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【書籍化】オタクガール、悪役令嬢に転生する。【web版】  作者: 富士とまと


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第208話 スマホで小説を読むらしい

「社会貢献だろう?誰か見知らぬ人のために役立つことをする……それは、自分の心を成長させることだろう?」

 ふあっ!

 忘れてました!

「社会貢献……そうだ。点数とか評価は関係ない。誰かの役に立とうという、それが目的だったっけ!」

「本末転倒でしたわね……」

 ふふふ、あははと、1年生皆に笑いが漏れた。

「誰かのために何かをする、図書委員1年生皆で、頑張ろう」

「そうだな!頑張ろう!」

 円陣。手を一番初めに出したのは、田中くんだった。

 野球部っぽいね!

 すぐに、その上に手が次々と重なっていく。

 エイエイオー!

 の声は、さすがに図書室で大声は出せないので、小さな声で。

 ふふふ。

 逆にこの内緒話みたいな声が、結束の現れみたいでいいね。

 てなわけで、1年生皆で話し合うことになりました。

 とはいえ、これと言って何も出ないんだけどね。

「田中様の図書室だより、私は良いと思うんです」

 しばらくして、1組の図書委員が言った。

 田中くんは、言われて図書室だよりデモプリント(改)をみんなで囲んでいる机の真ん中に置いた。

 ん?(改)は、一度破られてテープでくっ付けたものだから、(改)ね。

 っていうか、田中くんの作ったデモプリントって、見本が1枚なんだよ。コピーとか取ってないんだよ?皆に配布したわけじゃないんだよ?

 なんで、コピー取ってないんだろう?

 そもそも、図書室にもコピー機あるんだし、生徒なら無料で使えるんだし……。

 誰もコピーしようって言わないし。なんで?

 まさか、お坊ちゃまお嬢様は自動販売機すら使えないから、コピー機も使えないというのか?

 ……。OLはコピー機が使えるけど、社長はコピー機の使い方を知らないみたいな?

 ぐおっ、いや、そんな馬鹿な!

「僕の案じゃなくて、僕と白川二人の案な」

 田中くんが、どうでもいいことを修正した。

「はっ、え、あ、その、申し訳ありませんっ!白川様を軽んじたわけでは……」

 1組の子がすんごく恐縮した。

「いえ、気にしていませんわ。むしろ、私はあまり表に名前を出したくないので、田中くんの案だと思っていただいたほうが嬉しいくらいですもの」

 にこっと笑ってみた。

 1組の子が、私の顔みてぽやーとした表情になる。

 ぽやーだ。

 漫画の擬音で「ぽやー」と書きたくなるような顔なの。

「白川様は優しいのですね……」

 え?優しい?

 今のやり取りのどこに優しさが?

「噂とは違う」

「本当だ、でも裏があるのかも」

 とかいうひそひそ話が聞こえてきます。

 おい、噂って何だ?

 裏があるって、どういうことだ?

 ぐぬぬっ。

 孤高の女帝関連の話か?孤高の女帝は誰かに笑いかけたりしないとかそういう噂でもあるのか!

 笑いかけられたら最後、逃げるしかないとかそんな噂でもあるのか!

 ……やだ。噂が独り歩きしただけで、悪役令嬢が出来上がっちゃうじゃないのっ!

 私、怖くないよ?

 ささ、話を戻しましょうね。

「先輩方が、色々と私たちが気が付かない問題点を指摘してくださいましたので、1つずつ皆さまで考え直しましょう?」

 えーっと、先輩が言っていた問題点は何だっけ。

「本の紹介がステマだと思われるっていうのは、考えすぎだとは思うんですが……」

 ああ、そうそう、そんなこと言ってたな。

「ですけれど、良くも悪くも鳳凰学園は注目されておりますので、我が校を良く思っていないどなたかが、ありもしない噂を流す可能性は考えられますわ」

 うんうん。ありもしない噂が独り歩きすることもあるよね。ぐすんっ。

「じゃぁ、出版社の関係ない本を紹介したらどうかな?」

 ん?

 そ、れ、は、もしや!

 同人誌のこと~!

 ちょー、おまぇ、なっかーまなの?

 いやぁーん。

 口を開いたのは、1組男子。ん?男子でなっかーま?まさか、弟じゃあるまいな!

 じーっ。

 違う。弟の顎の形はあんなんじゃなかった。

 って、探さないって思ってるのに、つい、弟探ししてる自分!だめじゃん!

 弟の方も、もしかしたら、姉さん探しとか無意識にしちゃってるかもしれない!

 やばい!見つからないように、気を付けないと。えっと、姉さんでいるときは、私、どうだったっけ?

 お嬢様口調だった?前世口調だった?なんか素が出てだいぶ前世口調だった気がする。

 だったら、めいっぱいお嬢様口調してたら、気づかれにくいんじゃない??おほほ笑いでもしてみる?

 ……。

 いや、悪役令嬢まっしぐらだから!

「最近、よく利用してるんだけど」

 1組男子が、スマホを取り出してあるサイトを開いて見せた。

「青宇宙文庫っていうんだけど、版権の切れた作品とか無料で読めるんだよ。例えば、芥川龍之介、有島武雄、アンデルセン……」

「まぁ、こんなにたくさん……江戸川乱歩の作品もあるのですね……」

「ゲーテの詩集はございますか?」

 1組男子のスマホを、数人の女子が食いつくように見てる。

 皆本当に本が好きなんだねぇ。

 私……。ご、ごめん。確かに好きだけど、なんていうか、ちょっと方向性が違うみたい……。ぐすっ。

 っていうか、仲間じゃなかったね。1組男子。出版社が関係ない本って本じゃなくて作品って意味だったのね。あはは。はは。

「無料で読める作品から紹介するのか。これなら問題なさそうだな!」

 これで、1つ問題が解決したようです。あとは?


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