↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】オタクガール、悪役令嬢に転生する。【web版】  作者: 富士とまと


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

213/565

閑話 NARUKO 第1話 鳴戸牧と伊達風流

 右手は肘から垂直に上に向ける。

 左手は、体の前にまっすぐに突き出し、ぐるりと大きな円を描く。

 そして、左足の膝を30度左側に曲げ体重を乗せる。

「へんっしんっ!」

 切れの良い声。

 よし!完璧な変身ポーズだ!

 姿見に映る自分の姿にグッジョブ!


「こらーっ、朝っぱらから何してるの!ご飯だって言ってるでしょ!」

 そこに、頭に角の生えた敵が現れた。

 ……やべっ。お母様、頭から湯気出てます。

「高校入学1日目から遅刻する気?早く着替えて下に降りてきなさいよ!」

 はい。そうですね。昨日は入学式だけだったので、本当の高校生活は今日からですね。

 さて、パジャマから制服に着替えますか。

 えーっと、左足を45度の角度でまげて大きく1歩踏み出す。そして、左手をお腹に。右手は

「変身ポーズなんてしてる暇ないでしょ!」

 階下から母の声が飛んでくる。

 え?なんで変身ポーズ取ろうとしたのバレてるの?

 仕方がない。今回は、緊急時バージョン。声と、肘のボタンをタッチするだけの仮面レーサー3号18話バージョンで変身だ。「変身っ」

 てなわけで、真新しい制服に着替えました。

 おお、高校生の僕!

 左足をまげてお尻をのせる。右足はまっすぐ横に伸ばす。右手を真横に突き出し、肘をまげて手のひらを顔の前に持ってくる。左手は、垂直に真上にあげる。

 これ、高校戦隊ハイスクールイエローのポーズね。この状態でビシッと動かずに他のメンバーがポーズ決めるの待ってないといけないのだ。

 左足に体重のっけたままでこの姿勢、結構バランスとるのに筋肉使って大変なんだよな。だが、ヒーローポーズ研究科のこの僕には

「こらーっ、」

 ごめんなさい。お母様……いや、司令官からの緊急出動要請だ。高校へ急行せねば!

 僕は、変身ヒーローや戦隊ヒーローのポスターがびっちり貼られた基地を出発した。ただの自室だとかいうツッコミはいらない。


 最寄りの駅を降りて、高校へ向かう人の波を観察するように見る。

 ヒーローは普段は地味な少年の姿をしているんだ。早い話、……いじめられっ子容姿ってやつだな。

 何故か、いじめっ子は僕みたいな人間を素早く見つけてパシリに任命するんだ。なんだろう、あのサーチ能力。世界平和のために使ってくれないかな。

 僕は、いじめっ子になりそうな人間がいたら全力で遠ざかる所存です。うわっ、前方に茶髪で耳ピアスの男発見。回避!

 校門をくぐるとすぐに、テーブルがいくつか出されて先輩たちが声を上げていた。

「1年生はこちらで受付してから教室に向かってくださーい」

 名札と、リボンが1年生には渡されるらしい。早くクラスになじむように名前を覚えやすいようにというのと、2年3年が1年生を見つけて部活動に勧誘しやすいようにということから、入学から3日間は胸につけておかないといかないらしい。

 部活かぁ……。

 僕はもう、決めてるんだ。

 その名も……「帰宅部」。たぶん、日本最大級の部員数を誇る大人気の部活だ。


「なるとまき?おっまえ、ラーメン屋かよっ!」

「違う、僕の名前は鳴戸と書いて「なるこ」と読むんです!」

 中学のころから繰り返しからかわれてきた言葉に、思わず反射的に答える。

 あ、やべっ。

 目の前にいたのは、さっき全力で避けた茶髪にピアスの男……。

「はぁ?でも、戸の字の読み方は「と」だろう?だから、鳴戸牧は、なるとまきでよくね?」

「あの、戸籍とか「戸」は「こ」とも読むんです、ですから、えっと「なるこ」なんです……」

 説明の声は語尾に行くほど小さくなる。

 茶髪の男の胸にもリボンと名札。あー、同じ一年生だ……。

 3年間パシリやらされるのかな……。名前は「伊達風流」と書いてある。

「貴方、今「なるこ」って言いましたね?」

 突然、高くて清んだ女性の声が響いた。

「あ、はい。僕の名前はなるこです」

 いじめっ子の興味が僕から逸れてくれればと思い、返事を返す。

「ああ、本当だ。なるこって名前なの!字は違うけれど……でもこれは運命に間違いありませんっ!」

 声の主は、僕の前に立つと、名札の名前を確認して僕の両手を取った。

 白くてきれいな手。

 視線を上げれば、黒目黒髪ストレートの美人!

 ひえっ、何、この美人!胸にはリボンも名札も無いから、上級生なのかな。

「なるこ君、せっかくの運命なんですから、ダンス部に入りましょう!」

「は?」

 ダンス部?

 言っておくけど、僕の容姿のどこにダンスの要素が?

 オタクに見られるのは日常だけど、ダンサーに見られたことなど過去一度も……。

 はうっ、まさか、ダンスはダンスでも、オタ芸……オタクダンスの勧誘なのかっ?

 ……で、目の前の彼女はアイドル?彼女の歌に合わせて踊れとか、そういう?……。

「入る!入る入る、入ります!」

 右肩がぐっとつかまれ、背中に人の重みを感じる。

「貴方は?」

 目の前の美女が口を開く。

「牧の親友です!」

 え?

 僕の親友だぁ?

 この高校には親友はおろか、友達の一人もいないはずなんだけど?

 肩に置かれた手の持ち主の顔を見ようと首を横に向け、すぐに戻す。

 ひえっ!

 さっきの茶髪ピアス!

 やべっ。

 こういう人物の言う「俺たち親友だよなー」は……悪い予感しかしないっ!

「あら、あなた「ふりゅう」って名前なの?」

 そうそう、名札には伊達風流って書いてあった。ん?ふりゅう?

「はいっ!感動です!初見でちゃんと読んでもらえるなんて!いつも「ふうりゅう」って呼ばれるんです」

「ふりゅうは、舞踊用語ですから……。あなたもダンス部に入る運命みたいですね?」

「はい!僕とあなたの出会いは運命です!間違いありませんっ!」

「では、放課後に3Aの教室で待っています。必ず来てくださいね」

 美女は手をひらひらと振って去って行った。

 最後に

「二人とも」

 という言葉を残して。

 え?ぼ、僕も行かなくちゃいけないの?

 おっと、そんな先の話よりも、今はコッチ。

 肩にのせられた手をそっと払いのけ、体を離す。ちらりと茶髪ピアスの顔を見ると、ぼーっと呆けた顔をして美女の後姿を眺めている。

 しめしめ。今のうちに逃げよう。

 そろりと足を動かすと、がしっと、両肩をつかまれた。

「一目惚れだぁ!牧、協力してくれるよな!」

 は、はいぃーーーー?

「ああ、早く放課後にならないかなぁ」

 逃げ……られないようです。

 ダンスなんて……僕に、できるわけない……。


ごらんいただきありがとうございます。

つい書きたくなったのでNARUKOです。ヒーローが大好き主人公。それゆえに、決めポーズだけ妙に上手だということで、目を掛けられます。

名前を考えてくださってありがとうございます。なるとまきとか舞踊とかそういうあたりを使うというアイデアを参考にさせていただき、より覚えやすく考えました。あ、私が覚えやすいようにです。「なるとまき」で主人公「鳴戸牧」「なるこ」と苗字は読みます。「伊達風流」は見た目派手な衣装係なので「伊達」「風流」は「ふりゅう」と読み、「祭礼などの際に行われる華やかな衣装の群舞」という意味があるそうで、まさに鳴子踊りにぴったりの名前ではないかと……。偶然見つけた単語です・・・。

別タイトルの話で申し訳ありませんが、献本で届いた4巻を呼んでいてふと気が付きました。

あ、あれ・・・双子の姉弟が出てる・・・。

もしかして、私って、双子の姉弟キャラを出しちゃう癖があるのか!・・・自分でもびっくりです。あ、「あんた誰?」のあのヤンデレ弟とは全然違いますけどね・・・。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。