第215話 文芸部にも事情があるらしい
るんるーん。お昼ご飯だるーんるーん。
今日は、お弁当を持って、食堂で食べることにしましたー。
相原さんと相良さんと芽維たんと皐月たんと一緒に食べるんだぁ。
応援委員の芽維たんと、文芸部の相原さんに図書委員の活動のお手伝いとか頼めるかとか聞いてみるんだ。
ふふふ。
おっとそうそう。お弁当だけじゃなくて、財布もポケットに入れて持ってくんだった。
新しい財布。えへへ。
「あれ?璃々亜さん、財布新しい!」
うふっ。そうなの!
分かっちゃった?
「えへへ。お兄様からプレゼントしていただいたものですわ」
芽維たんに自慢げに見せちゃった。
新しいのって嬉しいじゃん。
「綺麗なミントグリーンですね!」
「風水的に良いそうですわ!」
「へぇ、そうなんだ」
芽維たんは、水色に白い水玉の付いた二つ折りの財布を使っていた。ナイロン素材のやつで、すごく高いブランドじゃないけれど、若者に人気のテレポートサックとかいうやつ。
「芽維さんの財布もかわいいですよね」
「ありがとう。高校合格のお祝いでもらったんだ!」
「じゃぁ、私たち二人ともプレゼントされた財布を使っていることになるんですわね。ある意味御揃いですわ!」
「えへへ。そうだね!」
財布の話をすると、普段は気にならないけど他の人はどんな財布を使っているのか気になってしまう。
食堂で財布を持つ手を見る。
いかにもどこどこのブランドです!って分かりやすい財布が多いなぁ。
しかも、高級なブランドです!って主張がすごいやつ。ロゴがでかでかとついてるとかロゴがみっちりプリントされてるとか……。
やたらと大きくて重たそう。しかも、言っちゃなんだけど……ばばくさい。
女子高生っぽくないし、若い子がもつと水商売っぽい。
もぐもぐ。
今日のお弁当は、真っ赤なたこさんウインナーに、冷凍食品のグリンピースの乗ったシュウマイ。ご飯にはのりとたまごのふりかけ。定番のプチトマトに、ハムを巻いたアスパラ。
うおお、今日の芽維たんのお弁当もおいしそうです。
いいなぁ。よだれが。
え?私のお弁当?美味しいですよ。
だけど、食べなれたあの味も懐かしいんです。
もぐもぐ。
上品な出し巻卵。おいしい。おいしいんだよ?ふんわりとしてて、出汁の味と少しの甘みとが絶妙で。
だけど、ちょっと焦げちゃったり堅かったりした感じの塩だけのシンプルな玉子焼きとかも食べたくならない?
オムライスだってさ、ふわとろ卵のオムライスばっかりじゃなくて、硬い玉子の皮でしっかり巻かれたオムライスも美味しいじゃんよっ!
相原さんと相良さんは食堂で注文したものを食べてる。
うん、なんかメニューを見たら前よりもリーズナブルで量が少なめなものが増えてた。
食べ残しダメ!が、すでに形として変化をもたらしているらしい。
だけど、それに伴い、出店してる店の一つが撤退するそうだ。
食べ残しありきの大量注文で儲けてたみたいで。それが無くなって旨みが減ったのが理由だって皐月たんが言ってた。
……どっからそんな情報を……。
だけど、本当の料理人ならさ、食べ残されたら憤る者だよね?
いくらミシュラソで☆ついてても、儲けに走るようになっちゃおしまいだね……。
もぐもぐ。
はー、おいしかった。ごちそうさまでした。
さてと。ご飯も食べ終わりましたし。
「図書委員で、今色々と話が進んでおりますの」
早速事前の声かけしとこう。
正式には、どうるるんだろう?文芸部部長とか、応援委員の委員長とかに依頼することになるのかな??
「人手が足りないので、文芸部と合同で行えればと考えておりますのよ。相原さんは文芸部でしたわよね?」
一緒に仲良く作業できることを想像して、思わず笑みが漏れる。
対照的に、なぜか相原さんは恐ろしい物を見たような顔になった。
「あ、あの……白川様……文芸部は、その、お手伝いはできないかと……」
え?
「あら、もしかして文芸部もすでに、色々とKHTに向けて行動をしていらっしゃるのですね」
そっか。そうだよなぁ。
どこも必死なんだよね?
ってことは、応援委員も引っ張りだこになってたりするのかな?
「いいえ……文芸部ではまだ何も決まっておりません」
え?
「そうなのですか?」
じゃぁ、どうして一緒にできないんだろう?
「あの、白川様……図書委員はどうなっていらっしゃるのでしょうか……」
質問しようとしたところ、先に相原さんから質問されちゃったよ。
「どうなっているとは?」
まさか、イギリスへの買い付けを競い合っているとか、先輩たちが人の案を丸パクしてるとか言うわけにもいかない……よね?
「実は、文芸部に昨日依頼があったのです。図書委員から、おすすめ図書の執筆依頼が……」
ぬあっ!
すでに文芸部にも先輩の手が!
「3年生の図書委員の方が、部長にこう話をしたのです……」
3年か。
どっちのグループなんだろう?
「他の図書委員から何か頼まれても、絶対に協力しないように……と」
「え?」
驚きの声を上げたのは、皐月たんだった。
「その方は文芸部に頼んで置きながら、他の図書委員から頼まれても協力するな、ですか?それで部長はどう答えたんですの?」
「部長は、図書委員のその方には頭が上がらないようで……。私たち部員に守るように言われました」
頭が上がらないか。はっきりと相原さんは言わないけど、家柄とかの上下関係的な何かでまた脅しでもかけたのかもしれない。
義理とか人情とか友情でというなら、ちょいと感動ストーリーだけど。そういうものを重んじる人が、先手を打って動きを封じるような卑怯なことしないよね。
「えー、そうなんだ。だから、相原さんは璃々亜さんの手伝いができないの?何か、変だねぇ~」
いつもありがとうございまする。
図書委員3年生は非常にせこいでございまする。




