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【書籍化】オタクガール、悪役令嬢に転生する。【web版】  作者: 富士とまと


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第233話 図書委員1年の案らしい

「相原の絵本を直してやっただろう?」

 ん?

「それは、司書さんが直してくれたので、私ではありませんわ」

「うん。だけど、橋渡しをしたのは白川だよな。相原はずいぶん感激していただろう?」

 確かに、涙を浮かべて喜んでくれた。

「ほら、破られたプリントをテープで貼ってもらっただけでも嬉しかったって前に言っただろう?」

 ああ、図書委員会のときに、委員長に破られたデモプリントを2年の先輩が貼って渡してくれた時のことよね?

「大切にしていた本を直してもらえたら……そりゃ嬉しいだろうなって思ったんだよ……。白川すごいなぁって」

「すごいのは、司書さんですわ」

 あんなにびりびりのボロボロになった絵本を、ちゃんと絵本の形に戻してくれたんだもん。

 あの技術……ぜひ手に入れたいものです。

 同人誌の修繕ができたら……。

「うん、確かに実際に直したのは司書の人かもしれない……。だけど」

 だけど?

「本を直そうって考えられる白川がすごい……」

 え?そう?

 大切な本なら、少しでも元通りの形に直したいって普通だよね?

 ん?

 普通?

 そういえば、須賀さんだっけ?「新しい本を買えばよろしいですわ」的なこと言っていたっけ?

 もしかして、この学校では「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない」的人種の巣窟で……。「A52色刷り24ページの同人誌がなければ、A4フルカラー48ページの同人誌を買えばいいじゃない」っていう考えが普通なの?

 違うぞ、違う!

 大きくなって色もついてページ数も増えて立派だからって、それはもう別ものだから!

 京×都同人誌で、あたしの萌えシチュがいっぱい詰まった同人誌なら、B6ペラコピー誌だって宝物だからっ!

 あ、なんか、話がずれた。

 とにかく、お気に入りの1冊というのは他の物に変えられない。それって、別に普通なんだよねぇ……。

「そして、本を直してくれる人を知っていた白川がすごい」

 それは……。

 同人誌作ってる!とか間違えて司書さんの作業を見ていたから……とは言えない。

 ……。

 そして、将来破れたポスターやボロボロになった同人誌を修復するために、司書さんにその技を教えてもらおうと思っているとも言えない……。

「なぁ、白川……白川に気が付かせてもらったんだ。大切な本を直してほしいっていう人がもしかして他にいるんじゃないかって。もしそうなら……。それが社会貢献につながるんじゃないかって」

 お!

 なるほど!

「本の病院をするんですわね!」

 いいね、いいねぇ~。

 図書委員が本を直してあげるわけね。

 ってことは、司書さんに堂々と本の直し方を習うことができるってことだよね!

 きゃほーっ!

 なんて、す、て、き!

「田中くん、とっても素敵なアイデアですわ!」

 思わず田中くんの両手を取って、ぶんぶんと上下に振り回す。

「いや、だから、すごいのは白川だから!」

「いいえ、私、少しも思いつきもしませんでしたわ!」

 図書委員で必要だから教えてくださいなんて……ぐふ。そんな便利な言い訳、ぜーんぜん思い浮かばなかった。

 大好きなBL同人誌を直すために技術を教えて欲しい!なんて、黒すぎて黒すぎて、口に出せなくて……。

 やましさから、ちょっと申し訳ない気持ちだったけど……。

 社会活動のために必要なのですわー!とか……。ふっふっふ。

 大手を振って材料を買い込んで家でも練習できるじゃないの!きゃはっ。

 ふんふふーん。

 今にも鼻歌を歌って、踊りだしそうな気持ちを抑える。

「だが、色々と問題もあるんだよなぁ」

 え?問題?

「先輩たちに見つからないように行動しないといけない」

 うんうん。

「司書にどうやって頼むのか……」

「いっそ、司書さんじゃなくて、本の修復師さんみたいなプロを探して頼んでみるのはいかがですか?」

 司書さんもすごかったけど、プロの技も見てみたい!

「え?だが、1冊修復してもらうのにどれくらい費用が掛かるのか……」

 ん?

「修復するのは、私たち図書委員ではありませんの?修復師さんの元で修業をさせてもらうんですわよね?」

 田中くんが目を見開いた。

「そうか!そうだな!図書委員が社会貢献をするんだもんな。橋渡し役ができればと考えていたが……ははは。そうだ。白川の言う通りだ。僕たちが受付じゃなくて医者になればいいんだな!よし、その方向で皆にも相談してみよう」

 ということで、明日の朝、少し早く学校に来て、図書委員1年生緊急会議を開くことにした。

 放課後は部活がある人もいるので、早朝が一番集まりやすい。

 スパイ対策として、会議室を予約して借りることにした。

 あるんだよ、会議室っていう部屋が。

「では、教室に戻りましょうか」

「待って!」

 資料室から出ようとしたところで、田中くんに肩をつかまれる。

「白川の名誉を傷つけるわけにはいかない」

 名誉?

 田中くんは、ドアを開けると顔をのぞかせて廊下に人の姿がないか確かめた。

「念のため白川は少し時間を空けて出てきて」

 念のため、それは、スパイに二人で相談していたというのがバレないためですね!

 了解です!


御覧いただきありがとうございます。

色々ちりばめて置いた伏線一つ回収ー。

そう、図書委員の社会貢献は、この道です。にゃはー。気が付いていた人もいっぱいいたよねー。

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