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【書籍化】オタクガール、悪役令嬢に転生する。【web版】  作者: 富士とまと


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第276話 東章子先輩の目論見は失敗らしい

 ん?

 オレンジは好みじゃない?

 二人の手がココナッツシフォンケーキ近くでぶつかる。

 にらみ合いが続く。って、はいはい。二人とも、子供か!

 仕方がないので、8分の一サイズを皿に半分の16分の1にカットして、二人にココナッツとオレンジと半分ずつさらに載せてあげた。

「最高……」

 シフォンケーキを口に入れた途端に、嘉久がため息交じりに言葉を発する。

「ああ、至福だ……」

 兄も満足そう。

 ぐぅっ!

 ため息交じりに「最高……」とか「至福だ……」とか、京様ボイスと都キャプテンボイスで言われると……。

 あああ、本当、二人ってば何に対してその感想を漏らしてるの?

 やっぱりあれですか!夜明けのコーヒー前の行いに対する感想か!

 やだ、もう、エッチィ!ああ、脳内録音。

 京様「最高……」

 都キャプテン「ああ、至福だ……」

 抱き合う二人にアテレコ。うふふ腐ーーーっ!

 ぐはーっ、やべ、やばい、

「おいしすぎ……」

 うはっ、脳内感想が、漏れた。

 別の意味でやばい。お口にチャック!

「ああ、本当においしいなぁ……」

「これが、遅くまでかかって作った味かぁ……。そんなに時間がかかるケーキだと思うとよりおいしく感じるな!」

 嘉久よ……。作り時間が長ければ美味しく感じるならさ、2週間寝かせないと食べられないシュトレンなんて絶品中の絶品だろうよ。まぁ、美味しいけどね!

 あ、もしかしてクリスマス前にはお菓子部でシュトレンとか作るのかな?楽しみ!

 シュトレンって、高いんだよねぇ。だから、前世ではいっぱい食べられなかったんだ。だって、ロールケーキの4分の一くらいのサイズで、ロールケーキ1個分の値段とかするんだもん。ちょっと調べたら、作る手間もかかるけど、材料も高いんだって。クリスマスに食べるから、ケーキの仲間だと思ってたけど、カステラと羊羹くらい別ものらしい。ん?流石にそこまで違わないかな?羊羹とういろうくらいの違いかな?

 あ、羊羹とういろうは、姿は似てるけどまるっきり別ものだけどね。

 お菓子部なら、材料費が高くても問題ないよね?

「嘉久様、それほど時間がかかってはいませんわ。今日は、K3の話し合いが長引いて遅くなっただけですから」

 一応、誤解だけは解いておこう。

「あ、そうなのか?時間がかからないなら、また家で作ってもらえるのか?」

 って、しまった。誤解させておけばよかった。

 それにしても、嘉久でも、時間がかかるものを作ってくれと言うのは申し訳ないという気が回るっていうのは意外だ。もっと、色々気を回せと思う。

 返事をせずに放置。

「遅くまでK3の話し合いをしていたというのは、東くんからも聞いている」

 へっ?!

 都キャプテンボイスで東先輩を「東くん」だとぉ?!

「200万円の部費の貸し出しは問題ないと思う」

 って、副会長であり、お菓子部部長の東章子先輩のことか!

 はー、心臓に悪い。いや、心臓に良い。

「ただ、部費の増額は難しいと思う……。今の部費から返済の20万を捻出してもらうしかないと思う……」

 え?

 それって……。

 もしかして……。

 節約するってことだよね?

 部費でいろいろな材料を買っていたのを、節約するってことは……材料費が高いお菓子は作れないってこと?

 シュトレンを作れないってこと?

 シュトレン食べ放題とかできないってこと?

 2週間寝かせて食べるのを楽しみにするとかできないってこと?

 Σ( ̄ロ ̄lll)ガーン

「そ、そんな……」

 シュトレン、シュトレン、シュトーレェーーーン!

「すまない……」

 兄が頭を下げた。

 ん?

「私も、お菓子部の部費を増額したいのはやまやまなのだが……。運動部の反発が強くて無理だと思う。文科部ばかりK3にお金をかけて色々なことをしてポイントを稼ぐのはずるいという意見だ。運動部は、元々KHTで運動で貢献している。それは日々の練習の成果で、練習時間を削ってまでK3でポイントを取ろうとすれば本末転倒になってしまう。それなのに、文化部ばかり部費などを優遇すれば運動部がいい顔をしない……」

 あ、そっか。

 確かにねぇ。

 田中くんも、練習が忙しくて図書委員の活動にあまり協力できないって言ってた。そうだよね。

 社会貢献のための活動って運動部は結構無理があるよね。ただでさえ、文化部が時間的に有利なのに、そのうえ金まで優遇されたらそりゃ、ばかばかしくなるっていうのも分かる。

 ……。

 仕方がない。

 シュトレンは諦めよう。

 いや、作るのを諦めるんであって、クリスマスに買ってもらえばいいよね?白川家、お金持ちだからクリスマスにシュトレンくらい買ってくれるよね?

 あ、もしかして、それもシェフが作るのかな?白川家の料理人、何気に和洋中からデザートまでなんでもござれだよね?

「問題ありませんわ」

 部費を節約してもシュトレンは食べられる。

「ん?そうか?もしかして、移動販売車で営業許可を取るというのは、実際に販売を目的とするということか?」

 え?

 ああ、なるほど。

 売って稼ぐのか。

「さぁ、私には分かりません」

「売るのか?買うぞ!璃々亜の作ったお菓子、買うぞ!」

 嘉久、どんだけ甘いもの好きなのだ。

 でも、先輩の作ったお菓子はプロ並みだもん。

 売れるよね。

 20万稼ぐには、どれくらい売ればいいんだろうね?


いつもありがとうございます。

感謝の気持ちでいっぱいです。


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