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【書籍化】オタクガール、悪役令嬢に転生する。【web版】  作者: 富士とまと


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第274話 芽維たんに相談されたらしい

 あれ?ちょっと待って……。

 私、田中くんを引き留めちゃったけど……。襲われる芽維たんを助けるのって……田中くんだったなんてことは……。

 田中くんとの、好感度アップイベントだったんじゃ……。

 それを、私、つぶしちゃった?

 え?

 あれ?

 田中くんと芽維たんの仲を邪魔してる?

 恋愛を邪魔するのって、悪役令嬢の役目じゃないっ!や、やだ、私……、もしかしても、もしかしなくても……。

 無意識悪役令嬢とかになっちゃってる?

 うわ、やっべ。

 これ、事情を知らない誰かが見たら、仲の良い田中くんを引きはがし、男子生徒に芽維たんを襲わせた悪役令嬢と見えなくもない……。

「あ、あの、やっぱり戻りましょう!」

 助けないと、芽維たんを!

 と思って、部活棟に目を向けると、先ほどの男子生徒と芽維たんが二人並んで歩いてきた。

 あ、あれ?

 芽維たん、乱暴なことされてない?

 あ、じゃぁ、まさか……二人は告白のあと、円満にお付き合いを始めましたなんてパターン……。

 う、う、嘘だーっ!

「璃々亜さん、田中くん、どうしよう?」

 ふあっ!

 まさかの相談されたっ!

 えー、どうしようって、付き合おうかなぁ、いい人だけどーとか?

 いやいや、困る!

 相談されても困る!

「ど、ど、どうしようとは……?」

 でも、友達だし、友達といえば、恋愛相談は定番中の定番だし、頑張って相談にのらなくちゃ!

 ふんっ。

 鼻息荒く決意を固める。

 大丈夫、恋愛経験も、恋愛経験の相談されたことも無いけど、でも、大丈夫!

 私には、数多くの恋愛物語を読んだ経験がある!

 数多くの恋愛相談シーンを読破した記憶がある!

 ……その大部分が「同性を好きになっちゃった」悩みだったり「男同志なのに」って葛藤だったり……何の役にも立たないものであることは言うまでもない。

 ……、全然大丈夫じゃないよ……。

 あーうー。

 涙目になりながら、田中くんをちょいと見上げる。

 田中くんの顔は動揺もなにもない。

 はっ!

 そうだよね。

 野球部で一緒の男子生徒だったら、すでに相談を受けているわけだよね?

 それに、人となりもよくわかってるわけだから……。

 田中くんが、芽維たんを襲うような人間を紹介するわけないし……。あ、あれ?

 田中くんが、芽維たんに紹介?告白するのを助ける?

 え?ヒロイン芽維たんに、攻略対象田中くんがそんな対応でいいの?

 まあ、4月で序盤だし。

 この1件で「田中くん、私のこと興味ないのかな……」的なイベントという可能性も?

 うう、難しすぎて、頭がパンクしそう。

 っていうか、そもそも田中くんが攻略対象キャラじゃない可能性もあるんだった。ヒロインだって、芽維たんとは限らないし。

 あー、もうっ!

 こういうイベントがあったりこういうフラグが立つっていう情報とまでは言わないから、本当に、せめて、せめて登場キャラクターが誰なのかってことくらい教えてよ、神様っ!

 うううっ。

 あと、破滅って、どの程度の破滅なのかも知りたい。

 死なないなら、没落は問題ないよ。だって、中身は元々庶民だからね?

 働いてつつましく生活するのは平気だからね?

 わざわざ悩んで必死に破滅ルート回避することもないわけだよ。……だけど、死亡エンドと獄中エンドは無理!全力回避しないと!

 ……。

 結論。

 結局何も分からない。以上!

 今後も必死に想像しながら慎重に行動するしかないってことだね……。あううっ。


 で、えっと、田中くんと私に、芽維たんの恋愛相談だっけ……。

「えっと、作ったお菓子が欲しいって言われたんだけど……、立花ちゃんにあげる分のつもりだったんだけど……」

 はい?

 お菓子が欲しい?

「あー、僕が部活終わりにお菓子の差し入れもらってるの羨ましがられて、立花の分は、僕のを少し分けるからよければあげてくれないか?今日だけでもいいからさ、毎日しつこく言われてうるさくて……」

 と、田中くん。

 なぬ?

 この男子部員の話っていうのは、告白じゃなくて、お菓子が欲しいって話なの?

「でさ、白川……白川からもらったお菓子だけど……少し六花に分けてもいいかな?」

 と、田中くんが私に尋ねて来た。

「へ?あ、ええ、もちろんですわ。今日のシフォンケーキは我ながら上手にできたと思いますから、立花ちゃんにも喜んでいただけると嬉しいですわ」

 手に持っていたシフォンケーキの入ったケーキボックスを田中くんに手渡す。

 うん。丸々1個分なので、立花ちゃんと分けて食べてもかなりのボリュームがあると思うんだ。直径17センチだもん。大体一人分は八分の1にカットしたサイズらしいから、8人前あるんだよ。

「っていうことで、鈴木、立花ことは問題なくなったけど」

 と、田中くんが芽維たんに話しかけた。


お読みいただきありがとうございます。

野球部員、がんばって田中くん後押ししてあげてー!

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