兄視点
あ、璃々亜の名前がひらがなだ、すみません。脳内変換してください。
テーブルの上には、卵が2つ残っていた。
まだ、りりあは泡立てる練習をするつもりだろうか?
りりあがしていたのを思いだし、卵を割る。
嘉久のように、失敗して潰してしまうんじゃないかと思い、力をあまり入れずに卵を台の上に打ち付ける。
力が弱すぎたのか、1度目は全くの無傷。2度目は少しひびが入る。そして、3度目にそれなりの割れ目ができた。
そっとボウルに卵を割り入れる。
うん、よし。殻も入らなかった。うまく割れただろう。
だが、りりあのように、殻をつかって白身と黄身をわけながらボウルに入れることはできなかった。
……りりあはすごいな。いつのまに、あれだけ上手に卵を割れるようになったのだろう。
お菓子部でいったい、どれほど練習したのだろう。
りりあもスタートは嘉久と大差ない感じだったのではないだろうか。あの状態から、あまり起用ではないりりあがあれだけ上手に卵を割れるようになるには……。
よほど努力したにちがいない。
昔からりりあは、努力をあまり人に見せたがらなかった。
勉強した後が残る参考書などは、目に着かない場所にしまい込んでいた。
わからないことがあっても、僕や先生に質問することは、努力を見せることだと思っていたのか尋ねたりしなかった。
それが、高校に入ってからは変わった。
わからないところは教えて欲しいと、素直に聞いてくれるようになった。
教えてあげると、ありがとうございますと、世界一の笑顔を見せてくれる。
そうだ、学校で一度、りりあの友達の質問にも答えたことがあった。鈴木芽衣という名だったか。特待生なだけはあり、質問の内容も高度だったな。
りりあは、友達を本当に大切にしているのがわかる。友達の勉強を少しみてあげただけなのに、自分のこと以上に喜んでくれた。
りりあを喜ばせるには、りりあ自身だけではなく、りりあの友達にも何かしてあげるといいと学んだ。
だが、私にできることなど限られてはいるだろう。
学校に関係することであれば、生徒会長でいる間はいろいろしてあげられる。
だが、来年に以降、私は卒業してしまう。
卒業したら、受験勉強の手伝いをすることはできるだろう。だが、学校でりりあを助けてくれるのは……。
りりあの同級生である、嘉久……いや、やつには任せられない。
むしろ、任せたと言えは、何を勘違いするのか想像するだけでも恐ろしい。
いつか、りりあを任せたということがあるかもしれないが、それは今ではない。それに、相手も嘉久とはかぎらない。というか、りりあのことは私に任せてくれと言いたい。
……。
学校で、りりあを助けてくれるのは、友達になるだろう。
鈴木芽衣……彼女とはもう少し交流を持った方がよいかもしれない。
そうすれば、私が学校を卒業した後も、りりあの学校での様子を知ることもできるし、りりあに何かあればいち早く手助けもできるはずだ。
鈴木芽衣くんと、親交を深める方法……。
やはり、勉強を教えるというのが一番自然かもしれないな。
たしか、りりあは週に1日、授業後に学校に残って友達と勉強会をしていたな。できるだけ顔を出して、勉強を見るようにしよう。
とりあえず、今は……。
特待生である鈴木芽衣くんのいかなる質問にも答えられるように、私も勉強に励むことにしよう。
おっと、その前に。
泡立てていたボウルの中身に意識を戻す。
かれこれ、10分ほどは掻き混ぜていたはずだ。だが、まるで泡立ってはいない。
「りりあは、すごいな……」
あれほど上手に卵を泡立てられるなんて、天才かもしれないな。
いつもありがとうございます。
兄、芽維たんを味方につけようとするらしい。あれ、これ、恋愛フラグ?
……なんか、あんまり恋愛フラグに見えないのはなぜだろう……




