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【書籍化】オタクガール、悪役令嬢に転生する。【web版】  作者: 富士とまと


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第204話 デモプリントには問題点があるらしい

「ふっ、これが社会貢献ですか?」

 田中くんと作ったデモプリントを手にした3年生の先輩の一人が鼻で笑った。

「皆さま、どう思いますか?おすすめの本の紹介ですって。何、つまりは、私たち図書委員の趣味という個人情報を暴露しろということですか?」

 え?はい?

 個人情報?

 そりゃ、趣味の項目も個人情報らしいけど……。

 そういえば、何か聞いたことがある。そういう情報は売れると。

 例えば、どんなジャンルの営業でも、悪質な人がいるから絶対家に入れては駄目だって聞いたぞ。

 保険の外交員でも、家に入れると家の中にあるものを注意深く観察するらしい。車の雑誌が置いてあれば「車が趣味」だと分かるし、健康器具が置いてあれば健康グッズ好きだと分かる。

 そういった、個人の趣味をリストにして売っている営業がいるらしい。

 車が趣味の人リストは車の営業へ、健康グッズに興味がある人リストはそっちの営業へと、個人情報は売買されると……。

 うわ、怖い!


 そうか、そう考えれば、確かに先輩の言うように「おすすめの本」も個人情報暴露といえばそうなのな……?

「それとも、あれじゃありません事?趣味の押し付け?」

「もしかして、ステマではありませんこと?」

「ステマとは何ですか?」

「あら、ご存じありませんか?内部の人間が一般消費者を装って商品を宣伝することですわ」

「ああ、ご自分のレストランに客を装って星を5つつけるようなことですね。確かに、鳳凰学園には出版社の経営陣関係者も多いですし、卒業生に作家もいらっしゃいますわ」

「事実はどうあれ、ステマととらえられる可能性がないわけではありませんわね」

 ぐあっ!

 そうなのか!

 確かに……。

 ○○出版社の本を、○○出版社関係者が「おすすめ本」として選んだらそうなっちゃうのか?関係者だと事前に告知していればただの宣伝だけど……。

 あとでバレたら確かにいくら高校生でも叩かれそうだ……。ネット社会怖い!

 しかし、たかが図書室だよりが、こうも非難の対象になるなんて……。

 田中くんも肩を落としている。


 そこに、2年生の先輩が口を開いた。

「ですが、各教科の先生おすすめの学習に役立つ本を紹介していただくのは興味がありますわ」

 うん、うん、よし。

 そうだ、生徒がダメなら先生なら……。

「あら、多忙な先生に、記事の執筆依頼をするということですか?それは、ボランティアで協力していただくということですか?それとも、原稿料を支払う形になりますか?どちらにしても問題がございませんか?」

「え?」

 何?

 先生におすすめの本一つ聞くのもダメだというのか?

 ……どういうことだ!

「私たちは、KHTを目的としていたのではございませんか?社会貢献する方法を考えていたはずでは?ボランティアで協力していただくというのであれば、社会貢献しているのは、私たち図書委員ではなく、協力してくださった先生方ということんありませんか?」

 うっ。

 そうか、確かに。

 いい本を教えてくれてありがとう、○○先生!ってなるよね……。

 いい本を教えてもらえるよう○○先生に頼んでくれてありがとう、図書委員の人!とはならないよねぇ……。

 一理ある。

「ふふふ、ここに書いてあることでよさそうなものは、貴重本の公開日を設けるということくらいじゃありませんこと?」

 お、やっと味方が現れた?

「私が前回提案したことを模倣されたようですが……」

 はぁ?

 模倣だぁ?

 前回の提案って、図書館開放するとか言ってたやつ?

 ああ、そういえば、今発言してる人が言い出したような気もする。

「どう思います、皆さま?年に何度か、貴重本を事前申し込みなさった方に公開するというのはよろしいと思いませんか?」

 くっ。

 言いたいことはいろいろあるが、とりあえず田中くんと一生懸命……あ、いや、一応一生懸命ということにしよう、考えたデモプリントが少しは評価されるならそれでいっか。

 そうですわねと賛同の声が上がっている。

 田中くんと顔を合わせて少しだけホッとする。

「ですが、このようなプリントは必要ありませんわね、まったく無駄ですわ。いいえ、鳳凰学園の恥さらしですわ!」

 はいぃぃぃぃ~~?

 先輩は、田中くんが一生懸命清書してまとめてくれたデモプリントをびりびりと破り捨てた。

 ああっ!なんてことを!?

「この情報社会にプリントを配布するなど、愚の骨頂。貴重本の公開はインターネットに特設サイトでも開設すればよろしいと思いますわ。ネット社会ですよ、ネット社会。全世界の人に知ってもらえますわよ。皆様も、そう思いませんこと?」

 まぁ、そうなんだけど……。

 それだと、興味ある人にしか鳳凰学園の図書委員の活動が見えないし……。興味のない人に興味を持ってもらうというのも大切なことだと思うんだけどなぁ。

 おっと。反論はしないよ?だって、めんどくさいもん。

 どうやら「私の案」と言っている3年の先輩がボスみたいなんだよねぇ。

 ボスが何か言うたびに、取り巻きなのか知らないけど、何人かが賛同の言葉を続けるの。

 だから、たぶん一言いえば、ボスとゆかいな仲間たち皆から集中砲火を浴びるよ。めんどくさいそういうの。

 そりゃ、田中くんと一緒に作ったデモプリントをやぶかれたのは悔しいけど……。

 ボスやその周辺が言っていることも完全に間違いというわけでもないし。

「そもそも、プリントを配布するための費用をどうするつもりだったのですか?」

 そうだね。何も田中くんとは話合ってないし、私もちょっとどうするんだろうとは思った。

「印刷費用と新聞折り込みにする費用、年間6回……いったいいくらかかると思っていらっしゃるの?」

 結構かかるよなぁ。

 でも、そういうところ、在校生の親とか卒業生とか協力してくれる人いないのかな。

 あ、そうだ。広告欄を作って、協賛企業を募集するっていう方法があるよね。確か、大学とかのパンフレットってそういう方式じゃなかった?地元企業に協力を求めてお金を集めるんだ。

 一口3千円とかで、パンフレットの広告枠を買ってもらうっていう方法……。生徒の関係者だけで、結構な支援者集まるんじゃないか?もしすごい額が集まれば、プリントなんてけっちぃこと言わずに、本ができる!

 ぶおっ!

 本!

 本~~!!

 プロじゃない私たちが作るんですもの、それって……「同人誌」みたいなものだよね!

 だよね!

 きゃはっ。

 同人誌~。

 おすすめ本を語る文芸ジャンルの同人誌だよ!

 ああ、学校名だして、コミケや文学フリマに参加してる人達いるし……「鳳凰学園図書委員」とかでサークル参加!一般じゃなくて、サークル参加!

 うおおーーーっ、た、楽しそう!

 それに、大手を振って同人誌即売会に行けるじゃないの!

 お兄様、図書委員会の活動へ行ってまいりますわとか言って……。な、なんという素敵な案なのかしら!

 こ、これはぜひ、実行してもらいたい!


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