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【書籍化】オタクガール、悪役令嬢に転生する。【web版】  作者: 富士とまと


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第224話 ダチョウも出たらしい

「いくら特別って言ってもなぁ?」

 ゴリが他の生徒の顔を見てから言葉の続きを口にする。

「所詮ネズニーだろ。全然興味ねぇし、行かねぇし。だったら、これ、ただのゴミなわけだ」

 ぴらぴらっとチケットを振ってから、ゴリは手を放した。

 ひらひらと揺れながら床に落ちるチケット。

 ゴ、ゴミ……ひどいっ!


 ……と、はたと気が付いてしまった。

 ひどいことをしたのは、私の方なんじゃないかと……。


 少し冷静になってゴリを見る。

「そうですわね……、彼女のいない方は、ネズニーにデートに行くこともありませんし……」

 ゴリに彼女がいるかどうかは知らない。

 だが、私の予想ではいない。なぜなら、ゴリだから!……あ、うん。容姿云々じゃないんだけどさ、問題は。

「ペアチケットなんてもらっても、確かにお誘いになる相手がいなければ宝の持ち腐れになってしまいますわよね?」

 ゴリの顔が青ざめた。

 あ、ごめん。彼女がいないなんてみんなの前で言われたくなかったね。

「分かりますわ……。友達を誘おうにも、彼女と行くからと断られたらと考えると、怖くて誘えませんものね。独りぼっちでネズニーに行くことなど……」

 元ボッチ璃々亜。あなたの気持ちは痛いほどよくわかります。

 ボッチでネズニー。想像して背中が寒くなったもん。

 うううっ。

 ボッチで行くくらいなら、嘉久と言った方がマシ!……いや、嘉久と行くくらいならボッチで行った方がマシ!

 あれ?

 えっと、誰か普通に一緒に行ってくださぁーーーい!

 って、私はもうGWにみんなと行くって決まってるんだった。

 ん?

 あれ?

 2枚のチケットがある。

 1枚はGWに皆とネズニーシー。

 さて、もう1枚は?

 ……。

「はっ、だ、誰がボッチだ!」

 ゴリが狼狽え気味に言葉を発する。

「ええ、わかっておりますわ」

 聖女の微笑みしてる?

 今の私……きっと、慈悲深い顔してるよね?

 いや、むしろ、魂が抜けた顔?

 私、他に誘う人がいなくてもう1枚はボッチネズニーかもしれない……。

「楽しくネズニーに行く皆様を見ているのも辛いその気持ち……。いっそのこと、興味がないとディスった方が楽ですわよね。行く気がないとアピールして、行く相手がいない事実を覆い隠した方が……」

 ううう、ゴリ、お前ボッチ、俺、ボッチ仲間……。

 って、ちゃうわ!

 思わずゴリに親近感わいたとか、ない、ない、気の迷い!

「言わせておけば……」

 図星を付かれたからか、ゴリがカッと頭に血をのぼらせた。

 あ、しまった。人前で恥をかかせてしまった!

「もうしわけありませんっ!」

 ぺこんっと頭を下げる。

「ネズニーのチケットをもらって傷つくことがいるという考えはありませんでしたわ。自分で使わないなら、どなたかに差し上げればいいと思っておりましたが……プレゼントする相手すらいない孤独な人もいらっしゃるんですね……」

 あれ?誤ったのに、ゴリの血管が切れそうになってる?

 何?

 私、やらかした?

 ゴリが落としたチケットを拾い上げる。

「このチケット、いただいてもよろしいかしら?」

「なんだ、散々人をコケにするようなこと言って目的はそれか!チケットが欲しかったなら、欲しいって初めに言えばよかったじゃねぇの?」

 ふんっと、溜飲を下げたようにゴリが私を上から見下ろす。

「俺らにとってはゴミでも、価値あるって思う人間はいるってことだ。チケットが買えないやつとか」

 いやだから、特別優先チケットはおいそれとは買えないって!わかってんのかな?それとも、ゴリ、こう見えてネズニーに太いパイプ持っていて、いつでも並ばずにゴリパス、いや、顔パスだったりする?

「そういや、うちのクラスにもすんげぇ喜んでたやつがいたなぁ」

 と、別の男子生徒がにやにやした顔で一人の生徒の顔を見た。あ、アレに似てる。ダチョウ。首を延ばして生徒の顔を覗き込む姿がダチョウっぽい。

「特待生くん、君だったかな?」

 きゃーははははと周りの女生徒が笑った。

 どうやら、このクラスにはゴリの他にもボッチがいるらしい。

 ディスることによって、一緒に行く相手がいないボッチな自分から目をそらそうとする人間が……。かわいそす。ボッチ。

「おい、お前もチケットいらねぇって言ってただろ、この哀れな1年生にプレゼントしてやったらどうだ?」

「あ~?欲しいなら、勝手にもってけば?」

 ダチョウ男子生徒が、顎をくいっと動かし、教室の隅に置かれたゴミ箱に視線を向ける。

「全てのチケットには番号が書いてありますから……利用しなかった人がチェックされるでしょうね」

 皐月たんが唐突に口を開く。

「もし生徒会にチケットを使わなかった理由を問われたときに、ゴミにしたとおっしゃりたい方は他にいらっしゃいますか?」

 皐月たんの言葉に、さっと何人かが顔を青ざめさせた。

「ゴミに?」

 いくらボッチを再認識させられて傷ついたとはいえ……。それを知ったら……。

「兄が……悲しみます……」

 慌ててゴミ箱へと駆け寄る。

 そしてゴミ箱を覗き込む。

 チケットが……一人分ではないチケットがそこにはあった。

「兄?」

 と、誰かがつぶやいた。

御覧頂きありがとうございます。

ツイッターであほなこと垂れ流しています。他の方のつぶやきは参考になります。

「短期集中連載」という言葉に目から鱗です。新作は、たぶんそれ。ちゃんとさっさと終わります。

一方、あんた誰は……おーい、GWの予定とか言ってるけど、もう200話超えてるからな?

どんだけスローペースやねんっ!

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