はこれにしておきますわ」

 あー、こりゃ、次は田中くんと一緒に姉のコスプレ用トレーニングウェアを買うのは無理かなぁ……。

 また黒って思われちゃうよね。しょぼぉん。

「田中くんは何を買いに来たのですか?」

「え?あ、えーっと、そうだな……」

 キョロキョロとしてから田中くんは店の奥に進んで行った。

 野球用品が置かれている一画だ。

「おお、品揃えいいなぁ」

 嬉しそうに、何やら見始めました。

 分かるよ、分かる!私が本屋のBLコーナーに居るときみたいな顔してる。品揃え多いと嬉しいよね!ドキドキするよね!

 しばらく色々見てて、顔を上げた。

「ごめん、白川、えっと、もう少しいいかな?」

 ふふっ。気遣いの田中くんも、私のことを一瞬忘れるくらいってことだよね。

 ……ああ、もし私が充実のBLコーナーに足を踏み入れたら……同行者のこと忘れたままになりそうだなぁ……。

「ええ、もちろんですわ。私が選ぶのに付き合っていただきましたし。まだ、お時間かかりそうなら、私も他のものを見てきてもよろしいでしょうか?せっかくこれだけ大きなお店に連れてきていただいたのですから」

「ごめん、ありがとう。30分くらいいいかな?」

「ええ、わかりましたわ。30分後にまた、こちらへ戻ってきますわ」


御覧頂きありがとうございます。

えー、閑話にて、田中くんの裏をかかないと訳が分からないかもしれないなぁと思いつつ、私一人、田中くんの心の葛藤を堪能しております。

ぐふっ、甘酸っぱい、甘酸っぱい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ