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【書籍化】オタクガール、悪役令嬢に転生する。【web版】  作者: 富士とまと


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第205話 本の買い付けへ行くらしい

 ボスの取り巻きが口を開く。

「そうですわ!いくらかかると思っていらっしゃるの!本を買い付ける費用を回せとおっしゃるの?」

 ん?費用、あるの?

「今年は、私たちの番ですのよ!」

 番?何?

「本を買い付けるための費用が減ったら」

 減ったら、そりゃ本を買う量が減るね。……うん、本が好きな人にとったら、嫌だよね。

「私たちが、イギリスへ行けないではありませんか」

 はい?

 ボスの取り巻きたちがイギリスに?

 ?マークを飛ばしていると、2年生の男子生徒が口を開いた。

「先輩、私たちがというのはどういうことでしょうか?今年買い付けに行くメンバーも、買い付けに行く行先もまだ決まっていないと思いますが?」

 3年生の一人が男子生徒のこと何ぐっと息を飲んでから、反論の体制に入る。

「貴方も昨年度図書委員をしていたのだからご存じでしょう?買い付けは例年図書委員長と、委員長が同行にと選んだ者の5名で行くということが」

 へぇ。そうなんだ。

 委員長って誰だっけ?

「例年?それがどうだと言うんですか?明確なルールはありませんでしたよね?ただ何となくそうなっていただけで」

 そっか。

 別に決まってないんだ。

「何ですって?図書委員の責任者である図書委員長が行かなくて誰が行くというのですか!」

 っていうか、買い付けって……。

 今時する必要ないんじゃない?

 通販あるし。

「本はネットで注文」

 しちゃえば、届けてくれるし。本屋で探すよりもネット通販はすごい数の本あるし。

「掘り出し物の古書を探すために買い付けに行くのですわ!」

 ふえっ?

 私、口から言葉がダダ漏れた?

 先ほどまで言い合っていた2年の先輩と、3年の先輩が私に目を向けた。

「古書でしたら、オークションもございますよ?」

 そうそう。今は便利だ。

 同人誌だって、古本での出品いっぱいある。……買えなかった本とか知らなかった本の掘り出し物も、時々手に入るからやめられないー。

 もしかして、新品しか買わなそうなお嬢様お坊ちゃまは、オークションなんて利用したことないのかなぁ?だから、知らないのかな?

 もう少し説明した方がいいかな?

「昔と違って、古書も業者が出品していたりしますので品揃えや説明も適格なものが増えていますし、入札数や価格で自分では価値が分かりにくい物も見つけ出すことができますわよ?それに、わざわざ出向かなくてもいいですし、1年を通していつでも購入できますわ」

 私の言葉に、取り巻きたちは顔を青くして、2年の男子生徒は顔を赤くしている。

 ん?何、この反応。

 シーンとしてる。

 静寂を打ち破るようにボスが口を開いた。

「あら、1年生でしたらご存じありませんのね。オークションなどの市場に出てこない、掘り出し物の洋書を探すためにイギリスへ買い付けに行くのですわ」

 へぇー。そうなんだ。

「そうだったんですわね……先輩方は、とても優秀ですわね」

 前世の図書委員とは別格か!

「掘り出し物の洋書を見つけられるだけの、知識があると言うことですわね。私など、英語で書かれている本すら読めませんもの。ましてや、英語の古典作品を読み込むにはギリシャ語やラテン語にも造詣が深くないと難しいと聞いたことがございますわ。買い付けに行かれる先輩方は、それはよく勉強なさった方々なのですわね」

 すごいなぁ。

 すごい。

 私なんか図書委員にむいてないわ。何となく前世と同じ感覚で気軽に図書委員になっちゃったけど……。

 あれ?

 全員だんまり。

 あ、もしかして、私と同じように、知らなくて図書委員にうっかりなっちゃった人もいるってことだよね。よかった。仲間がいて。

「もしかして、先輩方は、3年生になるまでに買い付けのための勉強をなさったのでしょうか?例年3年生がということですが、1年や2年ではまだ買い付けのための知識が足りないから仕方ありませんわね?しかも、図書委員長は、一番知識が豊富で優秀な方が任命されているということでしたら……明確なルールはなくても、当然ですわよね?」

 ついでに、さっきの2年生男子と3年生の争いの収束もお手伝いしてあげましょう。

 えへっ。私、よい1年生ね。

 にこにこ。

 これで、また仲良くみんなで話し合いましょうね?

「はははははっ。面白いことを言う。知識なんてなくたって、現地で人を雇うから大丈夫ですよね、先輩?」

 さきほどの2年生男子が、嘲るような笑いで3年生を見た。

 そうなんだ。

 でも、人を雇うなら、その人に見つけて買ってもらって送ってもらえば、わざわざイギリスに生徒が行かなくてもよくない?

 いいよね?

 旅費だって、かかるし。5人分の旅費ってどれくらいかかるんだろう?滞在する日数やホテルのレベルによっても変わるだろうけど……。

 そういえば、コミケに遠方から来てる人が嘆いてたことあったわ。往復交通費と宿泊代だけで10万近くかかるって。その分同人誌を買うためにお金を回したいのにぃ~って。

 ああ、それを実行してる人もいるって噂も聞いたわ。ホテル代節約するために野宿で風呂にも入ってない男たちがめちゃ異臭を放っていると……。いや、迷惑だし。風呂へ入っても夏は異様な臭いが充満するのに……。風呂に入らないとか、そりゃ、ホテル代節約すればその分同人誌何冊買えるとか考えたら……気持ちは分かる。分かるけど……。シャワー付きの安い漫画喫茶とか探してシャワーくらい浴びよう?な?

 しかし、国内移動の2泊3日でさえ10万近い旅費なんだから……。5人で50万。

 それがイギリスで、お嬢様お坊ちゃまレベルの少しいいところで、滞在期間が1週間とかだと……。

 100万とかは軽く超えそうだよね。下手したら、一人100万とかいうレベルなんじゃないの?……うえ、怖っ!

 その費用を本を買うお金に回したら、いっぱい買えるじゃんっ!毎年の分プールしておけば、かなり貴重な高価な本とかも買えるじゃんっ!

「だけど、確かに1年生はいいことを言いましたね。”図書委員長は一番優秀な人が任命される”と。僕はそれに賛成ですよ。今までのように、家柄や派閥に関係なく委員長を決める、いいじゃないですか、そう思いませんか?」

 ざわざわとした空気が流れる。

 え?何ですって?

 優秀な人が図書委員長じゃないの?

 今、家柄とか言った?

 お茶会部じゃあるまいし、家柄が関係してるの?

 やだ。上から順に任命じゃないよね?

 そんなことしたら、白川家って、結構上の家みたいだから……私が3年生になったら、図書委員長とかさせられちゃうじゃんっ。

 めんどくさーい!

 じゃない。えっと、そう、私みたいな人間が人の上に立つなんて無理だから!

 っていうか、3年生は図書委員をやらなきゃいいんだよね。……でも、他の委員会も立候補がいなければ家柄順にみたいな感じだったらどうしよう……。

「なっ、何を、貴方、そんなことを言って後悔しますわよ!」

 3年生の取り巻きの一人が口を開く。

「貴方は特待生での入学でしたわよね?いくら成績をキープしていたとしても、学校に居られないこともございますのよ?」

 ふむ、2年生男子は特待生なのか。おや?イケメンですよ?

 やばっ。特待生同士のイベントとかあったりする、この先輩も攻略対象だったりしない?もう、いらないから。攻略対象いらないから。

 ふと、2年生男子先輩の手が目に入る。白くて細くて長い指。

 スポーツマンの田中くんとは全然違って、弟に似た手だ。


いつもありがとうございます。

ニューフェイス。これ以上登場人物増やしたくないので、名前は付けない方向で。

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