第223話 ゴリ登場!らしい
だ、け、ど、目立たずひっそり学園生活を送りたい私。大いなる失敗だ!
見ないで!見ないで!
「うお、可愛いっ」
「今年の1年レベルたけぇ~」
うひょっ。
男子生徒の声が耳に入って来ました。
そうでしょ!
芽維たん可愛いでしょ!
皐月たんも可愛いでしょ!
なんだ。
チラチラ視線は、二人に向けられたものか。
ふっ。ちょいと自意識過剰だったわ。璃々亜もドジね。えへっ。
てなわけで、目的の2年4組の教室につきました。
教室の前のドアから中を覗き込む。
んー、まだお弁当を食べている人がちらほら。それから何組か固まって話をしている生徒がいる。一人で読書してる生徒もいるな。
あ、スマホ片手に何かしてる人もいる。ゲームか?ラインか?
「何だ?1年が何の用だ?」
ゴリラ的、いえ、失礼。男くさい見た目の男子生徒が入り口から少し離れた席から声を掛けてくれた。
うん、これで言いやすくなった。
「忘れ物を届けに来たのですわ。どなたか、食堂に大切なチケットをお忘れですわよ?」
ネズニーのチケットを手に取り、ゴリ……男くさい男子先輩に見せる。
「ぷぅーーーーっ!」
え?
何故だが、すんごい勢いで男くさい男子先輩……えーい、めんどいな、男先輩でいいか、ゴリ先輩って呼びたいが、がまんだ。
ゴリってのは、あの有名なテニス漫画に出てくるキャラの愛称だからな。一緒にしたら、ゴリに悪いです。
めっちゃ真剣にテニスに取り組んでて……。なんかメガネといい感じなんだけどな、いかんせん……絵柄がゴリなんだ。雰囲気とかシチュエーションとか、二人の関係とか、BL妄想膨らむ設定てんこ盛りなんだが……ゴリなんだ。
ああ、うん。
いや、その、ゴリ絵でBLはな、ちとキツイんじゃよ。平気な人もいるけどね。……。おっと、話がそれた。えっと、なんだっけ?
そうそう、男先輩が、なぜか勢いよく噴出した。
私、何か変なこと言った?
「おぉーい、誰だぁ?た、い、せ、つ、な、チケット忘れたやつわ!」
男先輩が、私の手からチケットをもぎ取り、教室にいる生徒に向けてフリフリと振って見せた。
おう、これなら私が声を張り上げる必要もない。
男先輩、お前、いいやつだな。
くすくす。
ははははっ。
何故だか教室に笑いが漏れる。
え?なんだ?何がおかしいのだ!あれか?普段全然いいやつじゃない男先輩が、1年生にいいとこ見せようとしてるのが面白いとかじゃないよな?
だめだぞ、人のよい行いを見て笑うの!
「いいのかー、た、い、せ、つなチケットだろー?」
と、男先輩がもう一度言えば、耐えきれないといったように教室が爆笑に包まれた。
「ぎゃはははっ、もうダメ」
「やめろよ、腹がよじれる!」
何?なんなの?
意味が分からないよっ。
皐月たんの顔を見ると、皐月たんがふぅっと小さくため息をついた。
「チケットにはすべて番号が記載されています。そのチケットに記載されていた番号から持ち主が割り出せます。出席番号8番の方はどなたですの?」
皐月たんが、淡々とした口調で言う。
え?そうなの?持ち主の出席番号まで分かれば、持ち主探しとかいらなかったね……。
「おーい、出席番号8番のやつ、大事な大事なチケットだぞー」
と、男先輩。
「って、俺だわ~。ぎゃははっ」
はい?
何ですって?
おまえか、男先輩め!
自分で忘れたこと気が付いてなかったのかよっ!
「よかったなー、ゴリ、チケット戻ってきて!ぶはははっ」
何ですって?
おまえ、クラスメートからゴリって呼ばれてるのかよっ!
「大切ぅ~なぁ、チケットぉ~」
ゴリが歌いながら、チケットに頬ずり。
「ぎゃはははっ」
クラスで再び爆笑。
「んなわけあるかーっ、いらねーから捨てたんだよっ!」
と、ゴリが見事なのりつっこみを披露する。
え?
「いらないから、捨てた?どういうこと、ですの?」
兄が自分の時間を削って生徒会長として仕事して……。ネズニーと交渉して手配したチケットですのよ?
嘉久も休み返上で漫画を読んで、資料をまとめたんですのよ?って、そっちは羨ましいが。
「はぁー、まんまだよ。なぁー?」
ゴリが、クラスメートに声をかける。
「こんなもんもらったって、行くわけねぇし。お前らだってそうだろ?」
くすくすと女子が笑い、男子はぎゃははと笑う。
こんなもんって……ネズニーのチケットですよ?
まぁ、金持ちな人たちにとっては、たかがネズニーのチケットかもしれないけど……。でも……。
「そのチケットは、並ばなくてもよい特別優先チケットですわよ?普通の入園券とは違いますわよ?」
すごいんだよ?
他では手に入らないんだよ?
いつもありがとうございます。
ゴリ……璃々亜の無意識ざまぁの餌食……。




